ジスキネジアの特徴と症状
ジスキネジアは、異常でコントロール不能な不随意運動を起こす障害です。大抵は頬舌部位や手などの小さな顔面チックから始まります。後に、運動亢進の変性が全身に及ぶこともあります。この症状には複数の原因がありますが、多くは薬の副作用として現れます。
この臨床状態は、アカシジアと間違えられやすいものです。しかし、アカシジアは、不安な状態や静止していられない状態と関係します。そのため、アカシジアを患う人は、足を動かすために散歩に行く必要があります。一方でジスキネジアは、コントロール不能で精神障害や神経疾患を伴うため、より問題が多いのです。
1~5%が年齢と関係しており、高齢者の一部がこのタイプの運動亢進障害を患います。
「けいれんを止めろと私に言うのは、脚の無い人に立てと言うのと同じようなものなのだ」
-Patrick Ryan O’Leary-
ジスキネジアの定義と症状
ジスキネジアは、運動失調(筋肉調整の喪失)やジストニア(多くは痛みを伴う不随意筋の状態)に似た運動障害です。ジスキネジアの患者には、チックに似た非自発的な動きが見られます。さらに、その症状は人目を引きやすいものです。
先にも示したように、この不随意運動は大抵顔から始まります。そして後に、手や足に表出し、普通の体の動きが徐々に難しくなります。この動きで最も困難なことは、一度表出すると悪化していくということです。そこで、原因を追究し、適切な治療を受けることが重要です。
記事を読み進め、最もよく見られるジスキネジアの種類について学んでいきましょう。
パーキンソン病の薬物誘発性ジスキネジア
ジスキネジアはパーキンソン病の患者によく見られます。しかし、これ自体はチックや運動障害を引き起こす神経変性疾患ではありません。実は、先にも触れたように、治療に使われる薬が原因になっているのです。
パーキンソン病は、ドーパミンを生成するニューロンがゆっくり死んでいくという変性により生じます。運動をコントロールする細胞は、神経伝達物質無しには筋肉にメッセージを送ることはできません。大抵このような場合は、レボドパが処方され、それによりドーパミンの生成を増やすのです。
サンフランシスコ大学で行われた研究等によると、レボドパを使ったドーパミン置換療法は、パーキンソン病の運動症状を緩和することが示されています。しかし、患者のほぼ半分はその代償を払うことになります。これにより不随意運動が進むためで、この状態がレボドパ誘発性ジスキネジアと呼ばれるものです。
その症状は次の通りです。
- チック
- 左右の揺れ
- 縦の揺れ
- 腕や足の不随意運動
- 四肢の落ち着きのなさ
神経弛緩薬の影響
ジスキネジアのもう一つの原因は、神経弛緩薬などの他の薬物の服用です。これらの薬物は、抗精神病薬や主要な精神安定剤にもなります。遅発性ジスキネジアは、一定時期、次の治療を受けた時に(時々)現れます。
この運動障害が起こりうる薬物は以下の通りです。
- ハロペリドール、ズクロペンチキソール、ペルフェナジン等第1世代抗精神病薬
- リスペリドン、パリペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール等第2世代抗精神病薬
- アミトリプチリン、フルオキセチン、フェネルジン等抗うつ薬
- フェニトイン、フェノバルビタール等抗てんかん薬
神経および自己免疫疾患
自閉症の人も、体を前後に動かすなどジスキネジアの動きをするケースがあります。しかし、この症状を引き起こすのは、神経学的な病気のみではありません。
- 小脳変性にも影響します。
- 神経血管性疾患や脳卒中を起こしたことがある人にも出ることがあります。
- ウィルソン病は体が過剰な銅を排出することができない珍しい遺伝性の障害です。この場合、ジスキネジアの症状が現れるケースがあります。
- 最後に、自己免疫障害が関わっている場合、多発性硬化症を患う人にもジスキネジアがよく見られます。
ミオクローヌス性ジスキネジア
このタイプの障害は様々ですが、不随意運動が見られ、突然の筋肉の収縮による短い動きが見られます。この変性は痛みを伴う場合があります。
この現象の原因は次の通りです。
- 進行性ミオクローヌス性脳障害
- 脳内の酸素不足による脳障害
- ミオクローヌスてんかんは女性が非常に影響を受けやすく、症状は顔面チックに限定されます。
ステレオタイプとチック
ジスキネジアのタイプには、患者がこういった動きを減らすためのストラテジーを学べば、コントロールすることができるものがあります。これは自閉症の人によく見られるものです。
重症度によって、軽度あるいはより無力化されたジスキネジア性チックがあります。その中には次が含まれます。
- 単純性チック
- 繰り返し、儀式的動きなど良くみられる運動ステレオタイプ
- 重度の痙攣に似た複数の複雑性チック:不適切な言語表現や侮辱をするニーズを感じます。例えば、トゥレット症候群などがあります。
ジスキネジアの治療
治療は問題の引き金が何かにより異なります。そのため、パーキンソン病患者と脳の損傷を受けた人では同じではありません。すべてのケースで重要なのは、診断を受け、症状の重症度を知ることです。
一般的に次のガイドラインが用いられます。
- ジスキネジアの原因となっている薬の使用をやめ、他の薬に変えます。これは基本的にシンプルなようですが、実は大きな問題があります。それは、主要疾患を治療する有効な方法をやめなければならないためです。
- ジスキネジアの症状が顔に出るケースでは、ボツリヌストキシンの注入がよく作用します。
- 脳深部刺激療法も、これらの症状に対し確実に成功率を上げる治療法です。
まとめると、これらの症状に対するアプローチは常に複雑で、患者の進捗を見るための学際的アプローチに基づいています。多くのケースで、ジスキネジアの影響を軽減し、患者のクオリティオブライフを高めることが可能になっています。
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