コロナ危機の中でネガティブな思考を抑えるには?

このCOVID-19パンデミックの真っ只中では、恐怖や不安を感じるのは当たり前のことです。とは言え、ネガティブな思考は抑制しなければなりません。そうして初めて、自らの心がこの苦境を乗り越えるための味方となってくれるのです。
コロナ危機の中でネガティブな思考を抑えるには?
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

COVID-19危機がある状況では、ネガティブな考えを持ってしまうのは至って普通のことです。それでも今、世界中のほとんどの人が同じ感情、恐怖、そして不安を経験しているのだ、と理解することが重要です。そうすれば少しは孤独な気持ちを和らげ、他人とのつながりを感じられるかもしれません。とは言え、絶望状態に陥ってしまわないようにするためには、自分自身で精神状態をコントロールする必要があります。本日の記事の中で、ネガティブな思考を抑える方法を学んでいきましょう。

私たちがこのブログで訴え続けてきたように、このコロナウイルス危機は単に身体的な健康状態だけの話ではありません。こういった状況では、精神面の状態も同様にケアすることが必要不可欠です。

外出制限や愛する人々との別離状態、そして将来何が起こるのかわからないという感覚といった要因により、心のバランスが大いにぐらついてしまう恐れがあります。

私たちは今、自らの心に試されているのです。このような予想のつかない状況では、秘められた底力が必要になります。場合によっては、私たちには悲しみから逃れるための一時的な避難所を探す権利があるのも事実です。しかし、自分でコントロールできる部分、例えば思考や行動といった部分は、投げ出さずに自らコントロールし続けなければなりません。

実は、コロナウイルスそれ自体よりも素早く拡散されてしまうものがあります。それはパニックです。しかし、恐怖には絶対に屈してはなりません。恐怖心に任せた行動は自分にとっても他人にとっても有害なだけだからです。今こそ、自分でも持っているとは気づいていなかった自らの底力を発揮し、この困難な期間中ネガティブな思考を抑えておくための方法を学びましょう。

コロナ危機 ネガティブ 思考 抑える

COVID-19危機の間、どうネガティブ思考を抑えればいいのか

世界保健機関(WHO)やアメリカ心理学会(APA)などの組織は、かなり的確にいくつかの予防策を推奨しています。彼らの助言は、手を頻繁に洗うことや自宅に留まること、ソーシャルディスタンス(他人との距離)を保つこと、そして不要な外出を避けることなどです。

こういった対策は感染のリスクを減らすのに役立つ一方で、人々をいつ爆発してもおかしくないような不安という名のカプセルに閉じ込めてしまうものでもあります

コロナウイルスのパンデミックは2019年の終わりから始まり、急速に拡大しています。そして、単に感染症を引き起こすだけでなく、生活やプロジェクト、仕事、学業、そして短期的な目標などを混乱に陥れています。

今の私たちはガラス玉の中に閉じ込められたような状態であり、それによって受ける心へのダメージはかなりのものになり得ます。それでは、COVID-19パンデミックの間、自分自身でネガティブな思考を抑えるための方法を詳しく見ていきましょう。

私もきっと感染してあらゆる悪夢がやってくるのだろう…大切な人々を失うことになるのだろう

感染や死への恐怖が、このような状況における最も広く見られるネガティブな思考です。こういった恐怖が頭に浮かんでしまうのは完全に正常なことですし、恐怖心が生まれると、自分自身や愛する人々を守らねばという目的意識も生まれてしまいます。

しかし、こういった思考が常に頭の中を回り続けるような状態は許してはなりません。これではただ思考が停止し、パニックを悪化させるだけです。では、この状況において私たちには何ができるのでしょうか?

  • 現実的なアプローチが必要です。もちろん感染の危険があるのは事実ですが、適切な対策を取っていればそのリスクはだいぶ抑えられることを理解しましょう。
  • また、自分と近しい誰かが死んでしまう可能性があるのも事実ですが、まずは統計を確認するべきです。その危険性は3〜5%か、おそらく統計が示す以上の人が感染しているはずなので死亡率はそれよりかなり少ないかもしれません。特に高齢者やその他の虚弱な人々が重症化しやすいため、彼らこそが私たちが守るべき人々です。
  • こういったネガティブな思考に襲われたら、毎回必ずそれらについて理性的に考え、悲観的で有用性のない思い込みを閉じ込めておけるような引き出しを思い浮かべて、鍵をかけてそこに閉じ込めてください!
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この悪夢は一生終わらないのだ…こんなの私には耐えられない!

心理学では、このタイプの考え方を「感情予測」と呼んでいます。これは、明日自分がどう感じるか、そして明後日、翌月にどのような感情を抱くか予測する時に起こる現象です。パニックや苦痛といった非常にネガティブな感情に心を乗っ取られてしまう事態はよくあることで、こうなるとそういった感情を抑えるどころかよりその悪影響を受けやすくなってしまいます。

一方で、この感情予測はCOVID-19危機の間最も頻繁に発生しやすいネガティブ思考の一つであることも把握しておかねばなりません。この外出制限が永遠に続き、ウイルスに一生打ち勝てないのではないか、と考え始める人々が出てきています。しかし、この危機に対処できるかどうかは、自らの頭脳をいかに強く持ち続けられるかにかかっているということを自覚しましょう。

これを実現するための方法の一つは、自身の感情世界をコントロールすることです。リラクゼーションテクニックや瞑想を取り入れたり、心から有害なものを取り除けるようなアクティビティを行なったり、愛する人々とおしゃべりをすることが役に立つはずです。

さらに、悪い予感ばかりが頭に浮かんでしまう時には、自分自身にこう問いかけてみてください、「今までに何回、最悪な事態が一生消え去らないような気がしたことがあるだろう、そして実際にその通りになったことはあっただろうか?」と。落ち着いてください、この危機もいずれは過ぎ去るはずです!

仕事も世界もこれまでとは変化してしまうので、失うことになるのだろう

COVID-19危機の間は、たくさんのネガティブな思考に悩まされることになるでしょう。さらに、職を失ってしまうのではないか、世界がこれまでとは変わったものになってしまうのではないか、と心配になるかもしれません。

これに関しては、一つ極めて明白な事実があります。それは、この恐怖は極めて合理的だということです。人類がこのウイルスを制御できるようになれば全てが元通りになるだろう、と自分に言い聞かせるのはあまりにも安易でしょう。

なぜなら実際に多くの人が失職してしまう可能性は高いと思われるからです。では、この恐怖にはどう対処すべきなのでしょうか?

  • 現在必要なものを優先し、そのことだけに集中しましょう。今私たちにとって最も重要なのは自分自身のケアをして安全を確保し、身を守り、感染曲線を平坦なものにすることです。それが全員にとって現在最優先すべきことであり、実際に私たちの力で成し遂げられる唯一のことなのです。
  • 明日何が起こるのか、誰にもわからないのは事実です。しかし何が起ころうとも冷静に向き合わなければなりません。その時が来たら、状況に応じて行動してください。常に一つのことだけに集中し、少しずつ、そして1日1日対応を進めていきましょう。

最後に、このパンデミックにはいつか必ず終わりが来ます。人類はこれまでにも似たような危機を乗り越えてきましたし、現代社会には昔よりもたくさんの技術や資源があり、より優秀な専門家や医師たちがいます。人間は協力すれば驚くべき力を生み出せますし、現にそれが今起こっていることなのです。

恐怖を感じてしまうのはごく当たり前のことですが、それに流されてはいけません。自らの感情を自分にとって役立つように活用しましょう。そして、身体の健康と健全な精神状態が最優先事項であることを忘れないようにしてください。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。