個人的な境界線を引けるようになることの大切さ

自分より人のニーズを優先させ、誰かの頼みに「ノー」と言うことに罪悪感を感じること、ありますよね。そこで、考えてみましょう。相手を助けない場合、自分は自己中心的で悪い人なのでしょうか。ここで必要なのは個人的な境界線を引けるようになることです!
個人的な境界線を引けるようになることの大切さ
Laura Rodríguez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Laura Rodríguez.

最後の更新: 21 12月, 2022

個人的な境界線を引くということは、どんな時も自分の意見や信念を通すということではありません。あるいはどんな時も正直であり、人の意見や気持ちを気に留めないということとも違います。

より具体的に言うと、境界線を引くということは、自分が何を必要としているか、何を欲しているかを人に伝えるということです。この欲求やニーズは相手のものとは異なるかもしれません。そこで、自分が何を求め、何をしたくないのかを表しつつ、人のニーズや欲求を無視せずに相手の考えや気持ちを考慮することが、個人的な境界線を引くということになります

個人的な境界線を引くということは、人と(自分と)の間で超えられてはいけない境界線を作ることです。

パーソナルスペースの研究の第一人者であるエドワード・T・ホールとロバート・ソマーは、人が占有しているのは単なる身体的な領域ではないと主張します。このスペースは、人が精神的、身体的、感情的に守られていると感じ、人の発言や行動により責められることのない空間です。

しかし、この境界線が日常的に超えられていることが彼らの研究で示されています。この境界線が侵略されるのは防ぐべきことではないので、私達は常に境界線を守ってはいるわけではありません。人は何に制限されているか、また境界線を設定することがなぜそんなにも重要なのかを見ていきましょう。

個人的境界線

境界線が設定できないのはなぜか?

個人的境界線が引けず、必要な時に「ノー」と言えないのはなぜでしょう。これには、拒絶への恐怖が関係しているようです

例えば、パートナーが助けを求めているとします。一方であなたはあまり乗り気ではない、あるいは手を差し伸べることが正しいことだと思いません。なのに自分がやりたくないことをなぜ結局やってしまうのでしょうか。それは、手を差し伸べないことにより関係が壊れてしまうのではないかと恐れるためです。

また、自分のニーズよりも他の人を優先し、人の要求に「ノー」と言うことに、罪悪感を感じることがあります。助けないことにより、悪い人だ、友達じゃない、自己中心的だと思われることを恐れているのです。

しかしこれは考えすぎです。人が自分に望んでいることを叶えるために自分の予定を変えたり、自分を人より優先したからと言って、悪い人にはなりません。当然、常に自己中心的であったり、人より自分を優先するのはよくありません。だからと言って、いつも自分のニーズより人のニーズばかり考えるべきでもありません。バランスが大切なのです。

すべてを自分の責任だと考えたり、人の問題に関わりすぎる傾向があると、個人的な境界線を引くことが難しくなります

「ノー」と言えないのは、まったく関係のないものも自分の責任だと考えがちなためでしょう。ひとりで完璧にできる人の仕事を手伝ったり、自分とは関係のない、友達が抱えている問題を解決しようとする人がその例です。

境界線を引くことはなぜ重要なのか

自分を知ること

境界線を引くことのメリットは、自分を知ることと関係します。線引きをするには、まず自分を知り、自分のニーズを知っておかなければなりません。自分は何がしたいか、何を必要としているか常に意識しておくことが必要です。そこで、自分は何がほしいか、何を必要としているか、何を心地よく感じるか自問しましょう。

同時に、境界線を引くことで自分をより大切にでき、また周りもそのラインを尊重するようになるでしょう。

自尊心へのメリット

境界線を引くことで、自尊心を大きく高めることになります。自分のニーズを考慮し、自分に必要なスペースを与えることにより、自尊心が高まるのです。

自分への満足度や自尊心が高まり、周りにありのままの自分を見せることへの恐怖がなくなります。自分の弱い部分がさらされたり壊されたりするのではないかというストレスを、常に感じることがなくなるはずです。

周りがどう受け取るかに関わらず自分のニーズを表現できるようになり、相手の期待に沿えないことに罪悪感を感じなくてすむようになるでしょう。

境界線を引くということは、周りの要求やニーズに義務を感じることなく自分の意志で「ノー」と言うことなのです。

健全でバランスのとれた関係

境界線を引くということは、人間関係を築く上で、バランスを欠いたり不平等になるのではなく、健全に、バランスを保ち、人と繋がるための方法です

自分がどのようにコミュニケーションを取りたいかをはっきりと示すことができるようになり、人として満たされるのを感じるでしょう。また、境界線がないことによる、その関係におけるストレスやフラストレーションがなくなります。

自分の引いた境界線や人の境界線を大事にすると、時間を追うごとに人間関係がより健全になり、より安定します。関係の中で相互の尊重ができ、相手から攻め入られているという感覚がなくなるでしょう

まとめると、人との間に境界線を引けるようになることで、自分の健康や幸福感を高めることができます。自分の意志で選択を行っていると感じ、自分のニーズを認識し、適切にその範囲を決めることができます。さらに、自分の人生における決断に対して責任感を持てるようにもなるはずです。


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