インクルーシブ教育とは

インクルーシブ教育とは
Alejandro Sanfeliciano

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Alejandro Sanfeliciano.

最後の更新: 21 12月, 2022

教育心理学の視点からすれば、私たちは「統合的」から「インクルーシブ」という言葉へと移行してきました。インクルーシブ教育は、ただ用語を現代風にしたものなのでしょうか?それとも、実用的な価値の変化を示唆しているのでしょうか?

ひとつの単語を別の単語に置き換えることに、あまり重要な意味はないと思われるかもしれません。しかし、人間は概念を通じて世界を定義するもので、用語を変えるということは見方の変化を意味します。

学校へ行って、子どもたちが上手く統合されているかと尋ねたら、おそらく答えは「はい」でしょう。幅広い民族、出身国、社会経済的地位の子どもたちの名前を挙げてくれるはずです。これらの学校は、自分たちの生徒が良い教育を受けていると言うでしょう。では、生徒が学校の中で 受け入れられているように感じているかどうか、聞いてみてください。答えは恐らく、そう単純なものではないはずです。

統合とインクルージョン(多様性の受け入れ)

「統合」に関して話す時、社会的に不利にある生徒が他の生徒と同等の教育を受けているかどうかを見ていきます。教育環境の中に置かれているか、のけ者にされていないかを見ていきます。生徒の社会的・個人的な福祉が、最も重要な要素となります。

先生と生徒

インクルージョンとは、生徒が、個性的な個人として、平等に、愛情と敬意をもって扱われているかどうかに関わっています。生徒たちが学校の「生態系」の中で、問題なく感じているかどうかも重要です。友達が作れるかどうか、学校の中の生活の一部になれるか、生徒が心配していないかどうかということです。

この2つの単語の本質的な違いは、一つは普遍的であり、もう一つは選択的であるということです。「統合」という言葉を使う時、烙印を押されたグループが「普通の」教育を受けられることに注力します。一方、インクルーシブ教育では、1人1人の生徒の状況や学校の目標を考慮しなくてはいけません。

烙印を押されているグループに属していない子でも、自分が阻害されているように感じている子どもはいるかもしれません。例えば、友達を作ることが上手にできない内気な生徒です。あるいは、自分のセクシュアリティに関して悩んでいる生徒もいるかもしれません。こういった子どもたちは、受け入れられていると感じることができていない可能性があります。統合教育の規範は、このような子どもたちをおざなりにしてしまうために、深刻な問題を引き起こしかねません。

インクルージョンの理由

インクルージョンの主な理由は、ただ流行りだからと言う理由で子どもたちの社交的・個人的福祉を確実にすることだけではありません。それよりも、深く考える必要があります。インクルージョンの目標は、生徒の教育と学びの顕著な改善です。重要なことは、すべての学生が、自分の最高の潜在能力を発揮することです。

これを可能にするために、生徒の社会的・個人的幸福が不可欠です。社会的・個人的な問題がある生徒は資源に乏しく、それが教育において大きな足かせとなります。

「特別教育」学級は、統合モデルの一部として発案された良い例です。普通のクラスの速さについていけない生徒に、特別な指示をします。しかし、これによって、支援というよりは除外になってしまっています。これらの生徒に、「普通ではない」というレッテルを貼り付けます。それによって、社会的・個人的幸福に影響を及ぼしてしまっています。

重要なもう一つの点は、平等、協力、差別のない教育を行いたいのであれば、例を示すべきです。学校がこれらの価値に従うインクルーシブ教育に即していない限り、これらの価値を教えていくことは出来ません。

インクルーシブ教育を実践するためにすべきこと

失敗に目を向けると、それを正すような理論を生み出すことは簡単です。しかし、これを実践するとなると、目標はより複雑になります。大抵、政治的、経済的、社会的状況に邪魔されて、それを実現することが難しくなるのです。そうであっても、出来るだけインクルーシブ教育の理論に近づけるように措置を講じることは可能です。

グループ

インクルーシブ教育に関する研究によって、正しい方向へ、正しい動きをすることが可能です。これらの戦法の中でも、最も効果的で重要なものを見ていきましょう。
  • クラスの観察。その後、観察したことに関する、体系化された議論を行う。
  • 同僚の授業を動画に録画し、グループディスカッションを行う。
  • 生徒や保護者の声を聴く。彼らが自分のニーズや問題を話せるようにする。
  • 生徒と先生の間の協力的な授業計画。結果の見直し。
  • 学校のカリキュラムの再編。生徒の特別な必要性に合わせるように修正。
  • 学校同士の協力。情報を集めるために、近隣の学校を訪問。

これらの考えの鍵となる点は、自己評価です。インクルーシブ教育を行いたいのであれば、継続的に学校で起こったことを見直していくべきです。この自己評価のあと、その問題を正すために必要な措置をとります。

全てのインクルーシブ教育の学校は、この単語の意味の完全な実現という意味では、理想郷に過ぎません。しかし、諦めてはいけません。可能ではあるのです。理想郷は、進むべき道を示します。理想であり目標であり、行動へと導いてくれます。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。