情緒不安定:不安に乗っ取られるときとは

情緒不安定:不安に乗っ取られるときとは
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

不安を感じているとき、感情は麻痺しているような感覚に陥ります。不安感に襲われると、何の理由もなく心配で、怖く、脅かされた感じがします。実存的空虚を感じ、息をするのもままならなくなるような重荷がのしかかってきます。今日、この心理状態に陥ることは決して珍しいことではありません。通常はパニック障害との関連がありますが、より詳しく掘り下げるに値する他の原因も存在します。

「ちょっと不安で・・・」と他人に打ち明けたことはあると思います。「不安」という言葉は、特に10代の若者にとっては馴染み深い言葉です。その言葉を聞いただけで、その人の胸の内が手に取るように分かります。しかし、臨床的視点から見ると、この心理的状態は複雑なものなのです。

「不安は、悲しみや罪悪感といった苦しみを生み出す精神状態のように、典型的な人間の闘いです。」

マリオ・ベネデッティ

この感情は正確にはどこから来ているのでしょうか。心配と同じなのでしょうか、それともそれ以上のものでしょうか。不安」という言葉の定義は、心理学的観点からは混乱と意見の相違が常にあります。一方で、哲学者の間ではこの言葉はしっかりと定義されています。「不安(angst)」はドイツ語で、明確な定義があります。それは、苦痛と困難を起こすもの、とされています。

例えば、Søren Kierkegaard(セーレン・キェルケゴール)は、この感情は人間が有限であるということの認識と考えていました。したがって、(限られた)将来の可能性を考えるとき、私たちは目がくらみ、恐れを感じるのです。一方、ジャン=ポール・サルトルは次のように言っています。不安とは、「自分に起こる全てのことは自らの選択の結果」ということを認識することで生まれます。自分の幸せと不幸せに責任を持っている唯一の人は自分自身です。

桟橋に座る人

 

不安の意味と特徴

「不安」と「心配」には共通点があります。それは、恐れです。不安に関して言えば、この苦しみを作り上げる根本的な特徴があり、この苦痛は人生の特定の段階で多くの人が経験するものです

  • 不安とは、言い表せないものの恐れ
  • 不安を感じることは、不合理的なことが起きると心配し、将来の危険について考えること
  • 現在は空虚なもの。不安を感じているのは、現在があなたを麻痺させているから。起こるべきことだけを心配し、明日という日は不快で恐ろしいものでしかない。
  • この心理的状況は身体的症状を伴う。息苦しい、胸が痛い、動機がするなど。

見てわかる通り、不安と心配を区別するのは簡単なことではありません。実際、パニック障害の初期症状は不安感です。こういうことから、両方の症状を感じる人が多いのです。不安はパニック障害の引き金になることがあります。これは複雑な臨床症例であり、実際に診断を下すのには患者を個別に評価する必要があります。

箱に入る女性

なぜ不安を感じてしまうのか

哲学者は、人間が自分の存在を認識したときに不安を経験すると説明します。命には限りがあることに気が付いたとき不安に襲われるのです。決断の影響力、そして時の流れを止めることが出来ないということを理解したときも不安を感じます。この不確定要素は今日の世界には確実に存在し、それは単純な理由からです。現代社会に真実が一つあるとすれば、それは明日何が起こるか誰も分からないということです。仕事、経済、人間関係・・・すべてはいつ変わってもおかしくないのです。そして、この不安定な状況が不安へとつながります。

「真の人間は、困難なときに微笑み、苦悩から力を集め、自分を省みることで勇気をはぐくむ。」

トマス・ペイン

ここではっきりと言いますが、不安を感じるのは全くもって正常なことです。病的でもなく、何か問題があるわけでもありません。ただし、それは順応性がある不安であるときです。つまり、不安とは、自分が置かれている現状況を客観視し、それを基に将来についての決断を下す助けをしてくれるものなのです。このことを、ジークムント・フロイト「現実不安」と定義しました。

外出を恐れる女性

そして、それの反対にあたるものは神経症的不安です。これは上記に説明したものです。原因には次のようなものが挙げられます。

  • 適切な対処が行われなかった個人的危機。これは慢性化した情動状態です。これは、うつ病といった他の疾患と同時に起こることもあります。
  • 自分ではコントロールできない特定の状況。失業、失恋、近々起こる変化なども、このような不安感を引き起こします。
  • 人間関係のトラブル。嘘、喧嘩など。
  • 遺伝的要素も重要です。明らかな理由がなくても不安を感じることがあります。これは遺伝的要因が関係しているからかもしれません。例えば、アドレナリンが放出されやすい人やγ-アミノ酪酸(GABA)が減少しやすい人がいることは分かっています。このような神経化学的変化は不安を引き起こす原因になることがあります。

不安という危機を経験する人は、治療を通してその不安を十分に軽減することができます。認知行動療法、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)、マインドフルネスといった技法は非常に効果的です。より重症化している場合、投薬が必要なこともあります。


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