ロックダウン中の感情的摂食行為に潜む危険性

パンやケーキを作ったりワインを一杯楽しんだり、食事の間にスナック菓子を食べたり…。コロナウイルスによる外出制限の中、食べ物は嫌な気分を遠ざけ、不安が生まれがちな現状の中で喜びを見つける手段となっています。
ロックダウン中の感情的摂食行為に潜む危険性
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

心の動きは感情として現れるだけではなく、「食べる」という行為にも反映されます。現在私たちが経験しているような非現実的な状況においては、食べることが一日の最大の楽しみの一つになっています。

しかし、それが本当に心の避難所になるほど極端なレベルに至ってしまうこともあり得ます。外出制限が不安を湧き上がらせる引き金となり、様々な形で食習慣を変えてしまう可能性があるのです。この記事で、ロックダウン期間中の感情的摂食行為に潜む危険性について詳しく学んでいきましょう。

食べることは、単に食欲を満たす以上の行為です。ただ栄養をとったり体にエネルギーを与えることを考えれば良いという問題でないのです。実際、私たちは買い物リストを作ったり調理をする際、体に必要なビタミンやタンパク質、ミネラルを摂ることを常に意識しているわけではありません。私たちは美味しい料理を喜びを感じながら食べたい、また愛する人々にも美味しい食べ物を楽しんでもらいたいと思っています。

食べ物は楽しむためのものであり、不安やストレスに支配されてしまいがちな日常の中では、食べることが感情のはけ口となり得ます。それが明白な現実なのです。

中には、外出を制限された状態であっても、健康とバランスのとれた食生活を維持する必要性を見失っていない人々もいます。しかし過去に摂食障害を抱えていた経験のある人々の存在は見逃せません。

一方で、この自粛中の数週間の間、人々はこれまで以上にたくさんの非健康的な食べ物を食べるようになっています。こういった食べ物は実際に私たちの感情のはけ口になるため、昔ながらのスナック菓子やソフトドリンク類、そしてアルコール類をスーパーマーケットに到着するとまず一番に探す人がたくさんいます。

しかし、もう一つ別の興味深い現象も発生しています。それは、イースト菌の売り上げが伸びているという現象です。これについてはもう少し後でお話ししていきます。

ロックダウン期間中の感情的摂食行為:買い物リストには何を含めるべきか

感情心理学や栄養学の領域から、人々はストレスあるいは不安を感じると食生活を変え始め、いわゆる感情的摂食行為と呼ばれるものが始まることが分かっています。

そのため、現在のような状況下では、私たち全員が改善にしろ改悪にしろ、食事をある程度変えてきました。以下ではコロナウイルスによる外出制限中に見られる行動パターンの種類をいくつか見ていきましょう。

ロックダウン中 感情的摂食行為 危険性

現状について考えなくて済むように、食べる必要がある以上のものを食べてしまう

考えなくて済むように食べる。喜びを生むような、そしてネガティブな感情を抑えられるような食べ物を選ぶ。近頃はこういった行動パターンが、人々の買い物かごに入る商品を決定づけているようです。

私たちは一日中自宅で過ごしています。したがって、この時間を少しでも耐え易くする一つの手が、クッキーやケーキ、スナック菓子、ワイン、ビール、あるいは大量の炭水化物を食べることなのです。

私たちの頭脳と心は、「食べて、楽しんで、心配はするな」という奇妙な同意に達したようです。しかし、食べ物が感情のはけ口になってしまうと大きな問題が生じます。

平均的に、体のセロトニンやドーパミンの生成を助ける食べ物は非常に短期的な影響しか脳に与えません。一時的にホルモン値が上昇し、その後減少するのです。満たされるわけではないのに依存性があるので、脳はもっとたくさんのこういった不健康な商品を食べるよう指令を出してきます。

ストレスや悪影響、そして病的な摂食行為

現在発生中のパンデミックは、これまでになかったタイプのストレスを生み出しました。苦痛でいっぱいの未知の状況と異常なプレッシャーとの強烈な組み合わせが私たちに牙を剥き始めているのです。

また、私たち全員が似たような形態で、そして似たような行動パターンで暮らしていることも事実です。そしてそれによる悪影響は、テクノロジーを介して過度に繋がりあった世界ではほぼ回避が不可能です。

この危機の冒頭で、私たちはトイレットペーパーの買い占め行動を目の当たりにしました。しかし、最近数週間に消費が増加してきているのは、ワインや数時間に及ぶテレワークやドラマ鑑賞のお供にぴったりな、様々なスナック菓子なのです。

昔馴染みの家族のレシピ、感情の逃げ道を作る別のトリック

私たちは最近、自らの感情に食い物にされ(ダジャレのようになってしまって申し訳ありませんが)ており、特に不安障害を持つ人はなおさらその傾向が高くなっています。しかし、これに関してはまた別の興味深い行動パターンも見られます。

これまで以上に暇な時間が増えていることもあり、多くの人々がキッチンで過ごす時間を増やしているようです。自分たちが子どもの頃に母や父、あるいは祖父母に作ってもらっていた料理のレシピを再現しようと料理をする人も多いようなのです。

それが当時の気持ちや思い出を呼び戻したり、料理のようなリラックスできるアクティビティを通して時間をもっと過ごしやすいものにするための方法なのです。

ロックダウン中 感情的摂食行為 危険性

パン(または他の料理)を作ってその写真をソーシャルメディアにアップする

外出制限により、「過度に活動的になってしまう」というまた別の行動パターンも見られるようになっています。非常に珍しい方法でエクササイズを行う人もいれば、手芸品を作ったり、勉強したり、そしてもちろん料理をして後から完成品の写真をソーシャルメディアにアップロードし、たくさんの”イイネ”を獲得しようとする人もいます。彼ら自身がどう考えているかに関わらず、こういった行為全てもまた心の逃避行動の表れです。

直近数日間でもう一つ非常に人気の高かった商品が、イースト菌です。パンやデザート、そしてその他のベーカリー製品への関心が突然高まりを見せているのです。

こういったレシピを作ることで、私たちは明白な喜びを得ることができます。その理由はまず第一に、これがリラックスできてモチベーションも高めてくれるような行為であるためです。手を使った作業というのは常に脳にとってカタルシス的な効果をもたらしてくれます。

第二に、後からそのレシピをインスタグラムにアップし、”イイネ”をもらうことができるためです。家にいる人々や遠く離れたところにいる人々など、あらゆる方面から励ましや良い反応を得ることができるのです。

まとめると、昨今の外出制限中に食べ物を買ったりそれを消費したり、自分たちで料理を作ったりする行為は心の回避行動として、あるいは感情に押しつぶされないようにするための脱出行為として行われるということです。

しかし、特に健康を害するような習慣に陥ってしまうことがないようにしましょう。アルコールや、栄養ではなくただカロリーしか体に与えないような食べ物の摂取には気をつけてください。ロックダウン期間中は、感情的摂食行為を行わないよう注意しましょう。今は、これまで以上に自分自身のケアをする必要がある時なのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。