自閉症スペクトラム障害の子どもの脳

2019年9月9日
ある特殊な世界で孤立する人達がいます。自閉症スペクトラムは、過剰な神経接続により特徴づけられ、そのために、周りの刺激をすべて理解し、管理することは、彼らにとってとても複雑なことなのです。

自閉症スペクトラム障害の子どもの脳がひとつの家だとしたら、すべての部屋が音であふれ、全体に複雑な配線がしかれ、壁はほとんどすべての刺激に非常に敏感でしょう。この過剰なシナプスや神経接続が、それぞれの子どもに特定の変化を生みます

科学の進歩は、それほど重要ではありません。多くの人に影響しているこの神経系発達障害を学び続けても意味がないのです。自閉症スペクトラム障害の子どもに関する誤解、ステレオタイプ、認識の欠如により、私達は彼らをありのまま受け入れることから離れています。

ASD(自閉症スペクトラム障害)の子どもの問題行動により、私達の忍耐力が試されることはあります。彼らは、特別な精神を持っていたり、深刻な知能障害を持っていることもあるでしょう。しかし、常にその謎めいた世界に生きていながら、彼らの強さ、感受性、ニーズや注意力は私達を驚かせてくれます。

彼らの家族はとても立派です。絶え間なく、精力的な愛を注ぎ、ステレオタイプと付き合うだけでなく、子どもを支える心理学者、先生、専門家、医師など社会的立場にいるすべての人とチームになろうとします。

そのため、私達は、彼らの内面を理解することで、彼らの助けになることが出来ます。詳しく見ていきましょう。

脳

 

自閉症スペクトラムの子どもの脳内の過度の接続

2014年、コロンビア大学の研究チームが啓発的な研究を行いました。この研究データは、雑誌「Neuron(ニューロン)」に掲載され、ここで、2つの重要なことが説明されています。

  • 前述した自閉症スペクトラムの子どもの脳の特性:過剰なシナプスや神経間の接続
  • 過度の接続(3歳までに生じる特異な脳の変性)を調整できる可能性のある実験的治療

このシナプス特異性に加え、これに関する他の問題もあることを頭に入れておかなければなりません。例えば、脳の異なる部位間の伝達問題などです。

 

シナプス刈り込みの問題

胎児から2歳になるまでの間に、シナプス形成と呼ばれるプロセスが脳内で行われます。この間に、1秒で最大40000の新たなシナプスが生成されます。

  • この期間、子どもには必要以上の神経があります。脳が発達するにつれ、最も有用な接続は有髄になり、残りは取り除かれます。
  • シナプス刈り込みは、主に大脳皮質で行われます。そこで、思考、分析、反省、注意など実行機能を調整するプロセスが強化されます。
  • この刈り込みにより、思春期までに、約半分の大脳皮質シナプスが取り除かれます。
  • この研究により、自閉症の子どもの場合、シナプス刈り込みは50%ではなく16%までしか到達しないという結論が出されました。
神経

 

脳梁と脳の伝達

自閉症スペクトラムの子どもの脳は、脳梁と呼ばれる重要な構造に問題を抱えています。

  • この構造が、脳の異なる部位の伝達のカギです。
  • カリフォルニア工科大学の研究者リン・ポールは、自閉症の子どもの脳梁で、様々な変性を見出しました。これが、日々の社会的相互作為の問題、様々なタイプの情報を把握できない、誤解、精神的に融通がきかないことなどの問題につながります。

 

自閉症スペクトラムの子どもの脳の不均一性

ソウルの延世大学校医科大学の行った研究で、研究員は神経画像所見が不均一だと指摘しました。自閉症スペクトラムの子どもの脳には、明らかな構造的・機能的異常があります。ただ、2つと同じような脳を見ることはほとんどありません。

  • 結果として、同じ自閉症の中でも、一人一人に異なる行動、欠如、特徴が見られます。
  • 脳の部位の伝達法、神経回路に影響する遺伝的基盤があります。これで、なぜ、知的な潜在能力をもつ子どもがいる一方で、コミュニケーションのプロセスで深刻な問題を抱える子どもがいるのかが説明できます。
  • しかし、自閉症スペクトラムの子どもの脳は、普通社会的、感情的刺激を処理することに問題があります。
  • これは、この子ども達に感情がないことを意味するのではありません。実は、その反対です。愛され、支えられ、認められたいのです。または、単純に、これらの刺激への反応の仕方が分からないのです。
上を見る自閉症の子ども

 

まとめ

mTORタンパクは、現在研究が進められています。様々な研究によると、このたんぱく質はシナプス刈り込みを妨げる可能性があります。シナプス刈り込みは脳に強力な神経接続を作らせることができるため、非常に重要なプロセスです。

しかし、それを決定づけるものはまだありません。そのため、私達ができるのは、子どもの一人一人のニーズを理解し、その特性に合わせてベストな対応をすることです。

嬉しいことに、この分野に特化した多くの専門家が進化を続けています。人口の2%にあたるこのような人々のために、現在多くの専門家が関心を示しています。

彼らは、無関心そうで、とらえどころがなく見えるため、このような人々の現実をより理解してもらうことが私達のねらいです。彼らは、触られること、見られることさえ嫌がるかもしれません。しかし、彼らは私達を望み、必要としていることを忘れてはいけません。彼らの内なる世界を理解しようという努力が必要です。

  • Stephanie H. Ameis, Jason P. Lerch, Margot J. Taylor, A Diffusion Tensor Imaging Study in Children With ADHD, Autism Spectrum Disorder, OCD, and Matched Controls: Distinct and Non-Distinct White Matter Disruption and Dimensional Brain-Behavior Relationships. American Journal of Psychiatry, 2016; appi.ajp.2016.1 DOI: 10.1176/appi.ajp.2016.15111435