コロナウイルス:トイレットペーパーの買い占めはなぜ起こる?

コロナウイルスの危機において印象的な行動に、トイレットペーパーの買い占めがあります。なぜ買い占めは起こるのでしょうか? このような行動は心理学的に説明することができます。
コロナウイルス:トイレットペーパーの買い占めはなぜ起こる?
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

新型コロナウイルス感染症にまつわるものには、心理学的な関心を引く行動があります。その一つが買い占めとそれにより空っぽになった棚です。トイレットペーパーを大量に買う人が出ており、多くの人がその行動に疑問を抱いています。

コロナウイルスの感染が始まったころ、ほとんどの人がマスクや消毒用アルコールを買い求めました。この行動は理にかなっており理解できます。自分を守るためという理由があります。これはコロナウイルスから自らを守ろうとする行動だからです。この行動には今でも説明がつきますが、必死にトイレットペーパーを求める人にはどのような理由があるのでしょう?

さらに、もうひとつ疑問が湧きます。供給に問題はないのに、なぜ1回でそんなにも多くを買おうとするのでしょうか?実は、商品を買ってストックしておくことで、買った人は心の落ち着きを得ようとしているようなのです。

これに関して皮肉、冗談、ミームをきっと見たことがあると思いますが、あなたが知っておくべき解釈もたくさんあります。全体として人の感情や世論の指標として働く大きな心理学的影響があるのです。このことについて詳しく見ていきましょう。

コロナウイルス 買い占め

なぜトイレットペーパーの買い占めが起こるのか?

トイレットペーパーは、絶対的に必要不可欠な物ではないということは間違いありません。水や食べ物と違い、生存に欠かせないものではありませんが、現代社会の考えでは必要不可欠だと思われがちではあります。例えば石けんなどの他の洗面用品よりも重要だと考えられているようです。

これは非常に面白い事実で、西洋文化や西洋の思考に何らかの形で根付いたものです。興味深いことに、中国人にはこのような行動はみられませんでした。衝動的なトイレットペーパーの買い占めはなかったのです。これは、中国人がトイレットペーパーがなければティッシュやペーパータオルを使えば良いと分かっていたためです。

しかし、緊急事態における西洋人の行動は異なります。コロナウイルスの危機におけるトイレットペーパーの衝動的な買い占めに関して、説明しましょう。

諦めたくない最低限の快適さ

数週間家にいなければならないとなると、私たちは最低限の快適さを求めます。さらに、買い物ができないのであればなければ暮らせないと思う物はたくさん浮かびます。その一つがトイレットペーパーです。基本的ニーズのピラミッドの根底にこれがあるのです。

トイレットペーパーは当たり前ですが食欲を満たしてくれません。しかし、トイレットペーパーがあることで最低限の品位を保つことができます。そういった理由から私たちはこれを諦められないようです

非合理的な行動は伝染する

消費者心理学で分かっているのは、購買行動は大部分が衝動的で非合理的であることです

人が買っているのを見るだけで自分も買いたくなるのです。今すぐにそれを真似したいと思わなくても、ある時点で同じ行動をとってしまうのです。

  • 人は、必要不可欠な物だからという理由のみでトイレットペーパーを買い占めるのではありません。誰かがまとめ買いをしているのを見て、同じ行動をとるのです。
  • ソーシャルネットワークやテレビでは、カートにたくさんのトイレットペーパーを乗せている人が常に映し出されています。そういったものからの伝染を止めることはできません。
  • これと同時に、他の現象も生じています。トイレットペーパーはスーパーの棚でも広くとられているため、空の棚を見ることで影響はさらに広がります
  • とりわけこういったことが、トイレットペーパーがないとどうにもならないという気持ちにさせます。その結果、ストックしておかなければならないと感じるのです。

トイレットペーパーを大量に買う人がいると、自分の分は残らないかもしれないという考え

トイレットペーパーの購買量が増えているため、自分の分がなくなるかもしれないという不安が生まれます。これは、自らの尾を食べる魚のようで、恐怖心に基づいた行動です。

トイレットペーパーを大量に買い占めておきたいというニーズのようなものを感じたことはないかもしれません。しかし、人々があまりにもたくさん買っているのを目にすることで、急いで買っておかないと自分の分がなくなってしまうのではないかと考えてしまうのです。

購入により不確かな状況をコントロールしたような気持ちになれる

心理学的観点から言える興味深い要素がもう一つあります。困難な時を過ごす時、不確かさ、苦悩、焦りを感じる時買い物をすることで自分が状況を コントロールできているような気持ちになります

食べ物や生活必需品のストックが家にあるという単純なことで、安心や安全を得られたような気持ちになります。これにより、基本的ニーズは満たされたと考えます。そして脳が心の平穏を感じるのです。

人がトイレットペーパーを買うのは、これが諦められない物であるためです。守りたい最低限の品位を保っている気分になれるからです。

まとめると、コロナウイルスの危機におけるトイレットペーパーの買い占めは、非合理的で皮肉にも見えますが、これは説明することができる行動です。パニックの思いからくる影響の一つで、理解することができます。生きるのに必要かどうかは関係ないのです。危機的状況にある時、それが近くにあることでいつもの日常を感じることができます。自分はまだ状況をコントロールできていると感じられるからです。


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