人は持っているものを楽しまず欠けているものを過大評価しがち

人は持っているものを楽しまず欠けているものを過大評価しがち
Fátima Servián Franco

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Fátima Servián Franco.

最後の更新: 21 12月, 2022

私たちのもつ大きな問題のひとつに、持っているものをあまり楽しまず、欠けているものを過大評価することがあります。後から惜しくなるような人や状況を蔑ろにしてしまうのはよくあることです。目標は足りないものから生まれるものですが、本当は必要のないはずのニーズをわざわざ作りだすのは間違いなのです。

人は時に、持っていないものほとんど全てを「必要」だと言い、人、感情、状況など本来楽しめるはずのものを「義務」だと言う間違いを犯します。空想にふけることを好んで、あるいは空想にふける方が実際の人生よりも簡単だからといって、現実の出来事を楽しめないこともあります。

持っているものの有難みを感じられないのは珍しいことではありません。残念なことに、人によってはいつもこのように感じている人もいるのです。専門家には、持っていないものに対して人が常に感じてしまう執着を「ミッシングピース症候群」と呼ぶ人もいます。

全てを手に入れてから人生を楽しもうとしてはいけない。全てを楽しむために人生があるのだから。

悲しそうな女性

理想化をやめて人生を楽しもう

ひとつの目標を達成したらまた別の目標について考えるのは、道理にかなっており筋も通っています。しかし問題は、それと同時に持っているものを楽しめないでいるということです。ここがポイントです。好きか否かに関わらず、たった今の瞬間こそ私たちのもつ唯一のものであり、本当の意味で生きるための秘訣でもあります。

向上心があるのは人間の性ですが、そのせいで人生が辛くなってよいわけではありません。確かにモチベーションは不可欠で、本能的でさえあります。必ずしも悪いものというわけではありません。けれども、すべきことをせず、自分の持っていないものを理想化してばかりいると、不満足の落とし穴にはまり、ありもしない空想の現実を作り上げてしまうことになります。

人はたいてい理想に騙されるものです。手に入れたら良い気分になれると信じている何かに憧れます。しかし、ある状況がどんな感じなのかは、実際にそんな風に生きてみるまで分かりません。理想化とは、何かに盲目的な価値を与えること。これら全てに気が付くことが、自分の人生の毎日を楽しむための初めの一歩です。

何を持っているのか、自分は何者なのかを知り、人生が自分に与えてくれるものを楽しまなければいけません。何を求め、望むのかには慎重にならなければいけません。完璧な状況などというものは存在せず、心の中で思い描いているだけなのです。自分の持っていないもの、他人が持っているもの、私たちに欠けているもの全ての理想化はここから始まってしまいます。

時に私たちは、存在しないもののために現実を生きるのをやめてしまうことがあります。理想化するということは、幻滅に一歩近づくということなのです。

注意を払う

私たちが持っているものをあまり楽しむことがないのは、あまり注意を払っていないから。物の価値を見極めるのは、何の価値を見極めるのか知ることから始まります。正しいものに注意を払うことは幸せへの扉を開きます。身の回りにあるものを楽しむことができる人は、人生の真髄を知っている人なのです。

持っているものに価値や有難みを見出すことは、私たちと周りの人のニーズを満たすために不可欠です。

太陽に手を伸ばす

以下の古い話が教えてくれるのは、私たちが表面上の喜びに集中するあまり、実際に経験することのポジティブな側面を全て取り逃してしまう理由です。

イングランドのお城では、観光客は入場料を払わなくてよいというルールがあり、それが多くの観光客を呼び寄せました。お城の中に入ると、入場料を払わなくてよい条件がひとつ提示されました。それは、スプーン一杯の砂を口に入れて城内を見てまわるということ。その間に砂を一粒も落とさなければ、入場料が無料になるのです。客たちは意気込んでこの挑戦を受け、城内を回りました。

その結果、ほとんどの客たちは料金を支払わずに済みました。しかし彼らはもっと大きな代償を払いました。城内の見学を楽しめなかったのです。口の中に砂を入れた観光客の中で、城の中の様子や、価値ある絵画、建築物などを見物できた人はいませんでした。口の中の砂だけに集中していたからです。

この観光客たちのようになってはいけません。足りないもののことを考えるのは止めて、すでに持っているものを楽しみましょう!


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