恋はいつだって突然やってくる

恋はいつだって突然やってくる
Gema Sánchez Cuevas

によってレビューと承認されています。 心理学者 Gema Sánchez Cuevas.

によって書かれた Francisco Javier Molas López

最後の更新: 21 12月, 2022

私は学校の廊下を歩く彼女をいつも眺めていた。そして、その美しさを感じるために彼女の近くに座ろうとしていた。彼女の顔には安らぎと静穏が宿っている。彼女の髪は長くウェーブががった黒色だ。彼女の容姿は完璧だ。彼女こそ、僕が長い時間追い求めていた女の子だ。

たまに、僕たちは視線を交わし、挨拶をする。その瞬間、僕の声は震え、何を言っていいか分からなくなる。そしてようやく、僕は自分が恋に落ちいていることに気づいた。でもまだ僕は、恋というのが幻想であるということに気づいていなかった。

パトリシアのような女の子と付き合いたいと僕はいつも思っていた。そしたらどうだろう、僕たちは毎朝、同じ教室で顔を合わせている。彼女に近づけば、全ての空気を変えてしまうほど芳しい香水の匂いがする。彼女が僕に挨拶をするとき、僕の足はいつも震えている。

僕の隣に

彼女と一緒に街を歩く姿を僕はいつも思い描いている。美しい建物や不思議な形をした建物について話したり、身の回りにある全てのことの話をしていく。ベンチに座って話しながら笑うんだ。そのあとは、ご飯を食べにどこかに行って、楽しい時間を過ごす。そしてある日、僕たちは抱き合い、キスをする。学校で彼女を見かける度に、こんな妄想で僕の頭はいっぱいになっていた。

ある日、僕がクラスメイトと昼食を食べていたら、彼女が僕たちの隣に座った。こんなことがありえるだろうか?彼らはずっと前から知り合いだったかのようだった。僕はどうしたらいいか分からなくなって、心臓の鼓動が早くなっていった。僕の大好きな女の子が僕の前に座っている。彼女は美しく、彼女は完璧だった。僕は日を重ねるごとに恋に落ちていった。でも同時に、彼女を失望させることが怖くもなっていった。

カップル

特別な繋がりという幻想

僕たちは昼食を頻繁に共にするようになった。たくさん色んなことを話して、笑った。僕たちは決まって、相手のご飯について質問しあった。彼女は炭酸が好きだったけど、僕はただの水を飲むのが好きだった。彼女はサラダが好きで、僕はパスタが好きだった。僕はデザートにフルーツを注文するけど、彼女はプリンを頼む。僕は彼女の瞳を覗き込み、どこかの島で日光浴をして、透き通る海を泳ぐ彼女の姿を想像する。

僕たちは、もっと頻繁に顔を合わせるようになった。どうやら、彼女も僕に興味を持ってくれているようだ。こうなるまでの間、僕は彼女に一年半近く片思いを続けている。ある日、僕たちは一緒にお茶をした。とても良い時間だった。僕たちの趣味は違うけど、そんなことは気にしていなかった。僕たちがお互いのことを知り尽くしたことに僕は気づいた。彼女の行動を見ていると、僕たちの間に特別な繋がりがあるかのように思えてくる。

その時がきた

冬の日の午後、学校の食堂でパトリシアは僕の隣に座り、こう言った。「あなたに伝えなくていけないことがあるの」

僕の体は突然震え始めた。その時がきたのだ。

「もちろん、どうしたの?」僕は言った。

「私、ある人に恋をしているの。こういうことを話すのが好きじゃないから、今まで言ったことなかったけど、もうどうすればいいか分からなくて。」

「何か問題でもあるの?その人は、君のことが好きじゃないの?」そう僕は聞いた。

「彼も私のことが好きだと思う。」彼女は言った。

「それで?」僕は尋ねた。

「彼は他の町に住んでいて、滅多に会うことができないの。私、遠距離恋愛が苦手なの。みんな、遠距離は辛いっていうし。」

その瞬間、僕は彼女の言葉を聞くことをやめた。底のない真っ暗な容器に突き落とされたようだった。彼女を見つめ、しばらく感じていなかった怒りを感じた。

つまり、彼女は他の誰かが好きなんだ。今まで、そのことをそれとなく伝えていたんだ。なんてことだろう。そんなことがありえるだろうか。僕こそが、彼女の愛する人になるはずだったのに。僕は長い間、彼女に恋をしているけど、この気持ちは彼女と共有できていなかったんだ。

これ以上、彼女の話を聞いていたくないと思った。むしろ、彼女のことをもう二度と見たくないとすら思った。本当に悲しい気持ちになった。将来、彼女と付き合うことをとても楽しみしていたけど、実際、そんなチャンスは僕にはなかった。僕が彼女のことを好きでも、彼女は別の人が好きだった。何も分からない。なんで、彼女は僕をその気にさせたんだろう。

夕日と男性

実際に起きたこと

数ヶ月後、家に帰るバスの中で一人のおじいさんと会った。僕たちは隣同士に座っていた。バスに乗っている時間は1時間半と長く、僕たちには会話する時間がたくさんあった。

僕たちはたくさんのことについて話した。そこで失恋した話を僕は彼にした。驚くことに、そのおじいさんは僕を見て、優しく微笑みながらこう言った。「君が彼女に寄せていた想いは、本物ではなかったんだよ。」

「どういうことですか?」僕は困惑しながらそう尋ねた。僕は何年間も彼女に恋をしていた。どうして、それが偽物の想いになるのだろうか。

相手を知らなくて、その人のことを愛することはできない。少なくとも、恋愛においてはね。君は彼女自身ではなくて、空想上の彼女を愛していたんだよ。恋に落ちるということは、誰かを好きになることでは決してないということを覚えておきなさい。恋とは幻想なんだよ。」

そのあとの数分間、僕たちは黙った。僕は、彼が言ったことの意味が分からなかったし、どんな顔をすれば良いかも分からなかった。おじいさんは、窓の外を見つめて笑っていた。

そして、僕を見つめて言った。「君はたぶん彼女の外見が好きになって、そこから彼女と過ごす幸せな生活を想像し始めたんだ。君はそれをとても楽しみにしていたけど、実際には彼女のことを知らなかったんだ。そして少しずつ、彼女を理想化していたんだよ。

「彼女をより意識するようになって、君は彼女の魅力的な部分にだけ目を向けるようになり、彼女の欠点は無視するようになった。彼女が君を幸せにしてくれると信じていた。つまり、自分の幸せを彼女任せにしてしまっていたんだ。残念ながら少年、君がただ夢中になっていただけで、それは恋ではないのだよ。だからこそ、君は彼女に失望したんだ。自分の愛する人には何も求めず、その代わりにその人の幸せのために何でもするのが本物の愛なんだ。」

「君は彼女の行動が、自分に対する愛情だと思っていた。なぜなら、それは君が求めていたものだから。君は、自分の頭の中で作った恋愛映画の脚本家でディレクターでプロデューサーでもあったんだ。その映画を信じるがあまり、君は現実を見なくなった。でも心配しないで大丈夫だよ。これは誰にでも起こることなんだ。人生において一度は、恋の罠にかかるんだ。もし、本当に彼女が好きなのであれば、仮に彼女が自分と一緒にいなくても彼女の幸せを願えるものさ。だから次誰かと恋に落ちたら、本当に自分がその人のことが好きなのか、それともただ自分の頭の中で不条理な期待をしているだけなのかよく考えてみなさい。」

恋は幻想である

ホセ・オルテガ・イ・ガセットが『自分の中の想像力が他人に対するありもしない幻想を映し出すとき、私たちは恋に落ちる。しかしある日、その幻想は蒸発して愛は死ぬ』と言っている。どうだろうか、面白いだろう?完璧に記憶するのに少し時間はかかったが、この言葉は私の人生に大きな影響を与え、忘れることはできなくなった。そして今、この言葉は君を救うだろう」とおじいさんは続けた。

僕はバスから降りて、おじいさんに別れを告げた。家に帰って、親に声をかけて、僕はベンチに腰を下ろした。そして、おじいさんが僕に言ったことを考え始めた。初めはおかしなことを言っているように聞こえたけど、よく考えれば、彼の言葉は正しかった。

確かに、パトリシアが僕のことを想っていたことなんて一度もなかった。全ては僕の頭が作り出した妄想だ。「誰かを本当に愛しているなら、君はその人の健康や幸せを願うはずだ。その人に何かを求めない代わりに、その人のためになら何でもできるはずだ。もし、その人が苦しんでいたら助けてあげなさい。人を助け、幸せにすること、それが愛というものなのだよ。そしてもし、その人があなたを愛しているならば、きっと今までにないほど、より良い関係が築けるだろう」というおじいさんの言葉を今でも思い出す。

突然、全てを理解できた。それから恋についての本を読み始めて、チョリスとゴメス(Chóliz and Gómez, 2002)の面白い記事を見つけた。そこには、魅力的な人はそうでない人よりも多くの利点があると書いてあった。私たちは、彼らの容姿が良いという理由で、自分に都合の良い性格をその人たちに付与し始めてしまうらしい。それによって、その人に奉仕するようになる。

おじいさんの言葉や本で読んだおかげで、僕はより一層、恋が幻想であるということを自覚した。だからこそ、自分の頭が作り上げている願望に気づくことが重要なんだ。

今では、女の子と会って自分の中の衝動的な感情を感じた時、この言葉繰り返している。「恋は幻想だ。」

「恋に落ちることと関係を築くことは二つの難しいことだ。」

-キアヌ・リーブズ-


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