依存症克服の助けとなる運動

依存症克服の助けとなる運動
Gema Sánchez Cuevas

によってレビューと承認されています。 心理学者 Gema Sánchez Cuevas.

によって書かれた Eva Maria Rodríguez

最後の更新: 21 12月, 2022

運動が身体の健康にも精神衛生にも良い効果を生むことはよく知られています。それに加えて、運動は依存症を含む様々な問題を克服するのに役立つものでもあります。これは仮説や理論ではなく、実際にいくつかの研究で示されている事実なのです。

依存症治療のほとんどが、ある種の心理療法を含んでいます。これらは、なぜその患者が依存行動を繰り返してしまうのかを特定することに重点を置いています。また、依存行動の背後にある感情をコントロールするためのもっと効率的な方法も提案します。

こういった治療法は依存症を抱える多くの人々に有効です。しかし、精神的な治療だけでなく身体面でも助けを必要としている患者もいます。運動することが依存感情を断ち切る助けになっていると考える人はたくさんいます。

最近になって、専門家たちは依存症を克服しようとしている人々にとっての効率的な自助ツールとしてエクササイズを認識するようになりました。とは言え、最近になるまでこの治療法の効果は知られていなかったのも事実です。この記事では、依存症を克服するためのエクササイズの効果についてお話ししていきます。

運動は依存症克服に役立つ

人が依存症から抜け出そうとすると、脳と身体はエンドルフィンを分泌させ、気分をハイにしてくれるような物質を切望します。そこに日々のストレスが加わると、もはや耐えられるものではありません。しかし、激しめの運動をすることによっても、エンドルフィンは分泌されます。これにより、化学的な依存性物質が与えてくれるのに似た一時的な幸福感が得られるのです。

ジョギングする人

ドラッグやアルコールに比べればその感覚は小さいものの、運動を行うことで、精神的にも身体的にも良い影響があります。実際、依存症の治療を受けた患者に対する調査では、運動が達成感をもたらし、クリーンな状態でいるための励みになったことが示されています。

さらに、人々が依存の対象物から離れると、不安になったり抑うつ状態になってしまうのは普通のことですが、エクササイズによって依存症とは無縁の健康的な生活を促進することができるのです。これに関しては、エクササイズには以下のような効果があると証明されています。

  • 依存対象への渇望を抑え、使用を減らす
  • 中毒性の高いドラッグの使用効果を薄める
  • ドラッグの使用で損傷を受けた脳を回復させる
  • 神経学的な報酬系を作り出し、自尊心を高める
  • 不安やストレスを減少させる
  • 質の良い睡眠を促進する
  • 思考プロセスを改善し、ポジティブな考え方ができるようにする
  • 体系的なルーティーンにより、空虚感を埋める
  • 物事に対処するための新しい建設的な手段として機能する

エクササイズにはたくさんの身体的・精神的なメリットがあるので、依存症の克服にも役立つのです。

運動はなぜ依存症の克服に役立つのか?

運動が身体にも心にもそんなに重要な効果をもたらす理由は、その利点と直接的に結びついています。それは、運動が体重を減らし、エネルギーを消費し、筋力をあげる効果があるという事実によるものなのです。運動はまた、血液の循環を改善し、自尊心や気分を高め、抑うつ気分や不安を減らしつつ、頭脳の明晰さも向上させます。

『スカンディナビアン・ジャーナル・オブ・パブリック・ヘルス』にて発表された研究が、この考えを支持しています。この研究は、リハビリの中でエクササイズの割合を増やした人々の方が薬の摂取を効果的に行うことができ、生活の質も向上したことを発見しました。被験者たちは、それまでよりもエネルギッシュになり、呼吸もしやすく、外見への自信もついたと述べています。

禁断症状に耐えるためのエクササイズ

禁断症状とは、依存性のある対象物の使用・行動を中断しているときに体験するとても不愉快なものです。この対象物というのはドラッグかもしれませんし、ギャンブルや強制的な性行為、過食などといった特定の依存性の高い行動の場合もあります。

禁欲による禁断症状は、個人によって、また依存の対象物によってかなり異なってきます。しかし、禁断症状の全てのケースに共通する症状が、依存症の対象物や対象の行動を切望してしまう、というものです。また、その対象物の使用や行動が実行できた際に感じる安堵感も、また別の共通の症状です。

苦しむ男性

抑うつ状態や絶望というのは、禁欲中なら誰もが感じる感情です。これに不安やイライラ、怒りが伴うこともあり、食べ物の消化に悪影響が出ることもあります。汗を書いたり、口が乾いたり唾液が出過ぎたり、頭痛がしたり、筋肉が張ったり、といった神経系の症状も見られるでしょう。

複数の研究が、運動がストレスや不安や抑うつ気分を減少させてくれることを繰り返し証明してきました。これらは禁断症状のメインの症状でもあるので、専門家は運動が禁断症状からの解放に繋がるだろうということも提唱しています。

運動は、依存症を克服する手助けとなり、また、禁断症状を軽くする役割も果たします。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。