フロムによる強さの定義:充足への道をたどること

強くあるということは、生きる勇気を持つということです。エーリヒ・フロムは私達に、充足を得ることより大きな望みはないと教えてくれています。これは、恐怖に立ち向かう信念、より人間的で利他的な社会を作る勇気を持つ助けになります。
フロムによる強さの定義:充足への道をたどること
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

エーリヒ・フロムは 、強さとは誰もが実行すべき内省を鍛えることだ、と定義しています。自己破壊や純粋なテクノロジー社会へ向かう傾向のある複雑な世界で、私達の唯一の望みは人間として成長することなのです。

この成長には、責任、自由、自己知識を育むことが含まれます。

ラディカル・ヒューマニズムの精神分析学と自ら呼ぶもののパイオニアであるフロムは、哲学者でも社会心理学者でもあり、定期的に参照することで助けになってくれる存在です

フロムは、この時代でもっと啓発的な心を持つ人物の一人であるだけではありません。助け合いをより大切にする、ある種の利他的社会を形成しようと知的な戦いを主導し続けた人でもあります。

フロムはユダヤ系ドイツ人精神分析学者で、フロイトの理論を超え、一般的な人間性やその問題を分析するのに幅広く繊細で、批判的な視点を用いました。一方で、例えばヴィクトール・フランクルが行ったように、人の痛みや苦しみを治療するためのセラピーを作ることは一切しませんでした。

しかし、フロムは自分が置かれた状況、そして目指すべきものを大切にすることを促す良心の声であり、これからもそうあり続けるでしょう。ここから分析する人間の強さに関する彼の考えは、非常に興味深いものです。

「トータル・ヒューマニゼーションには、利己主義から連帯や利他主義へと向かう成長や自分の強さを鍛えることが必要とされる」

-エーリヒ・フロム-

フロム 強さの定義

エーリヒ・フロムによる強さの定義とは?

エーリヒ・フロムの強さの定義は、彼の複数の素晴らしい功績の中に現れています。その一つであり、最も興味深いのが著書『希望の革命』です。この本の中で私達は、テクノロジーの時代における社会のリスクに挑戦する価値を主張することのできる人、人間性の活動家になる必要があると語っています。

この考え方を理解するためには、文脈を考える必要があります。エーリヒ・フロムは、ナチスが権力を持っていた1934年、ドイツから逃げることを余儀なくされました。彼の考えの多くが、第二次世界大戦の恐怖や無意味さに根付いています。

その後、フロムはアメリカへ移り、複数の平和運動を行い、ベトナム戦争反対のために立ち上がり、自らを社会主義の過激で人道的な理想主義者だと宣言しました

彼は、1930年代のドイツ、その後ニクソン時代のアメリカと、人生の大半を自分が生きる社会に失望して生きてきました。

そこで、著書『希望の革命』の中で、テクノロジー社会にパラダイムシフトを生むような個人の変革へ向けて、人々を促したのです。そしてその変化の一つが、強くあることを学ぶ必要性に基づいたものでした。

3つのタイプの強さ(すべてが良いわけではありません)

エーリヒ・フロムの強さの定義は、二つのことを促します。一つ目は、希望と信念にコミットすることです。二つ目は、暴力、服従、無意味さ、自己中心性への対応の仕方を学ぶことです。これらはすべて、自分そして社会へのコミットメントの両方へ責任を持てるようになる必要性から来ています。

ですが、フロムが三つのタイプに強さを分けたことも興味深いものです。その内二つは、幸せや前進に役立つものではないため、私達にとって有用ではありません。それがこちらです。

  • 暴力や攻撃性に基づいた強さ、そして自分の価値(あるいはむしろ自己中心性)を示すためだけに困難に立ち向かう強さを示すことです。
  • 権力のある立場にある人物から何かを押し付けられた結果として、人は自身に生まれた強さを表現することがあります。つまり、何かを行うよう強制され、恐怖の結果として行動するときの強さです。

最後に、私達が目指すべきタイプの強さに関する、フロムの理論の中心となる考えをご紹介します。それは、楽観さや信念、希望を用い、社会を変革、発展させることのできる、恐怖心がない状態です。

「最も好ましく成長し、自分のポテンシャルを最大限に活かすことが人生の目的である。ナルシシズムや利己主義という牢屋から離れる意志と決断力を持つ人が、持続的な不安に耐える勇気を持った時、喜びや強さという初めてのきらめきを体験するだろう」

-エーリヒ・フロム-

エーリヒ・フロム 強さ

エーリヒ・フロムの強さの定義は、私達に充実を目指すよう促す

エーリヒ・フロムの強さの定義は、スピノザの定義を思い起こさせます。セファルディに起源があるこのオランダ人哲学者は、強くあることと、身体的忍耐力や勇気とは関係ないと言います。強さは、堅実さと寛大さに関連する美徳なのです。

  • フロムは、このアイデアに信念という概念を加え、人が自分と社会の前進のために取り組むべきコミットメントだとします。著書『希望の革命』の中で、人間はこれを絶望と諦めという殻で覆っていると指摘しています。これは危険なことです。諦めには束縛、自由の喪失、服従という意味があるからです。
  • 私達は、動機、信念、情熱を必要とします。フロムが著書『生きるということ』の中で説明するように、私達は喜びや自発性に火をつける必要があります。自発的に物事を行った時のみ、私達は自分たちの自由を示すことができるのです。
  • エーリヒ・フロムの強さの定義は、充足につながる啓発を行うため、私達に自己成長や自分を知ることを促します。これにより私達は、もう一つの特別な面である大胆さへの扉を開く勇敢な人になることができます。

大胆であるということは、本当に大切なものを求め闘うために、偶像や鎖、不合理な考えを取り除くことを意味し、こうすることで、より公正で利他的な、助け合いのできる社会を作ることが可能になるのです。


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  • Fromm, Erich (2018) La revolución de la esperanza.  Fondo Cultura Económica
  • Fromm, Erich (1992) Del tener al ser. Barcelona. Paidós.
  • Fromm, Erich. (2007) El humanismo como utopía real,  la fe en el hombre. Buenos Aires. Paidós.
  • Fromm, Erich. (2002) Anatomía de la destructividad humana. Buenos Aires. Paidós.

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