アナンダミド:幸せに影響のある神経伝達物質
アナンダミドは、体が分泌する物質です。面白いことに、この物質は大麻の有効成分であるTHCに似た性質を持っています。多くの人はこの神経伝達物質を、人間が作り出す「天然の大麻」と呼んでいます。
アナンダミドは、大麻に似たような効果を発揮します。とてもリラックスさせてくれて、落ち着かせて、心臓血管系を制御してくれます。幸福の感情も生み出します。「アナンダ」というのは、元々サンスクリット語で「内面の平和と幸福を持つもの」という意味があります。人間の脳とチョコレートに見つかる物質です。
科学者達は、1992年にこの物質を発見しました。体に短期の影響を及ぼす弱い分子として定義しています。鎮静作用に加え、呼吸器官の機能を改善させて、認知機能を高めます。
「幸せは、開けっ放しと気づいていなかった扉から入ってくる。」
-ジョン・バリモア-
アナンダミドの機能
脳がアナンダミドを合成します。記憶、高次処理、動きの制御などに関連している部分と同じ場所で機能します。科学者は、この物質が痛みの感覚を軽減することができることを発見しています。さらに、この物質は食欲の制御、報酬、喜びの感覚にも介入しています。
研究者たちは、ネズミを使った実験を2017年に行っています。適正量のアナンダミドをネズミに注射すると、その後のネズミのふるまいに変化が見られました。認知的な問題に直面した際に、より解決策を見出し、うまくこなすことができたのです。
科学はまだこの神経伝達物質とその効果を特定できていないと考える人がいます。向精神薬の中毒者にも良い治療の助けになると考える人もいますが、それを証明する十分な証拠はまだ見つかっていません。
アナンダミドの効果
アナンダミドの効果は、短期的でとても激しいものです。脳や体の様々な場所にポジティブな影響を及ぼします。主な効果を見てみましょう。
- 恒常性。アナンダミドは体の再生機能を高めて、神経システムのバランスを保持します。
- 鎮痛剤効果。大麻のように、かなり強い痛み止めの効果があります。
- 神経防護作用。神経システムの興奮プロセスを制御して、保護効果を発揮します。
- 食欲調整。アナンダミドは、空腹感を制御し、食欲と飽満周期を調整します。
- 制吐作用。嘔吐を防いでくれます。セロトニンと共に作用します。
- 性的欲求を調整。アナンダミドは少しの量であれば、性的欲求を刺激します。逆に量が多くなると、性的欲求が減退します。
- 妊娠中の役割。この物質が、子宮での胚着床に関係していることがわかっています。
- 天然のやる気スイッチ。決断を下す判断を改善させ、自信を向上します。
- 認知機能。アナンダミドによって、新しい神経細胞のつながりができます。これによって、思考、学び、記憶プロセスの機能が高まります。
- くつろぎと幸福。平安に、リラックスさせ、幸福を感じさせます。
- 抗発がん性。その効果はまだ証明されていません。しかし、すべてがガン細胞、特に悪性黒色腫の発症を阻害することを示しているようです。
アナンダミド量を高めるには
アナンダミド量を増やすための最も簡単な方法は、ダークチョコレートを食べることです。これにはかなりの量のテオブロミンが含まれています。
科学者は、この物質が脳内のアナンダミドの分泌を刺激すると考えています。ダークチョコレートにはたくさんのテオブロミンが含まれています。さらに、その効果はカカオの皮を噛むとより増大します。
2015年、ドイツの研究者たちはこのトピックに関連した研究を行っています。この研究では、運動がアナンダミドの分泌を促進するということを発見しました。肉体的な活動を行った後の幸福の感情は、エンドルフィンではなくアナンダミドのお陰であると結論付けています。
さらに、黒トリュフにも天然のアナンダミドが含まれていることがわかっています。また、瞑想もアナンダミド、セトロニン、エンドルフィンなどの自然な分泌に効果を発揮します。