子どもに自立する方法を教える

子どもに自立する方法を教える

最後の更新: 16 9月, 2017

自立は、努力と強さを必要とするので、多くの人にとって難しい課題といえます。精神的に自立している人は、勇気、愛、自信に満たされた人生を送っています。

しかし、このようなメリットがあると分かっていながらも、一部の人にとって、自立することは簡単ではないようです。これは、自立の仕方をしっかりと教えてもらってないからだと言えるでしょう。子供の頃は、自立について何も教えてもらわなかったのに、年齢を重ねると世間から必然的に自立するように求められます。

「理想的なのは、子供たちが知識を身に付けるのを助けるだけではなく、彼らの能力を伸ばすことである。」

―ジョン・デューイ

自立について教える=放任主義ではない

子供に自分で考えて行動するように励ますことは、彼らに明確なメッセージを送ります。そのメッセージとは、自分に自信を持って、社会の一員としての自分の行動に責任をもつこと。自分に自信がつけば、周りの人や状況に気を取られず、自分自身で行動を起こしていけるようになるでしょう。

「それが人生の鍵となるなら、自分自身で探す必要がある」

しかし、親として気をつけなければならないことがあります。「子供を自立させる」といっても、見放したり、何でも自由にさせるという意味ではありません。健康的な個人としての成長を助ける、挑戦や課題を子供に上手く与えていくということです。精神的な自立を学び、子供たち自身で、その課題や問題を解決できると親が子供たちを信じてあげることが大切なのです。

新聞紙の帽子をかぶる少年

「子供の発達に大切なのは、彼らに自立することの楽しさを教えること。そして親たちが、その道をきちんと進んでいけるように彼らを導いていくべきです。子供たちが自分で考え、行動できる力がつくように助けてあげるのです。」

―マリア・モンテッソーリ

子どもは間違いから学ぶ

分かりやすい例を出してみます。子供が割り算の仕方を学んでいます。学校で授業を受けてきて、家で練習するように宿題が出されました。宿題中、子供が悩んでいることに親が気づきます。

子供が悩んでいる、問題が解けずに困っているのを見ると、代わりにその宿題をやってあげたくなりますね。頭の良い子供は、親に宿題をやらせる方法を熟知しているようです。しかし、このように簡単に子供を手助けすることは、子供にとって良いとはいえません。悩んでいる子供を励ましたり、子供が集中できるように促したりはできますが、親が代わりに問題を解いてやるべきではないのです。

子供たちに、自分自身で行動するためのスペースを与えてあげましょう。あまりにも早く解決策を差し出したり、自分たちで挑戦する時間を与えないと、子供たちの能力を信じていないというメッセージを出すことになります。「その問題は難しいから、挑戦する前に諦めるべきだ」と伝えてしまっているようなものです。

親からの信頼は子どもへの贈り物

先ほど紹介した例には違う選択肢があります。宿題をする子供の横に座り、子供が自分自身で割り算をするのを辛抱強く見守ることです。子供はきっと間違えてしまうかもしれませんが、一生懸命問題を解こうとするでしょう。ただ答えを教えるのではなく、なぜその答えが間違っているのかを子供に気づかせたり、答えの導き方を子供に教えることが親の役目なのです。

お父さんと子供

間違ってしまうのは良いことです。その間違いから、割り算の仕方を学んでいくからです。間違いを直しながら、どうしてこうなるのかを自分で考えることで、だんだん計算の仕方に慣れていきます。こうやって自分の力で問題が解けるようになってくると、もう割り算の宿題で悩む子供の姿を見かけなくなるでしょう。

間違いを見つけて、それを直す。これを学ぶことで、彼らは自分に自信をつけます。自分にも出来ると確信した子供たちは、次に問題が現れた時でも、自分を信じてその課題に立ち向かうことができます。

「私の父は、他の誰からも貰えないプレゼントをくれた。父は私を信じていた。」

―ジム・ヴァルヴァノ

これは、決して彼らが一人で問題に立ち向かうように見捨てているのではありません。彼らが自分自身の能力を高められるように手助けをしているのです。これにより、自分の頭で考え、答えを探し、自分で出来ると証明することになります。この流れ全てが脳の中に新しい繋がりを生み出します。家族の役割がとても重要なのです。

過保護は成長の機会を奪う

過保護とは、子供が直面する色々な困難にすぐに介入する、一種の即時援助を意味します。それにより、子供たちはどんな問題が起こった時も、すぐに誰かが助けてくれると学んでしまいます。自分で問題を解決しようなどとは思いません。いつでも誰かが助けてくれると信じているのですから。彼らは、ただ笑顔で座って待っていればいいのだと思っています。

「最大の愛でさえ、成長するためには隙間が必要です。」

―ダニエル・グラタウアー

親は子供に「愛しているあなたのためなら何でもやるわ」という愛のメッセージを伝えるつもりで、この素早い援助を行っているのかもしれません。しかし、この行動は、子供には「あなたにはきっとできないでしょうから、私がやってあげるわ」と伝わってしまいます。必然的に、自分は何もできないのだというイメージを子供に植え付けてしまっています。

過保護すぎることで起こる結果

過保護に育てることで、子供は試したり、実験したり、努力したりすることで得られる成長の機会を失うでしょう。彼らは親に頼りっきりになります。過保護で起こりえることは以下の通りです。

  • 宿題の助けをよく求める
  • 少しでも難しいと思ったらやる気を失う
  • 少しの不満でも我慢ができない
  • 不安定な感情を持ち、他人に依存する
  • 低い自尊心と自己概念を持つ

だからこそ、子供たちが自分で発見したり、間違いをしたり、実験してみたり、不満を我慢する手助けをするのが大切なのです。このようにして、全てが解決できる問題ではないにしても、解決するための能力が自分に備わっていることを学んでいきます。

絵を描く少女

最後に、あなたもきっと聞いたことのある中国の教えでこの記事を締めくくりたいと思います。「人に魚を与えれば、一日食べていける。人に魚の取り方を教えれば、一生食べていける」私たちは、困難に立ち向かう子供たちに、ただ魚を与えるだけではなく、魚を取る方法を教えるべきです。これは、子供たちにとって一生使える、自分の人生に役立つ教訓になるでしょう。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。