泣いている子どもに「泣くな」は禁物

· 2017年9月6日

子どもが転んだり癇癪(かんしゃく)を起こしたとき、みなさんはどんなふうに声をかけてなだめていますか? 「泣くな」とか「もっと強くなれ」ですか?

それとも「男は泣くもんじゃない」、「泣いたってなんの解決にもならん」と諭しますか?

でも、このたぐいの声かけが果たして子どもたちに有効なのか、ちょっと立ち止まって考えてみたことはありますか?

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こういった声かけは行動を否定するだけでなく、その子ども自身と子どもの感情をも否定します。子どもたちに感情を表に出すことを教えるのではなく、感情を押さえつけることを教えているのです。

このような感情抑制を強いる言動は、子どもたちの発達に深刻な影を落とすばかりか、人間社会全般の発展にも影響を及ぼします。

とはいえ、子どもにこのように声をかけてしまうのも無理ない話。大人から同じように言われて育てられた私たちが、まったくおなじ轍(わだち)を踏んでいるからです。

これは成人した人に対しても当てはまります。傷つけられたとき、どうして涙を流してはいけないのか? 泣くという行為は自然な対処メカニズムであり、むしろ有効活用すべきなのです。

 

もし自分の子どもに内に秘めた感情を理解し、上手に付き合ってゆくことを学ばせたかったら、「こうしなくてはならない」という押し付けるような物言いを排除すべきです。自分たちの考え、感情、行動を抑制しようとする習慣が出来上がるのを防ぐことが大切です。

 

—ルシア、行かせておやり。

—おばあさんが言いました。

—だれを?

—あなたの涙よ! このままではおぼれてしまうってくらい、たくさんたくさん出てくると思うときがあるかもしれないけれど、それはちがうのよ。

—いつか、涙が流れなくなる日がくるの?

—もちろんそうよ!  おばあさんはやさしくほほえんで言いました。

—涙はいつまでもそこにはいないわ。涙は、自分たちの仕事を終えると、そのまま流れて行ってしまうから。

—涙の仕事って?

—涙は水なのよ、ルシア! 涙はあらゆるものをきれいに洗い流してくれるのよ、ちょうど雨みたいにね。雨が降ったあとは、すべてがきれいに見えるでしょ?

—マリア・フェルナンダ・エレディア著『雨はそのわけを知っている』から

 

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「愛」を与えれば、子どもの不安は消える

 

なぜ泣いているのか。その理由に気づき、それを理解し前に進むことが出来るのを知ることで、子どもたちは感情を上手にコントロールできるようになる

 

幸いなことに、私たちの間違った教育の中でも、自然は人間がもっとも強く反応する感情を「悲しみ」だと認識してきました。人間の脳が特に反応を示すのが悲しみで、ともに苦しみを分かち合うことで悲しみを和らげようとします。

 

これまで何十年も、間違った枠にとらわれた教育を受けてきたために、わたしたちは健康的感情であってもネガティブだからというだけで押さえつけ、抑制された状態をもって良しとしてきました。

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そうではなく、子どもたちには悲しみの原因には色々あること、動転したときのごく自然な感情であること、それを理解し前に進むことが出来ることを教えたほうがよいのです。つまり正しい自己対処モデルを与えること、悲しみや不愉快に感じていることが自分にどんなことをもたらしているのか、じっくり考えられるようにすることです。

 

「泣くな」という言葉で子どもたちの感情を押さえつけるのは、不安と否定にもとづく対処術を身に着けさせるようなものです。しかし実は、ネガティブで苛立ちをおぼえるというのは人間のきわめて普通の感情なのです。

 

子どもたちを理解することも大切ですが、わたしたち大人にとってさらに大切なのは、子どもたちがすっきりとした気持ちになってこの負のサイクルを終わらせる手助けをする、ということです。ここで肝心なのは、泣く原因は大抵の場合何らかのいらだちであることを理解し、ただ癇癪の押さえつけに出るような行動を慎むことです。

 

子どもに癇癪はつきもの。とくに2 – 6歳の子どもにとって癇癪には大切な働きがあり、 この働きを無視すべきではありません。ただし癇癪の長さとその理由については考える必要があります。

子どもの癇癪が始まると大人のほうもイライラしがちですが、ここで重要なのは、癇癪を起している子どもや子どもの感情はイエスと肯定し、間違った行いについてのみ否定することです。その子どもの発達段階に応じて、どうして怒っているのかを子ども自らに考えてもらうことで、その子の感情や気持ちを認めてあげるのです。

感情は、何もない「無」には生じません。人間の感情は複雑に入り組んでいます。たとえば、悲しみは「怒り」や「恥」と一心同体だと教えるのです。そうすれば、心身の成熟とともにいちだんと柔軟な発想力を発達させるにつれ、子どもたちはゆっくりとその教えを消化してゆきます。

悲しみの原因がどのようなものであっても、まずどうして泣いているのかを子ども自身に考えてもらい、ことばに出してもらうこと。そうすれば思考が混乱してどうすれば良いか分からなくなったときでも、子どもに悲しみのコントロールのしかたと、悲しみの原因をじっくり考えさせてやる手助けができるはずです。