中毒者の脳:衝動とニーズの解剖学

2018年12月10日

中毒者の脳内には3~5の人格がいたり、何か得体のしれない力が働いていたりすると言う人がいます。意思がまるでなかったり、良い気分になることしか考えていない人格は、中毒を引き起こすきっかけです。中毒によって起こる短期的、長期的症状には、不安症、うつ、禁断症状などがあります。さらに、彼らにはさびしがり屋と怖がりの人格が隠れているのです。

これらすべての声が、必ずしも多重人格に当てはまるわけでありません。中毒に関して知っておくべきことがあるとしたら、それはアイデンティティー、思考、意志がすべて寸断されてしまっているということです。中毒は、端に隠れて侵入し、脳、精神、尊厳の断片を破壊しようと刻々と時を持つ泥棒のようです。

「なぜだかわからないけれど、自分は強くて中毒になんかならないと思っていた。でも中毒には交渉の余地はない。少しずつ霧のように僕の中に広がっていった。」

-エリック・クラプトン-

回復へつながるテクニック

よく効くとされている認知行動療法を使っても、この泥棒を追い返して諦め出すことができないときがあります。この中毒脳の方向を変えさせるための別の方法として、医療的・薬理的アプローチがあります。

しかし、混乱してはいけません。禁断症状や他の副作用を和らげるものとして使用される薬自体も、中毒症状を起こしてしまう可能性がります。さらに、中毒を引き起こす神経回路、特定の思考、ふるまいは、最初の治療には反応しないことがあります。回復への道は長く、お金のかかるプロセスで、様々なアプローチを必要とします。

これは、化学物質や行動に対して中毒を持つ多くの人が、袋小路にはまってしまたように感じる理由です。自分自身、ニーズ、特性に合った方法が必要になります。

頭痛
中毒者の脳:感情的真空状態の衝動

中毒について話すとき、アヘン、幻覚剤、アンフェタミンなどを使用する人をすぐに思い浮かべるかもしれません。中毒には様々な顔、形、ふるまいがあることを忘れがちです。買い物中毒の人、携帯電話を手放せない人、セックス、スポーツ、ゲーム、特定の食べ物に中毒になっている人もいます。

中毒はアルコールや麻薬・覚せい剤を使用する人だけの話ではありません。基本的には、中毒は特定の物質または行動に対する身体的な依存に特徴づけられています。その結果はみな同じです。社会で普通に機能できなくなります。中毒の人は苦しむことが多いのも特徴です。

すべての中毒に共通しているのは?

すべての中毒には共通していることがあります。行動嗜癖ジャーナル(Journal of Behavioral Addictions)が後押していた、行動嗜癖における第4回国際会議(去年ブダペストで開催)で、専門家たちは全ての中毒における分母は衝動性だと結論付けました。

NHS・ファンデーション・トラスト(イギリスの国民保健サービスの政府機関)の精神科医で神経薬理学の専門家のナオミ・ファインバーグ氏は、イギリスのハートフォードシャーに勤務しています。彼女によれば、中毒を持つ人は、強迫性障害や認識柔軟性の低さ、目標が限定されているあるいは皆無という状況が見られます。

中毒脳は、前頭前皮質の腹側部に変化が見られます。これは、感情的意味、コントロール能力に関連するエリアです。

多くの神経学者や中毒の専門家は、次のことを結論付けています。化学物質や行動に依存する人は、自分の感情的ニーズを中毒に置き換えるということです。しかし、このギャップを埋めたいという感覚の中で、衝動的な行動へと陥ります。これらの行動は、脳にはコントロールができません。

中毒の神経学的メカニズム

中毒脳はふつうとは異なる働きを見せます。その目的、最大の優先とニーズは、化学物質や特定の行動から得られる幸せを見つけることです。この行動や化学物質は一時的な快楽を生み出します。少しずつ、外的な「刺激」が体の自然な報酬に取って代わります。すると脳が報酬をより求めます。

  • どんな中毒プロセスにおいてもドーパミンがカギになります。その理由は、ドーパミンは欲望を生み出すからです。脳の他のエリアを同じニーズに向けます。例えば線条体は最初に影響を受けます。これが、中脳や眼窩前頭皮質などの構造も「雇用」します。脳全体が、この物質または行動が最優先であると考え、その一つの目標にフォーカスします。
  • 一般的に、すべてのドラッグが中脳辺縁系ドーパミン系構造の活動に深刻な変化を及ぼします。もし頻繁に摂取していた場合、慢性的な神経適応的・神経可塑性変化が起こり、完全にこのシステムを変えてしまうまでに至ります。
  • 前頭前皮質は脳の中でも最も影響を受ける箇所です。かなりの変化がここでおこります。感情、感情の制御方法、認識プロセスが変化します。集中したり、はっきりと理論づけたり、ふるまいをコントロールしたり、決断を下すことが難しくなります。

お話ししておくべき側面は他にもあります。アルコールやドラッグについて話すとき、脳で起こる変化はかなりのものです。破滅的になることもあります。前頭前皮質、扁桃体、有線皮質などの変化は、多くの場合取り返しがつきません。

脳の比較
中毒は慢性的な病気か

指摘したように、中毒脳は慢性的な影響を及ぼすことがあります。特定の化学物質で毒してしまうことで、短期記憶や新しい情報を貯めておくための能力を損ないます。同じようにアルコールは、小脳に深刻な影響を及ぼして、運動調整を阻害します。

  • 米国国立薬物乱用研究所の専門家は、中毒が再発型の慢性の脳の病気であると明確にしています。しかし、この主張に関しては多くの心理学者が疑問を呈しています。
  • そのような主張のカギは、私たちも耳にしたことがある脳の神経可塑性です。
  • 脳は、心臓、胃、すい臓とは違います。脳には類まれな素質があります。神経接続を変え、作り出し、学び、新しい組織や神経細胞を作り出します。人生の中で脳が変化しないのは、昏睡状態の場合だけです。私たちは進化、変化して、新しい能力を学びます。

ここから暗示されること

これが暗示していることとは何でしょうか?中毒者の脳との間にどのような関係があるのでしょうか?そこには希望があるということです。脳のダメージを受けた多くの患者が、自分たちの特定の面を改善することができています。中毒に苦しむ人にも同じことが言えます。

脳

新しいシナプシスのパターンを新しいふるまいと思考に基づいて構築する必要があります。これは、多くのクリニックやリハビリセンターが採用している変化への入り口です。

脳に関連する科学と知識は常に進化しています。これによって、助けを必要とする中毒者が少しでも救われることを願うばかりです。