エミリー・ディキンソンと内なる悪魔

エミリー・ディキンソンは、人生の終わり20年間をカギのかかった部屋で過ごしました。いつも白い服を身につけ、片頭痛もちで、バニラの香りの白い棺で眠ることが彼女の望みでした。
エミリー・ディキンソンと内なる悪魔
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

「憑りつかれるのに部屋である必要はない」とエミリー・ディキンソンは言っています。心理学的見地から、こんなにもミステリアスな人は詩の世界にほとんどいません。「自分の脳内で葬儀を感じた」などの言葉の中に、なぜ、彼女が世の中や社会から孤立し、部屋に閉じこもることにしたのかを探ることができると、様々な専門家が言います。

この有名なアメリカの詩人が患っていたであろう精神疾患に関しては、様々な憶測があります。1864年、エミリーが30歳の頃に独居が始まり、55歳でなくなる日まで続きました。独居の間、白い服を身につけ、部屋の境界線を越えることはありませんでした。

しかし、この孤立により彼女は文学の作業に打ち込むことができました。孤立が彼女の芸術的創造力に影響を与えたのは間違いありません。少しずつ、ディキンソンは単なる窓の向こうの幽霊ではなくなってきました。自分の家のリビングで行われた父親の葬儀にも出られなくなったのです。

2003年テキサスA&M大学のデイビッド F. マス教育学教授は、「Reflections on Self-Reflexiveness in Literature(文学における内省の反映)」というタイトルの興味深い研究を発表しました。この中でマスはディキンソンの感情の状態を分析しています。

これが、研究の始まりとなりました。研究を通して、エミリー・ディキンソンの人生を蝕んだ内なる悪魔の概要をつかむことができます。皮肉的ですが、否定できない彼女の創造的衝動を生んだのは、この内なる悪魔です。

「自分の脳内で葬儀を感じた。

嘆くものが行きかう-行きかう-

感覚がなくなったように感じるまで-

皆が座ると、

太鼓などの儀式が-鳴り続ける-鳴り続ける-

自分の心の感覚がなくなったように感じるまで-」

-エミリー・ディキンソン-

エミリー・ディキンソン 内なる悪魔

 

エミリー・ディキンソンと内なる悪魔

詩には、複雑な心の中に自分を没頭させる特別な力があります。例えば、エドガー・アラン・ポーは、「Alone(孤独)」の中でこう書いています。「子どもの頃から、私はなかった。他にはあった-私には見えない。人が見たもの-それを私はもちだせなかった。共有の泉から私の熱意をもちだすことはできなかった」

多くの詩人が、非常に優秀で、なぜか精神的に病んできます。そして、自分の独特な状況に気づいています。エミリー・ディキンソンは、「自分の脳内で葬儀を感じた」の中で自分の狂気がもっとも神聖な感覚であったと書きました。この特性のおかげで、もっとも深い困難を感じ、それを表現することができたのです。

片頭痛

エミリー・ディキンソンは、多くの人と同じように、たった一つの精神状態だけに苦しんでいたわけではないということは、彼女を理解する上で知っておいた方が良いでしょう。片頭痛など他のタイプの多くの問題を抱えていたという証拠があるのです。

 

社会的不安と広場恐怖症

エミリー・ディキンソンの研究者の中には、ある特定の考えをもっている人がいます。世界から自分を孤立させ、部屋に閉じこもるという選択は、仕事に集中するためにとても良い方法だったと言います。ここで、次の面を考慮する必要があります。

  • まず、彼女の独居は絶対的であった。訪問者を受け入れることも、同じ家に住む家族に会うこともなかった
  • できるだけドア越しに兄弟やいとことコミュニケーションをとることを好んだ
  • 友人に手紙を書いた

当時の医師は、エミリーが「神経衰弱症」という珍しい病気を患っていると家族に伝えています。現在、多くの精神科医がこのような症状を社会的不安や重度の広場恐怖症と結び付けます

エミリー・ディキンソン 内なる悪魔

統合失調症型パーソナリティ障害

シンディー・マッケンジーは著書の中で、ディキンソンが病気の管理のために詩をどのように使ったかを語っています。ディキンソンは、自分の何かがおかしいことに気づいていました。内なる悪魔を知っており、彼女はこれを覆われた理性、感覚、バランスと呼びました。

ジョンズ・ホプキンズ大学のスティーブン・ウィンフーセン教授は、エミリー・ディキンソンに関する興味深い研究を行っています。この有名な詩人は統合失調症型パーソナリティ障害であったというのが彼の意見です。詩、孤立のニーズ、書き方の歪み具合など視覚化された情報を含め、彼の意見を支持する理屈はいくつもあります。詩の中にしみ込んだ思考、創造的才能、感情は、この診断に間違いなく合っています。

 

さいごに

1886年5月15日エミリー・ディキンソンはブライト病で亡くなりました。興味深いことに、これは心臓の病気で、モーツァルトを死に追いやったのと同じものです。彼女が残した指示通り、彼女はバニラの香りの白い棺に入れられ、町の共同墓地に眠っています

彼女の孤立の裏にあった理由は今も、そして、これからも謎のままでしょう。この秘密は彼女と共にお墓の中に眠っていますが、彼女は偉大な遺産を残しました。はかりしれない苦しみを経験しましたが、間違いなく「内なる悪魔」によって、彼女は偉大な贈り物を残してくれたのでしょう。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Maas, DF (2003). Reflexiones sobre la autorreflexividad en la literatura. Et Cétera, 60 (3), 313.
  • Winhusen, S. (2004). Emily dickinson y la esquizotipia. The Emily Dickinson Journal, 13 (1), 77–96.
  • Thomas, H. H. (2008). Wider than the sky: Essays and meditations on the healing power of emily dickinson. The Emily Dickinson Journal, 17(2), 113–116,124.

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。