お金イコール幸福ではない
インマ・ピュージは、臨床心理学の学位を持ち、IESE・ビジネス・スクールの教師として活躍しています。しかし、彼女が有名になったのは、過去15年バルセロナのサッカー選手の自尊心の管理を行ってきたからです。
彼女なら、このテーマに関して面白い見解を示すことができます。かなり高額な報酬を得ているにも関わらず、これらのサッカー選手は一般の人のように感情的な浮き沈みを体験してきているのです。つまり、お金と幸福はイコールではないということです。
アンドレス・イニエスタ、メッシ、ルイス・アルベルト・スアレスなどの選手と仕事をする間、ビュージは一般人が一生かかっても稼ぎきれないほどの報酬を得ている人達に囲まれていました。ビュージは、銀行の残高の多さは感情の制御には役に立たないということに気が付きます。
自分が関わる人がどのように感じているのかを理解するには、彼らを良く知っている必要があります。そのような課題は、山を登っているような感覚です。そこには2つの道があります。それは長い道と短く困難な道です。
嫉妬、妬み、怒り、悲しみに影響を受けるのは、金持ちも貧乏も同様です。これをきちんと理解するためには、個人的な人間関係、感情的制御、進歩を理解しなくてはいけません。
「すべての人が金持ちで有名になって、夢見るすべてのものを手にできたらいい。そうすれば、それが答えではないということがわかるはずだから。」
-ジム・キャリー-
お金と幸せはイコールではない
多くの人が「素晴らしく」生きているような社会に、私たちは生きています。人は、すべての感情的な論理を無視するような人工の自分像を投影しています。お金、美しさ、健康、恋愛においてすべてがうまくいくということは、事実上不可能な話です。誤った幸福は、最も悲しいことだと言っても過言ではありません。お金と幸福の関係は、ほとんどの場合作り話です。
全てがうまくいっているのに悲しみを感じて、セラピーに行く人も多く存在します。人生に空虚さを感じて、その理由も原因もわかりません。こういった人の多くは、悲しみは人生の一部であると気づいていません。悲しみには重要な役割があるからこそ、進化の過程ではじき出されなかったのです。
他の人の基準でいけば、幸せではないような生活を送っている人がいます。あるいは、お金に関してはあまり裕福ではない人達です。しかし、他の人が話しているような「空虚感」というものを、感じていないような人達もいます。
どれだけお金持ちでも、常に幸せで全く問題を抱えていないような人など、この世に一人もいません。むしろ、逆なこともあります。お金を持っていればいるほど、より多くの問題を抱えてしまうのです。
こういった意味で、本当の成功は望むもの、幸福は達成したいものを望むことに潜んでいるのかもしれません。やはり、お金と幸福の関係は、薄いようです。
幸福は多くを持たないことと多くを持っていることの間にある。欠乏と豊富の間だ。感情は、お金のことなど理解できない。
感情と残高は関係していない
勘違いしないでください。預金が少しあることは、よいことです。しかし、基本的なニーズさえ満たされていれば、ほとんどの人間は、お金より愛を選びます。お金と幸福?多くの場合は、お金か幸福かといった選択なることが多いように感じます。
常に意気揚々と生きているような人たちがいます。これらの成功を収めた人たちは尊敬に値するでしょう。しかし、このような人達も、人生で経済的にうまくいっているとは言えない人と同様に、愛する者の死などを同じような辛い状況を乗り越えています。成功を収めている人だって、悲しくて、孤独で、やる気をそがれて、鬱状態になることすらあるのです。
感情と銀行の残高を関連付けることは出来ません。お金と幸福を関連付けることができないことと同様です。 たくさんの資産を持っている人を見てみると、お金は心理的または人間関係的な問題から、人を守ってはくれないということがわかります。むしろ、大きな問題を抱えている有名人の数はかなり多いものです。
名声とお金が幸福を運んでくれるという考えが疑わしいことは、どれだけの有名人が鬱や他の障害に苦しんでいるかに注目してみるとわかります。こういった意味で、多くが夢見るような資産を持つことは、感情的な均衡がとれていることを意味しないということです。多くの場合、完全に逆のこともあります。つまり、感情の不安定です。はっきりと見て取れるように、人の感情は資産とは関連していません。
お金、名声、権力が幸福をもたらしてくれるという考えは、現実とは程遠いものなのです。