高すぎる自尊心の危険なところ

自尊心と聞くと、ポジティブに聞こえますよね。しかし、自尊心が高すぎると危険な場合もあります。自己評価が高く、ナルシストになってしまう場合もあり、ひどくなると自分が世界で一番大切な人間だと考えるようになります。健康的な自己に対する愛情を保つには、中間点を見つけ出すことが大切です。
高すぎる自尊心の危険なところ
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

高すぎる自尊心は、いいものでも健全なものでもありません。自分に過剰に自信があったり、自分の価値を過大評価していると、問題のある行動や態度に繋がります。このような人たちは、自分の失敗に対する責任を取らず、ナルシストになる傾向にあります

個人の成長の観念からすると、自尊心はとても大切なものです。この健康や幸せでいることに欠かせない、心理的な「筋肉」をどうやったら鍛えることができるのかについて語った新しい本や記事は常に世に出ています。しかしながら、自尊心のネガティブな要素を語っている筆者は多くありません。ですから、この記事でネガティブな面について紹介します。

低い自尊心の緩和剤は、決して高い自尊心ではない、と明確にしておくことが大切です。過剰なものは危険で害があることがほとんどです。あなたの振り子が一方から逆に振り切ってしますと、問題を増やすことになってしまうでしょう。

ですから、健康的な自尊心とは何なのかということをよく知っていることが大切なのです。近頃の社会では、リーダーシップ、自己への愛情や自信が重要だとされています。しかし、「多ければ多いほど良い」という考えは、常に正しい訳ではないということを頭に入れておきましょう。

「自分の中にしか見つけられないものに誠実になろう」

―アンドレ・ギデ―

高すぎる 自尊心

自尊心が高すぎる人が好むこと

社会心理学者のアルバート・バンデューラの作品の中でも、最も興味深い著書は「激動社会の中の自己効力」です。この中で、バンデューラは感覚的に感じる効力と自尊心は、問題を解決し、人生のどの場面においても成功を収めるためには重要な要素だとしています。

ゴールと幸せを邪魔するものはたくさんあります。その中に、低い自尊心と高い自尊心があります。どちらも同じように悪い影響があるのです。

高い自尊心と、限界のない世界

児童心理学者は、子供は幼い頃から、世界には境界があることを身につけなければならないと指摘します。ルールがあり、いつも自分が欲しいものを手に入れる訳ではないということを理解する必要があります。不満を我慢できることは、人生において欠かせないスキルです。我慢できないでいると、後に色々な問題に直面することとなるでしょう。

多くの子供や10代の若者は、欲しいものはなんでも手に入れることができると教えられて育っています。まるで小さな皇帝のようです。心が望むものはなんでも自分のものであると思い込んでいます。このように自尊心が高すぎる子供を育てると、自己中心的で、暴力的で、傲慢で、衝動的な大人になってしまいます。

自尊心が高すぎることの危険性は、子供の育ち方に根付いている場合もあります。

高すぎる自尊心が成功や幸せに繋がるわけではない

信じられないかもしれませんが、高すぎる自尊心が成功を導いてくれるわけではありません。それどころか、下記のような問題に繋がる場合があります。

  • 高い自尊心は、他の人が提案する計画や、課題、仕事が自分のものよりも劣っていると思い込みます。結果、プライドのせいで、たくさんのチャンスを逃してしまいます。
  • 傲慢さと自分には権利があるという高い意識は、周りの人との隔たりを作ってしまいます。大きなエゴは、他の人を居心地悪くしてしまいます。
  • 自分の間違いに気づくことなく、間違いから学ぶことができません。あなたの失敗はいつも誰かのせいで、決して自分のせいであることはありません。
  • 恋愛関係では、高い自尊心がある人は、相手の考えを理解することができません。ひどい場合は暴力に繋がることがあります。
  • 仕事面でも、友達関係でも深刻な問題の原因となることがあります。
高すぎる 自尊心

過剰な自信と犯罪

長い間、専門家たちは犯罪が自尊心の低さと関連するものであると考えてきました。しかし、最近の研究では、高い自尊心も暴力的な行動と比例することがわかってきました。プリンストン大学のロバート・ロイ教授の研究では、優越感が多くの犯罪の決め手となっていることを発見しました。

多くの犯罪で、ナルシズム、マキャヴェリニズム、精神病など、過剰な自尊心と関連のある傾向が見られ、研究結果を裏付けています。そのような人物は、自分のことをばかりを考え、結果、欲しいものはなんでも自分のものになると考えるのです。

まとめてみると、過剰な自尊心にも闇の部分があるということです。自尊心が低いとリスクがつきものだということはみなさんご存知だったと思いますが、高すぎる自尊心にも危険が潜んでいます。

結局のところ、自尊心とは自己ケアの一部です。しかしながら、どちらか一方に傾いてしまうと、不健全な状態になってしまいます。自分への感謝と他人への尊敬の良いバランスを見つけ出すことが鍵でしょう。


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  • Baumeister, R. F., Smart, L., & Boden, J. M. (1996). Relation of Threatened Egotism to Violence and Aggression: The Dark Side of High Self-Esteem. Psychological Review103(1), 5–33. https://doi.org/10.1037/0033-295X.103.1.5

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