魔術師マーリン:伝説的人物の生きざま

マーリンとは、ケルト神話や多くの文学作品、さらに映画の主人公となっている人物です。一般的なイメージによって多少話が変わってしまってはいるものの、いくつかの手掛かりから、彼の伝説は実話である、とも考えられています。
魔術師マーリン:伝説的人物の生きざま

最後の更新: 03 1月, 2020

マーリンは、歴史上最も有名な魔術師です。これまでのところ、彼が実在したと確信を持って言えるわけではありませんが、多くの文献や歴史書に彼のことが書かれています。しかし専門家たちによれば、マーリンが実在した可能性はアーサー王が実在した可能性よりも高いというのです。

彼が実際に存在したのか否か、彼の周囲には無数の伝説が存在しており、そのせいで彼の時代の信用できるタイムラインを作るのが困難になっています。それでも、マーリンは想像力を刺激するようなミステリアスなオーラに包まれた魅力的なキャラクターです。彼は、数多くの中世の英国の物語や神話に登場します。

“魔法を信じない者は、決してそれを見つけることができないのだ”

ロアルド・ダール

歴史的観点から言うと、最初にマーリンがイギリスの言い伝えの世界に登場したのは、南スコットランドに住んでいた詩人のライロケンとしてでした賢者ギルダスもまた、マーリンというキャラクターの発信源の一人とされており、アンブロシウス・アウレリアヌスの功績を伝えた人物です。このアンブロシウス・アウレリアヌスは、アーサー王のモデルだと考えられており、ギルダスはアーサー王をマーリンという人物と結びつけたのです。

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マーリン伝説の起源

マーリンに関する伝説のほとんどが、彼は生まれながらの悪者で、悪行のためにこの世界に誕生したのだ、と伝えています。しかし成長したマーリンは、自らの力の全てを賢く使い、賢者となって王たちの助言役になりました。

マーリンは悪魔と修道女の息子だったと主張している文献もあります。また他の伝承では、マーリンの母親は森に住む魔女あるいは男性なしで子を宿した女性だった、とされています。

数少ない歴史資料に基づくと、最も広く知られているのが、マーリンの本名はマルジン・エムリスであった、という説です。彼は、のちにアーサー王として歴史に名を残す、ブリテン王アンブロシウス・アウレリアヌスの私生児の一人だったというのです。しかしもちろん、こういった説も確実に正しいと言い切れるわけではありません。

マーリンとアーサー王

マーリン同様謎めいたキャラクターであるアーサー王の物語は、魔術師マーリンの物語と関連しています。かの有名な魔法使いの導きがあったおかげで、アーサー王は賢くそして公平に民を統治することができたのだ、と一般的には考えられていますが、まだ早合点はしないようにしましょう。

始まりは、ブリテン王がある既婚女性に激しく恋をしたことでした。彼女の夫が兵士として戦争に駆り出されていたことを利用し、マーリンは王を不在の夫の姿に変え、その女性と一晩を過ごせるようにしました。その後、夫は亡くなり、王は女性と結婚します。二人はマーリンに、彼らの最初の子どもであるアーサーを与えることを約束し、その約束を果たしました。

アーサー王は、まだかなり若い頃、マーリンの手助けを受け、石に突き刺さっていた聖剣エクスカリバーを引き抜きました。こうして彼は偉大な王となることができたのです。その後、アーサー王はキャメロットと呼ばれる城を建て、魔法使いの導きのもとで統治を行いました。マーリンは、アーサー王のそばにい続け、あらゆる状況で助言を与えたのです。

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魔術師のその後

古典的な伝説によれば、年老いたマーリンはある若い女性と深く恋に落ちた、とされています。彼は、彼女に恋人になってもらう代わりに、自らの魔法の秘密全てを教えました。マーリンは彼女のために湖のほとりに宮廷を作り、彼女を「湖の乙女」と呼びました。しかし、マーリンが悪魔から生まれたと知った彼女は、次第に彼を恐れるようになっていきます。

湖の乙女はマーリン自身から教わった男たちを罠に嵌める方法を使い、彼を水晶の檻に閉じ込めました。彼女はその檻から出たり入ったりできますが、マーリンは外へ出られない仕組みとなっていました。伝説では、彼は永遠にその檻の中に取り残されることとなり、いまだに誰かの助けを待っている、とされています。

歴史家のジョン・マシューズは、また別の物語を提唱しています。彼によると、マーリン伝説はマルジンという戦士の物語に影響を受けたものだということです。マルジンはピクト人のリーダーで、スコットランドの地に暮らしていました。マーリンはアイルランドからの侵略軍との血みどろの戦いに勇敢さを持って挑みましたが、不運なことに戦争中に家族が死んでいくのを目の当たりにしてしまいます。

その後、正気を失った彼は森の中で隠者のように暮らすようになります。彼は型破りな習慣を持っていたため、それが魔術師としての名声につながり、多くの彼にまつわる伝説が生まれたのかもしれません。おそらくマーリンは、その物語が人々の創造によって少しずつ変えられてしまった不名誉なヒーローだったのでしょう。


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  • Nasif, M. (2002). La historia del mago Merlín: desde la perspectiva demonológica de la Baja Edad Media”. Studia hispánica medievalia VI, Actas de las VII Jornadas Internacionales de Literatura Española Medieval.

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