うつ病治療における抗炎症薬の使用

抗うつ剤や認知セラピーでのうつ病治療の成功率は60パーセントにとどまっています。患者は、この病気を治療するために抗炎症薬の使用などの代替治療法を探し求めるべきでしょう。
うつ病治療における抗炎症薬の使用

最後の更新: 08 3月, 2020

これまでかなりの期間、数多くの研究者たちがうつ病エピソードが起こっている際に、なぜ炎症も発生するのかという点に焦点を当てた研究を行ってきました。この記事では、抗炎症薬を用いたうつ病治療の療法的利点について学んでいきましょう。

いくつかの研究によると、従来のうつ病治療は抗うつ薬の投与と認知療法を用いるものですが、この治療で効果を得られるのは約60パーセントの患者のみだそうです。これはつまり残りの40パーセントの患者がこの治療による成果を得られていないということです。そしてここで注目しておくべきなのが、うつ状態が自殺に繋がる恐れもあるという事実でしょう。

大うつ病の症例では、効果的な治療を受けられていない患者の割合が高いことを示しています。うつ病を抱えている人は世界に3億5千万人おり、これは10人の大人のうち1人の割合です。結論として、うつ病は複雑な課題であり、我々はこの病気の治癒に繋がるような代替治療法を見つける必要があると言えるでしょう。

うつ病治療 抗炎症薬

炎症と、そのうつ病との関係性

前述の通り、うつ病と脳の炎症状態との関係性に関する研究が増えてきています。しかし初めの頃まで、うつ病が炎症の結果として現れるのか、もしくは反対にうつ病が炎症状態を引き起こしているのかははっきりとしていませんでした。

広い意味で言えば、うつ病は複数の心理社会的、遺伝的、生物学的側面に関わる多因子性疾患です。そしてこれらの中でも起爆装置となり得るのがストレスです。結果的にこれらの因子がストレスと一緒に炎症シグナルを脳へ送ります。

血中の炎症マーカーがより多く見られる大うつ病患者も一部存在しています。これには人の中枢神経系や神経内分泌系を変容させる能力のある炎症性サイトカインも含まれており、さらに体内のC反応性蛋白およびインターロイキンも増加します。

抗炎症薬を使用したうつ病治療

したがって、炎症とうつ病に関する理論はこの病気への処置に役立つ治療の選択肢を広げてくれるのです。これは特に古いタイプの抗うつ薬では効き目が現れない患者にとって重要だと言えるでしょう。

炎症性サイトカインを抑制することで抗うつ薬の効力を向上させ、うつ病に苦しむ患者の精神状態を改善することができます。この関係性は腫瘍学や抗感染症治療のおかげで発見されました。こういった治療が行われていた際に、患者にインターフェロンαを投与することでうつ病に似た症状が引き起こされることに医療従事者たちは気づいたのです。

うつ病治療 抗炎症薬

近年では、より多くの研究者たちがうつ病治療に抗炎症薬を用いることの実際の治療効果について研究を進めています。そしていくつかの動物実験で、炎症性サイトカイン阻害薬の摂取により抑うつ行動やその他のストレス応答を抑えられることが明らかにされました。

これらの炎症性サイトカイン阻害薬、またの名を抗炎症性サイトカイン薬あるいは抗サイトカイン薬は、関節リウマチや乾癬などの自己免疫疾患を抱える患者にも使用されることがあります。研究により、この治療法にはプラシーボなどと比べて、こういった患者に対してより大きな抗うつ作用があることが結論付けられました。

うつ病の補完治療薬としてのオメガ3

オメガ3には抗炎症作用があるため、このサプリを治療の選択肢として勧める研究結果も存在しています。また、いくつかの調査では、抑うつ状態の原因は多価不飽和オメガ3脂肪酸の欠如だとみなされました。そしてオメガ3脂肪酸がうつ病エピソードに対して効果的であることが示されたのです。さらにオメガ3には免疫系に影響を与えたり、一部のサイトカインや炎症性プロスタグランジンを減少させたり、その他の分子機構を変容させる能力もあります。

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これらの代替療法にはさらなる調査が求められます。うつ病は複雑な病気であり、炎症にはあまりにもたくさんの曖昧な症状があるため、両者の関係性を明確に定義付けるのは困難なのです。しかし、これが治療の可能性に満ちた分野であり、将来に向けて多くの希望的観測が見られる分野であることにも触れておくべきでしょう。


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