他人の注意を引きたがる人々
他人の注目を集めたがるタイプの人がいます。
このタイプの人の中には、情緒不安定で人格障害を発症しているケースがあります。
アメリカ精神医学会(APA)の『精神障害の診断・統計マニュアル』(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第4版であるDSM-IVに記載されている、人格障害のグループBとして知られるこの分類によると、過剰に人の注目を集めたがる傾向があると定義されています。
「演技性人格障害」とも呼ばれるこの人格障害は、社会での適応力が高いため、日常生活を送る上で社会や職場で人格障害と認識されることはほとんどありません。
しかし、家族や友人、そして恋人など、個人的な関係のある相手には感情的になったりドラマチックになるなど、感情をあらわにし、自分の欲しいものを手に入れるために巧妙に相手を操作する傾向があります。
感情的であり、集中力が散漫になりやすいこのタイプの人は、アメリカ心理学会では「過剰な注目を集めようとする傾向がある」と定義されているため、他人の注意を引くためには、大人になってから不適切な性的誘惑を行ったり、過剰に他人から認められようとするなどの問題が発生します。
「社会で起こる問題のほとんどは、人々が周りの注意を引きたがることが原因で起こっている。」
-T. S. エリオット
演技性人格障害について
常に周りからの過度な注意を引きたがる演技性人格障害の人は、社会性が強く、一見するとうまく適応しているように見えますが、実は周りをうまく操作することで人々の注意を引いています。また周りの注意が引けないと感じる時は、一気にやる気や自信を喪失します。
どれだけ自分が大切にされているかによって、自尊心を維持するため、たとえそれが真実であってもなくても、継続的な注意を引くための方法を常に模索しています。歌を歌ったり演技をすることで大人の注意を引こうとする小さな子供のような行動パターンを取ることもあります。
演技性人格障害の行動パターンをご紹介します:
- 自分が一番注目を集めていない場所では不快感を感じる
- 性的な誘惑や刺激的な方法で他人との交流をはかる傾向がある
- 感情が表面的であると同時に情緒不安定ですぐに気分が上下する
- 自分の見た目を利用して他人の注意を引く
- 話し方が常に主題的でニュアンスなどを大切にしない
- 感情表現は常に大袈裟な演技調である
- 感受性が強く他人や環境に影響を受けやすい
- どのような人間関係においても実際の関係よりも親密だと考える
「傲慢な人は人々の注意を集めて認知されたいと考える反面、他人のことはほとんど気にも留めない。健康的な自尊心とは自分の希望と同じように他人の希望も尊重する心のことである。」
−アンドリュー・マシューズ
過剰に愛を求める人々
感情に訴えることが多い人は、自分の状況を正確に判断することがほとんどできません。大袈裟で非現実的、そして演技調な人格が人生の全てを難しくしています。
演技性人格障害の人はすぐに飽きて仕事を辞める傾向があります。職場でのイライラが募りこのイライラに対処しなくてはいけないくらいならば仕事をやめようと考えるからです。常に新しくワクワクするようなものを求める結果、危険な状況へと足を踏み入れることもあります。
愛情や周りの注意が欲しいと考えるのは非常に傲慢な考え方で、このような考え方の人が心配するのは自分自身のことだけだからです。このタイプの人は非常に社会性が高く、多くの人に囲まれる生活を望みますが、それは人々の注意を受けられている時のみです。
誰かが大変な思いや辛い生活を送っていても、それは彼にとって大切なことではありません。ただし、自分が人々の注意を引くために必要な場合を除きます。
また、人々の注意を引こうとしている時に、自分以外に他人の注意を引いている人や自分よりも優っている人には嫉妬心を抱きます。その結果、自分の外見や性的な魅力を使って人の注意を集めようとします。自分が世界で一番魅力的な存在であることを誇示するためには、多少不適切で刺激的な方法であってもそれを使って注意を引きます。
どのような状況においても自分が大切にされていたり、最も注意を引いていることが重要であり、その事実に依存します。
健康的な自尊心を維持するためには、他人の注意を引くことばかりに目を向けるではなく、周りの人々を大切にする方法を学ぶ必要があります。演技性人格障害を発症している人は医師の診察を受けることをお勧めします。
「自分のエゴを捨て、他人に奉仕する心を持つまでは人生の意味を知ることはできない」
ーラルフ・ワルド・エマーソン
*人格障害とは、社会規範から逸脱した非適応性の行動や考え方のパターンを指します。