感情のリテラシー:自分の感情を特定し、理解し、表現すること

感情のリテラシー:自分の感情を特定し、理解し、表現すること
Sergio De Dios González

によってレビューと承認されています。 心理学者 Sergio De Dios González.

によって書かれた Gema Sánchez Cuevas

最後の更新: 22 12月, 2022

自分自身が何を感じているのか、いつでも容易に把握できるわけではありません。それが得意な人も中にはいますが、それでも感情の世界というのは誰しもにとって完全な未知の世界と言えるでしょう。これが感情リテラシーがそれほど重要な理由です。

感情とは何か、そして感情は何のためのものなのか、もしくはどう特定すればいいのかを教えてくれる人などいませんし、学校でもこういった話題を扱う科目はありません。そして教育の場では感情は重要視すらされておらず、ただ他人から何をすべきか伝えられ、それを受け入れるのみなのです。しかし、感情は長年にわたって見過ごされてきましたが、少しずつそれに見合った注目を集め始めています。

社会的な生き物であることに加え、私たちは感情的な生き物でもあります。つまり、心の中で物事をどう捉えるかによって感じ方が決まってくるのです。それではここから感情リテラシーとは正確には何なのか、もっと詳しく見ていきましょう。

「感情と社会性に関する学習は、子どもたちがコミュニケーションや社会統合のスキルを向上させるのに役立ちます。」

-ネヴァ・ミリック・ミュラー-

感情リテラシーとは?

リテラシーという言葉は、たいてい教育の中でも基本的なスキルである読み書きを教える過程の中で使われます。しかし、このリテラシーという考え方は、教えようとしているものが何なのかによって様々な方向に枝分かれしていくものでもあり、例えば、情報リテラシー、科学リテラシー、科学技術リテラシーなどが存在しています。

そして中でもとりわけ興味深くて挑戦的なのが、私たちの健康や幸福のためのリテラシーである感情リテラシーなのです。これは感情について教える際のプロセスであり、学校で始まるものです

絵で感情を表す子供

感情リテラシーとは、人々に感情とは何か、何のためのものなのか、そしてどう表現すれば良いのかを教えるという意味です。言い換えると、どう感情レベルで自分自身を理解すべきかを教えるということです。これは教育界のチャレンジであり、感情教育プログラムを強化している学校やプレスクールの数はどんどん増えています。

ちなみに、感情リテラシーという概念は、感情教育の類義語として使用することが可能です。この二つは違う名前を持った二つの列車のような感じですが、目指す目的地は同じなのです。

「感情教育とは、感情発達を促すための継続的で永続的な教育プロセスであり、認知機能の発達においても必要不可欠なものです。なぜなら、どちらも完全な人格を作り上げるためのカギとなる要素だからです。」

-ラファエル・ビスケッラ-

ダニエル・ゴールマンやラファエル・ビスケッラといった作家たちは、この概念を発展させることに強烈な関心を示してきました。ゴールマンは個性や道徳的発達や公民義務についての教育は、感情リテラシーや心の知能に関する教育と切っても切れない関係にある、と語ります。

感情リテラシーでは、規律を乱すような行動、攻撃性、人間関係における対立などにうまく対処するための能力を育てていきます。結局、感情的なスキルが欠けていると、大抵そういった類の問題から逃れられないのです。ですので、感情に関する教育を行えば、こういった問題が起きる頻度はおそらく減っていくでしょう。

感情リテラシーの目標

感情の世界を探求する手助けをすること以外に、感情リテラシーにはいくつか特定の目標があります。

  • 心の動きが乏しいケースについて調べる
  • 感情とは何かを知り、他者の感情についてもどう認識すべきかを知っていく
  • 感情の分類方法を身に付ける
  • 感情の度合いを制限し、処理する
  • 日々の生活で溜まってしまう鬱憤に対する忍耐力を強化する
  • 中毒性のある物質の摂取やその他のリスクを伴うような言動を抑える
  • 回復力を強化する
  • 人生に対するポジティブな向き合い方を身に付ける
  • 内なる葛藤を妨げる

また、共感学習や感情のセルフコントロール、満足遅延耐性の学習などのその他の目的を指摘する専門家たちもいます。これらのポジティブな行動は、自分自身の健康状態のためだけでなく、他の人々を良い状態にさせるための役割も果たしてくれるのです。

感情を選ぶ子供

感情リテラシーの恩恵

自分自身の感情をより良く理解するとより賢くなれるので、それまでよりも幸せになれます。これは単に認知的なものだけに限らず、知能全体の話なのです。そしてもちろんそこには感情的な部分も行動的な部分も含まれるべきです。

つまり、これは単に何を感じるか見ることだけを重要視しているというわけではないのです。感情それ自体がどのように現れ、感情から得られる情報をその人がどう処理すべきなのかという部分もまた重要です。そして、感情の処理方法はその人のメンタルヘルスに関しても影響を与えます。

この教育・学習プロセスから利益を得られるのは、子どもたちだけではありません。教師たちや教育業界全体も、この科目を扱うことにより何かしら得られるものがあるのです。子どもたちが教室で学んできたことについて両親が一緒に取り組めば、彼らもまたそこから何かを学ぶことができます。

感情リテラシーは大きなチャレンジです。しかし同時にいい機会でもあります。自分自身について、そして他者について知るための有効な方法なのです。それが努力に値する価値があるものだと知るいい機会になるでしょう。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。