認識論が結果を左右する時

何かに対して賛成するか反対するかは、あなたの持つ認識論によって決まります。例えば、代替医療は本当に効果があるのか?などです。読み進め、その答えを確かめていってください。
認識論が結果を左右する時
Roberto Muelas Lobato

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Roberto Muelas Lobato.

最後の更新: 21 12月, 2022

おそらくみなさんも認識論という言葉を聞いたことがあると思います。言葉自体が複雑で、重要な意味を持つ言葉のように感じられますが、実際にそうなのです。何百人もの人々がこの用語について研究し、議論を重ねてきました。しかし、認識論とは何なのでしょう?認識論とは、哲学の一分野で、知識について研究する学問です

知識とは、人が事実として受け入れた一連の情報や事柄を指します。しかし、ある事柄を真実とした場合、それ以外のものは虚偽であると信じてしまうことになります。したがって、認識論では知識が本当に正しいものなのかを確かめるための判断基準を重点的に取り扱います。

その反対が知識の破壊で、エピステミサイドと呼ばれます。エピステミサイドの歴史的な一例としては、魔女であると疑われた女性たちが火あぶりにされて殺されていた歴史上の出来事が挙げられます。実際には、これらの女性たちが殺された理由は彼女たちが権力者たちが信奉していないものを信奉し、権力者たちの意向に反する事柄に関する知識を持っていたからでした。この知識を抹消するために、彼らは「魔女」を殺したのです。

認識論が結果を左右する時

認識論における知識の種類

認識論では知識について研究します。もっと具体的に言うと、人がどのように知識を獲得するのかの研究です。言い換えると、知識を手に入れるに当たって、その人物がどのような判断基準にしたがっているのかを調べるということです。認識論では、「真実」、「客観性」、「現実」、「正当化」といった概念の定義づけも行います。よって、認識論は科学とは何かを定義する際にもとりわけ役立つ学問と言えるでしょう。

何が知識としてカウントされて何がされないのかを知るためには、まず普遍的真理について理解することが可能かどうか自分自身に問いかけてみてください。もし不可能だと思うなら、あなたは懐疑論者だということになります。いくつかの普遍的真理が事実として存在すると思うなら、ここで二つの疑問が湧いてくるでしょう。

一つ目の疑問が、どうすればそれが事実だとわかるのか、というものです。自分の感覚を用いてこれを確かめられると感じる方は、経験主義者です。他方、理性によって真実に辿り着けると信じている方は、合理主義者であると言えます。

第二の疑問は、真実の対象に関するものです。もしその真実が例えばあなたの意見など、自分の中にあるものを対象としている場合、あなたは理想主義者です。しかし、真実の対象が外部の現実の場合には、現実主義者となります

「テレビによって作られた認識論は書物から得られる認識論より劣っているだけではなく、危険でもあり不条理主義的でもあると私は思う。」

ニール・ポストマン

他の認識論を放棄し、別のある一つの認識論を選ぶことが意味するもの

心理学においては、他の学問と同じようにどの認識論に立っているかという立場を明らかにすることが重要です。たいていの人が科学者は感覚に基づいて知識を得ている、と考えます。つまり、科学者はみな経験主義者だということです。もっと言えば、彼らは現実主義者です。科学者たちは真実が存在するのは現実世界の中だと信じているのです。

しかし、全ての科学者がこのスタンスを取っているわけではありません。解釈主義、構成主義、人間主義といった考え方の学派も存在します。これらの学派はどれも、この記事の最初の方で触れた認識論に関する疑問に対して別の答え方をするでしょう。一方で実証主義やポスト実証主義は、一つ前の段落でお話しした認識論と幾分似ています。その結果、本物の知識を与えてくれるのはどの認識論なのかについての議論が出てくるのです。

これは、それぞれの学派がそれぞれ別の知識を持っている故のことです。共通点も多々あるのですが、知識を得る方法や用いられる方法論が異なるのです。結果として、ある学派の知識が別の学派からは拒絶されてしまうということも起こり得ます。

認識論が結果を左右する時

心理学に潜む意味

認識論とは、答えのない学問的議論以外の何者でもないように思えるかもしれません。しかし、最近では心身の健康に関する論争も見られます。この論争の中心となっているのがホメオパシーなどの代替医療です。

ホメオパシー治療で用いられる製品の効き目には疑問が抱かれています本当に効果があるのでしょうか?ポスト実存主義が出した答えは「ノー」です。これらの製品にはプラシーボ効果以上の効き目が存在しないことが様々な実験で明らかになっています。それでも、合理主義や自己の内なる対象物に重きを置く認識論の立場の人々は、これらの薬品を使用した患者が効いたと言っているなら実際に効き目があったのだろう、と主張しています。

したがって、ご覧の通り代替医療に関する議論は認識論的だと言えます。この記事のはじめに私たちが投げかけた疑問に対する答え次第で、あなたも代替医療は効果があるのかないのかに対しての結論を出すことができるでしょう。結果的に、それぞれの主張を持った人々の認識論的立場を知っておく必要があります。それだけでなく、本物の知識を得るとなると、批判的な目線で考える必要がありますし、それぞれの立場の限界についても理解しなければなりません。


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  • Lewin, K. (1991). Epistemología comparada. Madrid: Tecnos.

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