癇癪とその予防法
あなたの子供が1日で3回癇癪を起こしたとします。その子は泣き叫び続けており、その状況をあなたは自分で対処できているか疑問に思い始めています。もう、子供の前から逃げて消えてしまいたいと思うほどにです。めちゃくちゃな状況の中、段々とイライラがつのり混乱してきます。もう自分が出来ることはすべて試し、どのようしたら癇癪を収められるか分かりません。
しかし、子供の癇癪を経験するということは、彼らの感情をコントロールしてあげる術を身につけるチャンスでもあるのです。この記事では、癇癪に対する対処法と新たな考え方をお教えします。これを読めば、癇癪を子育ての経験値として利用することができるはずです。
癇癪とは何か?
2歳から4歳の多くの子供は、自分の感情を癇癪を起こすことで激しく表現します。つまり、この年齢の子供において、癇癪とは一般的な感情表現なのです。そして通常、4歳から5歳でこの症状は落ち着いてきます。
この年齢になると、より正確な言語力や方法を習得し始め、自分の不満不平を言葉にできるようになります。そうすれば、癇癪を起こして自己表現をする必要性がなくなります。
癇癪は、不平不満を表現する便利な方法である以外にも、空腹感や疲労感、不快感、欲しいものが手に入らなかったときに起こります。つまり、子供が何か自分自身で成し遂げようとして、その能力がまだ彼らに備わっていなかった時に癇癪を起こすのです。
「人の怒りとはそれを生み出す状況よりも自分たちを傷つけている」
-マルクス・アウレリウス・アントニヌス-
癇癪の予防法
以下が癇癪の予防ガイドラインです。
1.癇癪の原因を突き止める
癇癪は空腹感や睡眠不足、物への欲求、人の注意を惹きたいなど様々な理由によって引きこされます。そのため、その時起こった癇癪の原因を突き止めるだけでは、すべての癇癪を予防することも子供がおとなしくなることもありません。
そのため、日常的に子供と接していく必要があります。週末など、子供と過ごす時間が長く、子供が癇癪を起こしやすい時に自分の子供ととことん向き合ってみましょう。
「教育とは、多くの習得と多くの通過、少しの所有である」
-カール・クラウス-
2.子供の要望を考慮する
子供が要望を口にしたら、それが何を意味しているのか考慮してあげましょう。それが無理難題でなかったら、それを叶えてあげるのも良いでしょう。
だからと言って、子供の要望をすべて叶えてあげるというわけではありません。下記のような制限を設けてみましょう。
- それによって、子供自身が傷つくか
- それによって、他人を傷つけるか
- 状況を付けずに要望を聞き入れてしまってはいいのか
- 周囲の脅威になるか
子供の要望に対しては大人が最終決定権を持っており、多くの場合「ダメ」と言ってしまいがちです。これでは、子供の好奇心や自由意志、言語力などは育ちません。そして、このようなことを続けていくと、通常よりも多く子供が癇癪を起こすようになってしまいます。
子供自身の自己表現を促すための最善策は、彼らにも理解しやすい言葉で質問してあげることです。「ばんごはんは鶏肉と魚のどっちを食べたい?」や「このシャツとあのシャツ、どっちを着たい?」と聞いてあげましょう。これにより、子供は自信をつけ、自分が親に大切にされていると感じることができ、彼らの質問に対して反射的に「ダメ」と言うのを失せぐこともできます。
「大人は子供から3つのことを教わることができる。それは、理由なく幸せになること、常に何かに夢中になること、自分の願望のすべてを伝えることである」
-パウロ・コエーリョ-
3.状況を予測する
これから起こることを子供に伝えてあげましょう。例えば、「今日は学校に行くよ。お昼寝をして、おやつを食べた後に迎えにいくからね。そのあとはおばあちゃんの家に行くよ」や「これからばんごはんを食べて、シャワーを浴びて歯を磨くよ。そのあとは、お話を読んで寝るからね」などです。これ以外にも、子供がしなくてはいけないことがある時、このようにして伝えるといいでしょう。
物事の順序を教えてあげることで、子供は安心します。このように常に落ち着いて子供と向かうことができれば、めちゃくちゃな状況や子供がルールを破ることを防ぐことができ、癇癪を引き起こす原因となる一時的な感情の高まりを抑制することができます。また、自分がこれからすることを子供に伝えて、子供の注意をこちらに向けさせてあげるのも大切です。
例えば、出かける時はその5分から10分前にそのことを子供に伝えます。また、「あと5つね」や「あと5回ね」など子供と交渉することで、喧嘩を避ける事もできます。そして、彼ら自身も自らの意見が尊重されてることを感じ取り、物事がよりスムーズに進みます。
「子供が苦難することを止めてはいけません。彼らにそれを乗り越える術を教えてあげるのです」
-ルイ・パスツール-
4.子供に選択肢を与える
もし、子供がしなくていけなことを拒んだら、選択肢を与えましょう。例えば「もう一回頑張ったら、行きましょう」や「手伝ってくれたら一緒にしよう」や「シャワーを浴びたら、一緒に遊ぼう」と伝えることで、子供は自分のやるべきことに喜んで取り組みます。
自分の個性を培っている子供は、再確認の意味で「いやだ」と言っているのです。子供に怒りや不満を溜めさせないためにも、親の要望に対する見返りとして選択肢を与えましょう。
子供が癇癪を起こしそうになっている時にしてはいけないこと
- 癇癪を防ぐために子供の要望を受け入れてしまう。その時は、癇癪が起きるのを避けることができるものの、根本的に解決にはならず、さらにひどい癇癪を起こすようになります。
- 子供に対して長い説明をしない。子供が目移りしやすいということを忘れてはいけません。
- 我慢強さ、落ち着きを失う。自分自身が子供のロールモデルであり、癇癪を起こしてはいけないということを忘れてはいけません。
- 子供を置き去りにしない。子供と一緒に過ごし、選択肢を与えて動揺させないようにします。
しっかりと対処していれば、4歳から5歳の間で癇癪はなくなっていきます。また、癇癪とは子供の生活の一部であり、そのため、しっかりと大人が癇癪に向き合うことで子供は複雑な世界で生きていくための術を学ぶことができます。それにより、困難に立ち向かう能力が育つのです。
子供が癇癪を起こしても、周りには助けてくれる人がいます。このことを忘れないでください。他の親たちも同じような問題を抱えており、そのことを話すことで、新たなアイディアも浮かんでくるはずです。また、自分だけで癇癪に対処できなくなったら、迷うことなく専門家の力を借りましょう。
「充実感に満ち溢れている人々は世界が素晴らしいと思い、それを守ろうとする一方、不満がある人たちは変化を望んでいるのです」
-エリック・ホッファー-
参考文献:
- Daniels, E., Mandleco, B., & Luthy, K. E. (2012). Assessment, management, and prevention of childhood temper tantrums. Journal of the American Academy of Nurse Practitioners. https://doi.org/10.1111/j.1745-7599.2012.00755.x
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- Daniels, E., Mandleco, B., & Luthy, K. E. (2012). Assessment, management, and prevention of childhood temper tantrums. Journal of the American Academy of Nurse Practitioners. https://doi.org/10.1111/j.1745-7599.2012.00755.x