ディルバートの法則:なぜ無能な社員が昇進するのか?

ディルバートの法則は、1990年漫画家スコット・アダムスが立てた理論です。会社は体系的に無能な社員を管理職に昇進させる傾向があると言います。それは、彼らにより生じる損害を最小限に抑えるためです。現実的な仕事や可能性を要求されない社員が昇進するのです。
ディルバートの法則:なぜ無能な社員が昇進するのか?
Cristina Roda Rivera

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Cristina Roda Rivera.

最後の更新: 21 12月, 2022

ディルバートの法則は、1990年、漫画家スコット・アダムスが立てた理論です。これは、無能な社員を会社が管理職に昇進させる傾向があるという理論です。無能な社員はミスをしやすく、その損害を減らすためにこれが行われるといいます。そうすることで現実的で可能性を秘めた仕事が行われるポジションに、彼らを置いておくことを避けるのです。

ディルバートの法則によると、無能なソフトウェアデザイナーは、力がある他のデザイナーが平穏に働けるように昇進させられると言います。昇進したばかりのマネージャーは、日々あまり重要でない会議に出席し、その他の社員はその間会社の実際の収益につながる仕事を行います。

一方で、実際の利益とあまり関係のないポジションの人は、日々の会社の問題に関わることが少なくなります。さらにポジションが違えば、あまり仕事ができない人を否認しやすくなります。

では、本当に能力のある人は昇進しづらいのでしょうか? あなたの才能はキャリアにおける障害になるのでしょうか?

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ディルバートの法則の起源

ディルバートの法則は、ピーターの法則という別の理論が元になっています。ピーターの法則とは、仕事ができる人は力が発揮できなくなる新たなポジションにつくまで昇進し続けるというものです。それから昇進しなくなります。

一方で、ディルバートの法則では、無能な社員が役職に就くように会社が意図的に昇進させるとしています。

どのように昇進するか?

この理論では、高い地位は会社の生産性にあまり関係しないため、それが昇進につながっていると考えます。ディルバート的考えの会社では、損害を減らすために無能な社員が管理職に就くのです。

一方ピーターの法則では、無能な役員はもともと有能だったと考えます。しかしディルバートの法則はその反対で、リーダーは部下としては最悪です。例えばテクノロジーが分からず良識に欠ける人は、会社への影響が少ない地位に置いておいた方が良いということです

ディルバートの法則には、ピーターの法則で生じる問題の解決法があります。

 

ディルバートの法則と実力主義

経済学者ジョージ・アカロフとパスカル・ミケーレーは、会社の昇進について理解を深めようとしました。彼らの考えは、昇進の多くが同性を好み、また他人への恐怖心から生じているというものです。つまり管理者は自分に似た人を昇進させ、異性を拒むと言うのです。

この理論で考えると、ビジネス業界で女性の代表者が少ないのも理解できます。男性経営者が、女性より男性を昇進させることはよくあることです。

 

職場の昇進に関する統計学的アプローチ

経済学者の多くが、良いビジネスパフォーマンスのカギはランダム性だと考えます。これは、驚くべきことではありません。物質的、数学的規則はエラーを防ぎますが、人間の行動は事態を予測することが可能な物質界とは異なり、プログラム化したり予測することが難しいものです。

職場環境のランダム性が物事を良くします。また、同僚との人間関係や新たな都市への適応などは予測困難な要素ですが、非常に重要です

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ディルバートの法則に対する疑念

ディルバートの法則は人気の高い考えですが、その関心の高さほど有効性は高くないと考える人もいます。しかし、研究者の中にはこの種の昇進は皆が思っているよりも現実には多いと主張し、この理論の信用性を評価する人もいます。

ディルバートの法則が発表され始めた時、人事に関する専門家やビジネス組織の多くが、この理論は単なる政治の管理階級制のユーモアバージョンだと考えました。会社の幹部が、わざと能力の低い社員をより上のポジションに置くというのは理解できないと感じたのです。

しかし、時間とともにこの専門家達もディルバートの法則を理解するようになりました。大きな株式会社の多くで、上級管理職は会社の日々の業務とほとんど関わりがないことが分かったのです。実際幹部は、通常の課や部外から、十分に定義されていない管理職に無能な人を昇進させ、顧客や職員、監督者をなだめようとしています。

ディルバートの法則には風刺的なところがあり、ビジネス界で働く人にはぜひ読んでもらいたいものです

最後に、ディルバートの法則にはあるゆるぎない前提があります。それは、会社の高い地位は重要な責任を負わないというものです。これは本当でしょうか? その答えは様々な要因によります。そのために、ディルバートの法則は体系的に適用できるとは言いづらいのです。


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