コロナウイルスからメンタルヘルスを守る
現在のような状況になるとは、誰も思っていませんでした。コロナウイルスにより私達のライフスタイルは、誰もが予期しなかった形に変化しています。隔離、自宅などへの待機、不確かさ、感染への恐怖、経済危機…。私達が対処すべき要素はたくさんありますが、中でも無視できないのがメンタルヘルスです。コロナウイルスからメンタルヘルスを守るにはどうしたら良いのでしょうか?
心理学の観点から心配される事象や行動パターンが見られています。まず、パンデミックになるずっと前から複雑な精神状態にあった人(うつ病、恐怖症、依存症、全般性不安障害、摂食障害など)に対する懸念があります。
今のこの状況により彼らの状態が悪化しているのは明らかです。そこで私達は、このような人と距離を保ちつつも、連絡を取り手を差し伸べる必要があります。
もう一つ深刻なのが、不安、恐怖、パニック買いなど、自宅待機を強いられたことにより生じた影響です。この状況はいつまで続くか分かりません。そこで、適切な心理ストラテジーを使えるように備えておく必要があります。
事態は非常に難しいものですが、一つ否定できない事実があります。それは、人は偉大なことを成し遂げることができるということです。大小の困難に直面した時、私達は力を発揮します。落ち着いて行動し、互いを支え合い、適切な繋がりを持ち、世界中の人がそれぞれの責任を果たすことで、私達はこの状況に立ち向かうことができます。
コロナウイルスからメンタルヘルスを守るには?
アーヴィン・D・ヤーロムは、スタンフォード大学の精神科教授であり心理学者です。著書『Existential Psychotherapy(実存心理療法)』の中で、人が本質的に恐れる4つのことを集合的に解説しています。
1つ目は現実に対しコントロールを失うこと、2つ目は孤独になることへの恐怖、3つ目は自分や自分の目的を疑うこと、そして4つ目は死への恐怖です。
新型コロナウイルスにより、これらの感覚すべてが非常に現実的に生み出されています。私達は現実に対するコントロールを失っていると感じています。生活のルーティンが変化し、家を出ないことにより孤立や寂しさがつのっています。
この状態が長引くのであれば、少しずつこの危機が意味するものや自分の人生の意味について考えるようになります。
精神的に試されるようになる前に、心の準備をしておく必要があります。メンタルヘルスを鍛えることは、ウイルスへの対応と同じくらい重要なのです。これらすべての要素を考慮する必要があります。
恐怖をうまく使い、優先すべき自己を麻痺させないこと
コロナウイルスの脅威からメンタルヘルスを守るためには、まず恐怖をコントロールしましょう。これは恐怖を消すという意味ではありません。当然それは不可能で非論理的です。恐怖はひとつの感情で、これを感じることにはちゃんとした意味があります。
大切なのは、恐怖を合理化し、大きなパニックになる悲惨な結果を招かないようにすることなのです。
恐怖への対処法
恐怖は、あなたが見るもの、読むものを通してあなたをコントロールしようとします。そこで24時間情報の受け手になることは避けましょう。信用できるソースを探し、新しい情報を取り入れ、前へ進むことが大切です。
そして、ソーシャルネットワークの利用は控えましょう。数時間通知を切っておけば、情報に毒されることが避けられます。過剰な情報は恐怖やパニックを増幅させることになるからです。
感染への恐怖を抱くのは普通のことで、必要なことでさえあります。ただしこれは一定の範囲内の恐怖の場合です。なぜ恐怖が必要なのでしょう?それは、手洗い、隔離、社会的距離の確保など自分を守るための健全な行動パターンや姿勢を促すのに恐怖が一躍かっているためです。自分自身や周りの人を守るよう、合理的な対応が必要です。
自分の思いや心配事を家族や友人と共有しましょう。自分が感じているパニックを緩和するため、電話で人と話すのも良いでしょう。
心を落ち着かせるために、体を落ち着かせる
体はある種の恐怖のセンサーです。感情が描かれ繋げられている地図のようでもあります。そして心配事は痛み、緊張、疲労になって現れます。
コロナウイルスからメンタルヘルスを守るには、自分の体を気遣い、穏やかに、バランスを保ち、ウェルビーイングを高める必要があります。
心を落ち着かせるために、どのように体を気遣うか?
ストレスを感じる時にまず忘れがちなのが、自分を気遣うことです。そこで今のような状況下で推奨されるアドバイスを次にご紹介します。
- 種類の多い、バランスの取れた食生活を送ること
- 水分補給
- 1日8時間の睡眠
- 家での運動(階段の昇降、腕立て伏せ、ダンスなど)
- 瞑想やヨガ
- 漸進的筋弛緩法などのエクササイズ
心の栄養:メンタルヘルスを守るカギ
新型コロナウィルスの危機がどのくらい続くかはまだ分かりません。そのため、このような状況で、私達は、家で過ごし、共に生き、フラストレーションに耐え、不確かなものと向き合うことを学ぶ必要があります。困難な状況を緩和しそれに打ち勝つためには、それぞれが日常的な管理ストラテジーをもっておくと良いでしょう。
そこで、心の栄養があなたを強くし、支えてくれるツールになります。では心の栄養とはどのようなものでしょう?
心の栄養を高めるには?
- 自分のメンタルヘルスを守るため、周りの人を支えましょう。
- 幅広いポジティブな行動や姿勢を積極的に取り入れましょう。
- 恐がっている人、ネガティブな考えをしている人に、希望、サポート、ポジティブさを与えましょう。
- 皆が同じ状況にいます。お互い助け合いましょう。
- ベストを尽くしましょう。
距離があったとしても、今こそ親密さを強くする時です。電話し、メールを送り、周りの人を積極的に気遣いましょう。大切な人、家族、近所の人に対し行動を起こすのです。また、サポートネットワークを作ることも必要でしょう。
まとめると、メンタルヘルスは私達の命の柱であり、今のような状況で気遣わなければならないものです。また、コロナウイルスが出現する前から苦しんでいた人のことを忘れてはいけません。そして自分のニーズを大事にし、必要であれば専門家に助けを求めることも頭にいれておきましょう。
リモートワークで働く専門家もたくさんいて、セラピーなどでこの危機を乗り越えるお手伝いをしてくれます。
自分を守り、気遣い、パニックや孤独というウイルスに対する免疫をつけましょう。
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- Yalom, I. (1980). Existential psychotherapy. New York, NY: Basic Books.