緊急時のソーシャルワーカーの役割
災害が起こると、その地域の多くの人が影響を受け、様々な専門家が必要とされます。危機的状況でのソーシャルワーカーの目的は社会的介入を通して、問題を解決することです。
一般的に、緊急時にソーシャルワーカーが従う手順があります。ソーシャルワーカーの役割を詳しく見る前に、ここで使う言葉を説明しておきましょう (Villalibre, 2013)。
- 緊急:世界保健機関によると、緊急とは「助けがなくては数分後に死に至る状態にあること」です。
- 大惨事:英語で大惨事を指す“catastrophe”はギリシャ語の katastrefein (壊れる、破壊する)に由来します。世界保健機関は、「被害、経済的損失、人の死、健康の悪化、外部からの特別な援助を必要とする医療支援の原因となる出来事」と定義しています。
- 災害:英語の災害“disaster”は、ラテン語のdes(ネガティブ、不運)とastre (宇宙、星)に由来します。基本的には、宇宙や神が引き起こすネガティブな出来事と言えるでしょう。世界保健機関によると、公衆衛生に深刻で即時の脅威を与える予期せぬ出来事だと説明します。また、多数の命や健康をおびやかし、すぐに行動が必要とされる公衆衛生の状態です。
量的データを使い、アプテカ(1994)は、言葉の違いを説明しました。
- 事故や緊急:1000人以下が亡くなる状況
- 災害:千から百万人が亡くなったり、危険な状態にある状況
- 大惨事:百万人以上が亡くなる危機的状況。
これらに共通する特徴は?
フォース、ヘルナンデス=コロナード、ネバード、マルティネス、ロザダ、リロ(1998)は、この言葉に共通する脅威に関して次のように言っています。
- 即時の介入が必要とされる。
- 心理的影響は、出来事の大きさや結果に左右される。
- 不慮や予測できない場合もある。その場合、驚き、絶望、不安定が生じる。
- 命や身体が即時の危険にさらされることもある。
「この世は、皆を壊し、そして、壊れた場所で、多くが強くなる」
-エルンスト・ヘミングウェイ-
大惨事でのソーシャルワーカーの役割
まず、惨事が起きた時、ソーシャルワーカーは初めから介入することが望ましいでしょう。言い換えると、緊急時の対策の手順を作成し、予防に努める必要があります。また、他分野の専門家と協力する必要があります。緊急時、地域を支えるには、チームワークが非常に大切です。
このような事態は、悲惨で予測がつかないため、学際的介入が欠かせません。様々な方向から攻めると、問題は小さくなります。
ソーシャルワーカーは被害者に寄り添い、支援します。災害の後、立て直し、復興へ向けた活動に積極的に参加し、指揮を執ることで、地域を応援します (Peñate, 2009)。
次のような役割を果たします。
- 関連する組織に助言や情報を与える
- 起こりうる事態に備え、必要な情報を提供する
- ボランティアや専門家チームの形成
- 直接的、非直接的に被害にあった人に寄り添う
- 家族への連絡。怪我や死に関する情報の提供。大切な人の遺体確認の立ち会い
- リソースやサービスの提供
- 支援を受けるための証明作成に際し、状況を判断し、記録を取る
- クライシスセラピー、ソーシャルレポートの作成
- 自助グループの立ち上げ、地域参加の促進
緊急時、ソーシャルワーカーが目指すもの
惨事、緊急、災害時、ソーシャルワーカーが目指すものに、エレーロ(2012)は次をあげています。
- 社会的団体が与えられる機会に関する情報の提供
- これらの機会に通じることができるよう支援する
- 被害者の感情の受け入れを支える
- 問題と向き合うための新しい方法の提供。新しい環境に対する違った捉え方を示す
- 被害者の心理的バランスの回復を支える
- 被害を受けた人と一緒にこの事態を受け止め、前へ進めるようにする
- 危機的状況における人と人とのコミュニケーションを促す
- 状況の理解に関し、家族や個人を支える
- 周囲に対する恒常性の構築。言い換えると、新しい環境を受け入れられるように手伝う
さいごに。災害、緊急事態、惨事が起きた時、ソーシャルワーカーの存在は非常に重要です。ソーシャルワーカーを対策チームの一員として考えていない人もまだ多くいます。予期せぬ出来事により被害を受けた人の生活の向上にソーシャルワーカーは絶対に必要です。また、ネガティブな影響を軽減するためにも、対策チームの大事な一員として考えられるべきです。
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