逆境によりレジリエンスが高まるとは限らない?
逆境により、必ずしもレジリエンスが高まるとは限りません。レジリエンスは一種の流行語のようで、その機能に関する理解は現実からかなり離れてしまっています。難しい時期を乗り越えた誰もが、必ずしも有能になるとは限りません。多くの場合、つらい経験により人は落胆し、幸せや充実を感じることから遠ざかってしまうのです。
私達はあらゆる意味で、変化の時代を生きています。これが理由で、楽観主義やポジティブさが、以前ほど有効ではないのかもしれません。ライフ・オブ・ライアンで歌われる「Always Look on the Bright Side of Life(人生の輝かしい面を見よう)」という歌詞も、現代では薄っぺらく聞こえるかもしれません。
今直目している問題やリスクと、私たちは向き合わなければなりません。無視したり、「すべてはうまくいく、これで自分は強くなれる」と考えるだけでは足りません。逆境を乗り越えるプロセス、負の感情や人生における優しくない面についても学び、他の可能性へのスペースを用意する必要があります。
レジリエンスは、自然と取得できるものではありません。勝手にスイッチが入るものではなく、必要としている時に必ずしも姿を表すものでもありません。そこで、この有効な心理的リソースの働きを理解することが大切です。
逆境により必ずしもレジリエンスが高まるとは限らないが、そこから学ぶことはできる
私達は経験(や感情)を「良い」「悪い」でラベル付けしがちです。その結果、多くの人が悪い方のカテゴリーに入るものに耐えられなくなっています。その理由は分かりやすいものです。人は、安定や自己満足、調和、快楽、バランスを好むからです。
しかし、予期せぬことが起きた時、問題や困難な状況の不協和音が何等かの形で現れ、精神的ブロックにつながります。嵐を乗り越える精神的ツールがないまま、息ができなくなってしまうのです。
逆境により必ずしもレジリエンスが高まらないのは、スイッチを入れる方法を知らないためです。さらに、克服することができないかもしれない非常に困難な状況と向き合うこともあります。詳しく見ていきましょう。
レジリエンスとは逆境に立ち向かうことではなく、それを操縦することである
レジリエンスに関しては灯台の例がよく用いられます。波が打ち寄せる嵐の海での灯台を想像してください。灯台はたじろぐことはありません。風がどんなに強くても、どんなに激しい嵐でも、灯台は耐え続けます。
これは良い例のようですが、間違っています。あまり詩的でもなければ素晴らしいものでもありませんが、役立つ例がブイです。次のように考えてみましょう。
- (逆境を表す)波に立ち向かうのではなく、海面に浮くブイのように共に動きましょう。
- 心の明瞭さと節度を持つことで浮かぶことができ、嵐を切り抜けることができます。
- 底につながるイカリになるものを持っておくことがカギになります。
- この内的イカリは、あなたの思考、姿勢、行動からできています。海に投げ出されるような経験をする時、内的イカリがその場にとどまるのを助けてくれます。
逆境によりレジリエンスが高まるとは限らず、このプロセスには時間がかかる
逆境によりレジリエンスが高まるとは限りません。厳しい日々はただ厳しい日々であるにすぎないこともあります。しばらく落胆し、それを乗り越えても何も得られないことがあります。あるいは、正しいコーピングメカニズムがないために、レジリエンスのスイッチを入れられない場合もあります。
- 困難な状況にある時、迷子になったように感じることがあります。これは意外に普通のことなのです。
- これがもし普通のことでなければ、心理療法士や精神科医、メンタルヘルスの専門家は必要ないですよね。しかし、あなたは激しい嵐にびくともしないスーパーヒーローでも灯台でもありません。あなたは人間であり、人は転ぶものです。
- 問題と向き合うのを助けてくれるツールを持った専門家のサポートを必要とすることは、まったくもって普通のことなのです。
重荷を抱え込み困難を最大限に利用する人もいれば、単に生き抜く人もいる
逆境により自然とレジリエンスが高まることがないのは明確です。その影響や結果は人によります。中には困難な状況に対処するのに生まれつき優れている人がいます。うまく対処するだけでなく、問題をチャンスに変えることができます。あるいは逆境をただなんとか生き抜き、それで終わるという人もいます。浮かんだままでコースからそれることはありませんが、「最大限に活かす」ことはしません。
はっきりとさせておくべきことは、この両者ともが同様に妥当で立派であることです。人生において困難な事態にある時、ゴールとなるのは、身体的にも精神的にも健康で耐えることです。これができれば、成功したことになります。
乗り越える上で、新しいツールを手にし、そこから何か学ぶ人もいます。また、暗闇を抜け、新たなスタートをきることにただ安心する人もいるでしょう。
どちらにせよ、自分の努力を讃えるべきです。一番重要なのは、新たな水域に入り、希望の地平線へと前進することなのです。