教育心理学者ってどんな仕事?

教育心理学者ってどんな仕事?
Alejandro Sanfeliciano

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Alejandro Sanfeliciano.

最後の更新: 21 12月, 2022

心理学という言葉を使うと、一般的に臨床心理学のことを考えます。ですが、心理学はその分野だけでなくもっと広範囲のものであり、基本的に、人間の行動や精神のはたらきを研究する科学分野です。この学術分野には、様々な職種が多くあります。その一つが、今日フォーカスをあてる教育心理学です。

この記事の目的は、教育心理学の内容、そしてスペインを例にこの職業の現状について読者に知ってもらうことです。あまりよく知られていませんが、教育心理学者は職場で大変重要な役割を果たし、質の高い教育に貢献しています。今日の世界において、乗り越えるべき障害は多く、また耐えるべき重荷も多いため、この仕事は複雑なものになっています。

教育心理学者とは

教育心理学者には、教育分野に携わる人間の行動を研究し、治療目的で介入する使命があります。教育心理学者の最終目標は、人、グループ、組織のキャパシティを発展させることです。ここでの「教育」という語は、あらゆる訓練、学習、個人的または集団的発達などを含むものとして広義で捉えて下さい。

教育心理学者が扱う研究分野や治療介入分野は、学習に関する認知のはたらきと関連があります。教育心理学者は、社会面や個人面、生物学面、健康面といったあらゆる心理的要素から自分の仕事を見つめ、工夫をこらしています。

子供に話しかける教育心理学者

よくあるのは、教育心理学者を教師やガイダンスカウンセラー、児童心理学者などの他の職業と混同してしまうことです。そういった職業は教育心理学者とは全く違う職業ですが、子供に良質な教育を与えるにはそうした他の職業の人達とも協力することが必要になります。

他の科学と同じように、教育心理学にも理論と実践という2つの主要側面が存在します。理論面では、研究を行い、教育心理学に関する理論やプロセスを唱えたり展開したりします。実践面では、学術的研究から得られた知識を使って、教育の質を向上させます。

教育心理学の役割

次に、General Council of Psychologists of Spain(スペイン心理学者総評議会)による教育心理学の役割について説明しましょう。

  • 生徒が教育面で何を必要とするかに応じた治療目的での介入:まず、教育心理学者は教育的に何が必要かを学んだ上で対処に応じます。そして、子供が教育上経験する生活を向上できるようにはたらきかけます。
  • 職業ガイダンス・カウンセリング:ここでの主たる目標は、生徒の能力を伸ばす手助けをすることです。生徒の個人的な目標や能力、職業面での目標や能力のリスト化を援助して、生徒が自分の教育面における方向性を定め、自分で決断できるようにします
  • 事前対策と問題の防止:教育心理学者は、教育面で問題となり得ることを防ぐために適切な対処をすることで介入します。加えて、親や教師、子供、ガイダンスカウンセラーなど全ての人が関わることを考慮することが大切となります。
  • 教授法の改善:教授法に注目することも非常に重要です。教育者は生徒が学び、成長もできるような最善の教育テクニックを学び、適用しなければいけません。
  • 家族への訓練とカウンセリング家族は教育において重要な要素となります。家族構成員をよく知った上でカウンセリングすることで、効果的な家族教育モデルを作ることができます。その結果、家族1人1人の生活が良くなります。
  • 社会教育的介入:教育は、個人の学業生活や家族との生活だけで成り立っているわけではありません。生徒を取り巻く環境すべてが関連します。現在の社会システムが教育にどのように影響しているかを学ぶことも教育心理学者の責務です。そうすることで、介入すべきことへの介入が可能になります。
  • 研究および教示:最後に、他の機能が全て満たされるためには、しっかりとした研究を行い、方向性を知ることが必要になります。また、その知識を他の専門家や生徒に広めていかなくては、研究が全て無駄になってしまいます。
子供に指し示す

教育心理学の現状

今日の教育心理学者は、広範囲にわたる問題に直面しています。最大の問題といえるものには意識の欠如、行政からの援助が乏しい事、職種の混同、協力的でない教育システムがあります。

事実、教育心理学者という名を聞いたことすらない人がほとんどです。よって、認識がなく、教育心理学者が持つ知識を広めたり、研究援助金を得ることがより難しくなっているのです。教育心理学者や彼らが行う仕事に接することが、この学術分野の認識を高めるためには必要です。そうすることは、良質な教育にとっては非常に重要なことです。

加えて、公的機関は教育心理学をそのようなものとして認識すらしていません。教育心理学を学んだ人というのはガイダンスカウンセラーや教師だと政府は捉えているのです。援助の欠如は、教育心理学者に貼られているレッテルだけでなく、この学術分野に与えられている資源の少なさにも見てとることができます。

組織がうまく機能していないために、教育心理学者による様々なはたらきに混乱が生じています。ある職務においては、一人の人が教師と教育心理学者とガイダンスカウンセラーを務めなければいけないことになったりしています。一人の人が多くの仕事をするのではなく、専門家を上手く配置・配属させて生徒のための質の高い教育を目指して取り組むチームを作るべきです。

現教育システムは、教育心理学者の実践すべきことを複雑にする問題ばかりです。事実、現システムの目的は本来目的としていたものとは違っているようにさえ見えます。

最後に、これも重要なことですが、政治的権力を握る人が科学的研究が推奨することを無視した決断をしていることも挙げられます。良い対策をシステムに講じても、効き目がなければ問題解決にはなりません。そうではなく、「教育」という名にふさわしくあり続けたいのであれば、構造改革が必要なのです。

教育は大変重要な分野であり、未来の世代に大きな影響を与えます。ですから、教育心理学者と教育心理学者が担っている難しい役どころに関する知識を広めていく必要があるのです。


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  • Landazabal, M. G. PAPEL DEL PSICÓLOGO EN LOS CENTROS EDUCATIVOS.
  • Ropain, A. R. A., Orozco, L. P. P., & Gonzáles, C. P. A. (2011). El psicólogo educativo y su quehacer en la institución educativa. Duazary8(2), 258-261.

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