精神的自立は人生の勝利
人生における最大の勝利の一つが、完璧な精神的自立を果たすことです。つまり、誰にも頼ることなく、他人の評価とは関係なく、尊厳と喜びをもってあなたが希求するもののために努力していくことができる、ということです。
これは簡単なことではありません。精神的自立とは、自己の成長における最大のゴールであり、人生最後の瞬間まで努力し続けることになる目標です。この自立とは、自分の意思にもとづき決定する能力であり、そこに到達する道のりには、多くの壁や有刺鉄線が張り巡らされたフェンスがあり、そしてさらに先には強敵が待ち構えているようなものです。外部からの圧力や自己破滅的な性質も障害となります。
「私が望むように愛せないのであれば、あなたのもと去ります。ありのままの私と笑い合える人がきっとどこかにいるのだから。」
―ウォルター・リソ―
この概念は、あなたも慣れ親しんできたかもしれない一般的なしつけの背景にある考え方です。例えば、全ての親は子供たちが精神的に自立するようにと育てます。考えたり、感じたり、目標を定めたり、結果を受け入れたりするときに、大切な能力となるからです。
権力、恐怖、盲目的愛、あるいは社会的な圧力を避け、平静な人間関係を築くことを解く著作は沢山あります。このような自己啓発本が語るべきでありながら語らない裏側にあるもの、それが精神的自立なのです。
統制と支配
自分を支配できない人間が最も、他人を支配しようとするという事実を認識することから始めましょう。こういった人々は精神的に未熟だからこそ、自尊心を守り自分には力があるのだと示すために、愛する人を支配する必要があるのです。
はじめに言ったように、この目標を達成するのは極めて困難です。というのも、両親や恋人といったある意味強力な力を持つ人が錨となり、依存しつづけるようにと、見えない鎖であなたの足にしっかりと結び付けられているから。そして、ここから生まれる支配と統制の関係は、失われやすい愛、呼吸や鼓動、破滅的な愛によって強められているので、繊細でありながらしぶといのです。
常に完全無欠に自立して生きることはできません。しかし、自分の望むように決める力は確実にあるのです。あなたが自己決定をするとき、あなたの精神的自立が最も試されるでしょう。心の声と尊厳を取り戻すために精神が十分に鮮明になったとき、何が欲しいのか、いつそれが欲しいのか、何が欲しくないのか、そして自分の人生に関わってほしくないのは誰なのかを、あなたの声で告げることができるのです。
次に、私たち自身がもつ力を示してくれる例を見ていきます。
精神的自立の果たし方
精神的自立を掲げ、主張する事は自己効力(ある課題に直面した際、自分はそれを解決できるのだという期待や自信のこと。自己に対する信頼。)を身につけることを含みます。
夢は自分の外側にあり、認識は自分の内側にある
―カール・ユング―
次のステップを踏みながら、精神的自立の旅の始め方を学びましょう。
自己効力の基本
もし誰かがあなたの代わりに色々な決定をしてくれるとしたら、何も難しくはないはず。しかし、他人に課題の解決、考えの保証、許可、さらにどこへ行くべきかの決定まで頼っていては、あなたは決して自己効力を手に入れることはできません。どんなに自分自身を疑ったとしても、どんなに怖くても、どんなにできないと感じたとしても、やってみることが大切です。あなたのために行動するという選択をしてください。
・精神的自立の最大の敵の一つは偽りの自立です。これはよく恋愛関係のような複雑な状況で起こり、お互いが自分自信を誤魔化し、偽り、欺くのです。
つまり、「あなたが好きなようにしてね」「あなたが必要なことを教えて」「あなたが何を言おうと、私には素敵なことなのよ」「もしそうしたいなら、今晩はあなたの友達と出かけて頂戴」など、相手にたいしていいながら、心の中では全く反対の事を思っているという状況です。人間関係の中で、本当の精神的自立を望むのならば、こういった偽りたいという欲求をコントロールする方法を学ぶ必要があります。
精神的自立とは、人が何を感じるべきか(「そこにいれば大丈夫だから」「これはあなたにとって良い事だから」「これはきっとあなたを幸せにするから。馬鹿げた考えはおやめなさい」など)を決める権利は、本人以外の誰にもないのだ、ということを理解することだとも言えます。
・ほとんどの人は精神的自立を構成する要素が何なのかを良く知っています。なぜなら、私たちは自己肯定も、自己主張もそして挫折から立ち直る力も知っているからです。しかし、知っているにもかかわらず、精神的な障壁が常に立ちふさがるのです。
最後に、あなたへの道しるべにエーリヒ・フロム(ドイツの社会心理学・精神分析・哲学の研究者。1900年生誕、1980年没。主な著書に「自由からの逃走」がある。)の言葉を送ります。
「自由であることの素晴らしさよ。危険をおかすことも、前進することも、そしてあなたが本当になりたいあなたになることも、時として全てが自由であるからなのだ。」