新たに発見された認知症「LATE」

21 2月, 2020
認知症が非常に複雑な病気であることは、皆さんご存知でしょう。認知症のタイプには様々ありますが、それでも足りないとでもいうように、新たなタイプが発見されました。それが認知症「LATE」です。アルツハイマーと診断されたケースの多くが実はこれが原因かもしれません。

アルツハイマー患者は、現在4600万人にのぼります。そして認知症の研究は、科学者にとって大きなチャレンジのひとつです。様々なことが分かってきてはいますが、まだ分からないこともたくさんあります。科学者が研究を続け、新たな発見を続けることが欠かせません。その新たな発見のひとつが、今日お話しする新しい認知症のタイプ、認知症「LATE」です

認知症には様々なタイプがあることが知られていますが、これらは互いに混ざっている可能性があり、その矛盾に科学者は注目しています。例えば、80歳以上で重度のアルツハイマーを患う人における認知機能の低下は予想を超えるものがあります。そこでこの新しいタイプの認知症がこういった現象を説明してくれています。

認知症 LATE

 

認知症「LATE」

「LATE」とは、大脳辺縁系優位型老年期TDP-43脳症の略称です。蛋白TDP-43と関係します。筋萎縮性側索硬化症(ALS)や前頭側頭葉変性症(FTLD)などの退行性の病気にも関わるもので、科学者の間ではよく知られています。

TDP-43は、RNAとDNAをつなぐ蛋白で、遺伝子の発現調整における複数の機能を持ちます。

新たなタイプの認知症「LATE」は、特に80歳以上の高齢者に見られます。この発見をしたのはアルツハイマー診断の研究チームです。その他のTDP-43蛋白症を含めることを目的としてこの研究は行われていました。例えば、海馬硬化症やこのサブタイプを含む認知機能障害と関連します。

TDP-43蛋白症と純粋な進行性健忘には関係性があり、アルツハイマーと非常に類似しています。蛋白症を診断する証拠の不足や知識のなさから、科学者はこの問題に取り組むことになったのです。アルツハイマーと診断された人の多くが実は「LATE」である可能性を見極める必要があります。

TDP-43蛋白症を患うと、正常な免疫反応や細胞質への移動が失われます。また、蛋白の異常な蓄積が見られます。

「こんなこと言いたくはないけれど、なぜ私?なぜ私が認知症に?」

-パット・サミット-

 

観察法

今の所、脳解剖でのみTDP-43変性は観察されています。つまり死後に観察されるのです。研究や発見に基づき、専門家はこの病気の進行に3つの相があると考えます。

  • 扁桃腺の蛋白症:「LATE」による扁桃体の形と大きさの変化が観察されています。また、この構造的変化は、認知機能の低下のサインでもあります。扁桃腺の観察結果と「LATE」による変化の関係性は非常に強いものです。これは、海馬萎縮とアルツハイマーの関係よりも強力です。
  • 海馬の蛋白症:一般的なアルツハイマー患者より、「LATE」を患う人の方が海馬萎縮の影響を大きく受けることが分かっています。海馬萎縮は対称的ではありません。また、前部から後部に向かって進行するようです。

 

神経心理学的特徴

他のタイプの認知症同様、「LATE」も健忘を呈し、日々の活動に関係する認知領域にも影響は派生します。しかし、どこか異なる部分もあるのです。

データは限られていますが、「LATE」患者はアルツハイマー患者と比べ、その進行が遅いことが分かっています。さらに予想できるかもしれませんが、「LATE」とアルツハイマーを併存する患者は進行がより早く、重度の症状がでます

「LATE」患者では、エピソード記憶に関し目立つ歪みが現れます。また特に後期になると、他の機能の症状も重くなってきます。例えば単語を覚える能力が低いにもかかわらず流暢に話せる人は、「LATE」が進行している可能性が高いようです。

認知症 LATE

 

認知症「LATE」の将来の方向性

この症状に関して神経心理学の枠組みを作るにはまだ早すぎます。実際、生きた生体内の蛋白の変性を観察する脳画像装置がまだありません。私達は、未来の科学者が新たなバイオマーカーやインディケーター、運動特性、自律神経性特徴、神経心理学的特徴を生み出すのを待つしかありません。

  • Nelson, P.T. et al. (2019). Limbic-predominant age-related TDP-43 encephalopathy (LATE): consensus working report. Brain, 142, 1503-1527.