サリー・ホーナー:ナボコフの本当のロリータの悲しい話

2019年1月10日

サリー・ホーナーは11歳の時、小児性愛者フランク・ラ・サレに誘拐されました。フランク・ラ・サレは、刑務所から出たばかりでした。サリーが逃げ出すことに成功し、家族に電話するまでの21か月間、彼女を監禁していたのです。この悲しく暗い話からインスピレーションを得たウラジーミル・ナボコフは、最も有名な文学小説の一つを生み出しました。それが『ロリータ(1955)』です。

ここまで議論を呼ぶ物語を語る本はそう多くありません。中年の男性と少女の間で起こる不可能な旅がうまく組み立てられた雰囲気など、この文学の質は否定できるものではありません。私達はこの物語から、アメリカ社会の堕落、浅薄、濁った気質を目撃することになります

主人公のハンバート・ハンバート(フランス語で「影」と言う意味の「ombre」から来た名前)は、異常な性格の持ち主です。彼は子どもを虐待したために、ヨーロッパから逃れることになりました。そしてハンバート・ハンバートは、被害者ロリータを同じ影の世界に連れ込むことになります。この世界で、彼は「ロリータ」や十代の子どもを利用して、自分の欲求を満たします。

ナボコフの本は、表現を和らげることもなければ、何かを隠すこともありません。彼がそのように書いたのです。ハンバートは、古典的な変質者の特性を世界に知らせようとしたのです。この話は、否定できるものではなく、心地よいものでもありません。しかし、小児性愛者が11歳の子どもを誘拐したことばかりが描かれる物語に打ちひしがれるのはとても簡単です。残念なことに、これは本当の話です。

「感傷的な人は、暇があると人でなしになりうる。敏感な人は、決して残酷な人にはならない。」

-ウラジーミル・ナボコフ-

ロリータ

 

本当のロリータ、サリー・ホーナーの物語

フランク・ラ・サレは52歳の整備工で、12~14歳の少女を虐待しているとして知られていました。刑務所から出所し、ニュージャージー州で再出発をしようと決めていました。しかし、このような人の内に存在する捕食者を抑えることは簡単ではありません。彼らは常に自分の本能のみに耳を傾けます。1948年3月、ラ・サレは、サリー・ホーナーという名前の少女に狂い、元の道に戻りました。

サリーの母親は未亡人で、サリーはよく友達と一緒に学校から帰っていました。他の子と同じように、恐怖心なく、人を信用し、とても純粋な女の子です。後をつけられていることにも気づきませんでした。ラ・サレは、彼の欲望をもう一度満たすまで、彼女の後をつけました。

サリーは、5セントのノートを盗んだら仲間に入れてあげると友達に言われ、ノートを盗んだところでした。フランク・ラ・サレは、外で彼女を待ち、自分はFBIだと名乗ります。たった今したことを母親に知られたくなければ、自分についてくるよう言います。サリーは恐怖心と後悔により、彼と一緒に行くことにしました。

二人はバスに乗り、そこからすべてが始まったのです。アトランティックシティ、ボルチモア、ダラス、カリフォルニアなどの都市を約2年間旅します。ホテルやモーテル、キャンプ場に泊まります。いつも父娘だと名乗りました。

 

救助とその後の悲劇

疑う人は誰もいませんでした。娘から目を離さない強迫性のある父親を気にする人はいませんでしたが、ただ一人、ホテルの客がサリーの悲しみと恐怖に満ちた振舞いに気付きました。この客は、彼女をラ・サレから離し、サリーに大丈夫かと尋ねました。サリーは助けを求めます。ただ家族に電話をしたかったのです。

警察が到着するまでに時間はかかりませんでした。サリーはついに家に帰ります。そして、今まで起こったこと、性的虐待、彼女が感じた恐怖や辱めなど全てを話しました。フランク・ラ・サレは、「善悪が判断できる痴漢」だと呼ばれ、裁判官に35年の刑を宣告されました。

それにもかかわらず、2年後とても悲しいことが起こりました。サリー・ホーナーは自動車事故で亡くなったのです。フランク・ラ・サレは、16年後に亡くなりましたが、サリーのお墓に毎週花を送っていたと言われます。

親子

 

ナボコフと小児性愛者の旅

これら詳細は、ジャーナリスト、サラ・ワインマンが The Real Lolita(本当のロリータ:サリー・ホーナーの誘拐と世界を憤慨させた小説)」に記しています。長く、詳細な調査で、サリーとロリータの類似点が示されています。

この本はサリー・ホーナーと同じような経験をしたすべての子ども達のために公正を求めています。このような心痛む話は、ニュースなどを通して短期間見聞きするのみです。

同様に、著者はナボコフの小説について語ります。ナボコフがロリータを書き上げた時、アメリカでこの本を出版しようとした会社はなかったということを忘れてはいけません。それは、この本が、不快なものだと考えられたためです

そこで、ポルノグラフィックな内容を専門とするフランスの出版社が先立ってこの本を出版しました。スタンリー・キューブリックの映画にまつわる論争もありました。例えば、グレイ・グラントはハンバート・ハンバートを演じることを拒みました。また、ジェームズ・メイソンは、役を引き受けたことを後悔しました。

ロリータ表紙

 

ロリータの新しいバージョンでさえ、編集者は十代の恥知らずな面を表現することを避けました。それは、この本がある意味で、すべてを彼女のせいにしているところがあるためです。また、今ではハート型のサングラスの際どい表紙もなくなりました。それに代わり、サリー・ホーナーがそうであったように、性的暴行の被害者の少女が表紙となっています。