社会階級と非人間化の関連性

06 9月, 2019
人は裕福な人を非人間化したりするでしょうか?また、同じことが貧困層の人にも起こったりするでしょうか?是非見てみましょう!

非人間化は、他の人の人間的特性を否定することから成り立っています。言い換えると、非人間化とは、その人のことを「人間以下」だとみなすことです。一般的に、人はある特定のグループに属する人を非人間化しています。つまり、その特定のグループに所属しているからという理由で、その人達のことを「人間以下」だとみなしているのです。この記事では、社会階級と非人間化の関連性についてお話ししたいと思います。

人間を種々のグループに「分断」する差異というものが存在しますが、その中で最も重要なものの一つが社会階級です。社会階級は、社会的成層の一種です。社会階級は、共通の社会的あるいは経済的特徴を持つ人で成り立っています。広義で言うと、富裕層と貧困層の2つの社会階級に分けることができます。そして、自分が属している階級に関係なく、これら2つのうちのどちらかを非人間化したり、あるいは両方の人間性を非人間化したりしています。

自分を見つめる

非人間化はどのように成り立っている?

非人間化は、その人のことを「人間というに値しない」と信じることで成り立っています。ですが、非人間化にも様々なものがあります。動物化や機械化というものです。

ハスラムの二重モデルによると、動物化(ある人に対して典型的な人間の特性と言えるものが欠けていると感じること)には2つの形態があります。非人間化している側が相手に対してどの人間性が「欠けている」と判断するかによって、動物化と呼ばれたり、機械化と呼ばれたりします。

「非人間化は、具体的な歴史的事実があるにも拘わらず、その行く末を定められていないどころか、抑圧者に暴力を振るうことを許しそれによって抑圧される者の人間性が抹殺されるという不当がまかりとおる結果を生み出している。」

―パウロ・フレイレ―

一方で、動物化は、その人に人間たらしめる特性があることを否定するものです。こうした特性は、私達を動物とは違う存在として差別化するものです。例えば、認知能力、向上心、礼儀や節度を持って人と接する心などです。

他方で、機械化は、他の動物と比べて必ずしも人間独自のものとは言えない典型的な性質、例えば、感情や親切心などを否定するものです。そのため、典型的な人間性を「持っていない」グループの人は動物と比べられ、人間の性質といえる特性を「持っていない」グループの人はロボットのような非生命体の物体と比べられるのです。

非人間化はなぜ存在するのか?

非人間化をしたりするのはなぜなんだろうと、疑問がわいたかもしれません。人が他人を非人間化するのには3つの理由があります。

まず一つ目に、他のグループを非人間化することで、そのグループに対する暴力を正当化することです。あるグループに属する人を人間以下だとみなせば、そうした人達に暴力をふるってもいいと考えやすくなります。そのため、こうしたグループの人達が自分の期待にそわず、然るべき振る舞いをしなかった時に暴力の行使を正当化するのです。

次に、非人間化することで、自分の地位を「現状維持」することです。世の中には、自分より地位の高い人から成るグループや低い人から成るグループがあります。あるグループが非人間化されると、そのグループは低い地位へと落ちます。そして、もう一つのグループは優位に立つことになります。

「彼はあまりにひどかったため、もはやひどいというものではなくなり、ただ非人間へと成り下がった。」

―F・スコット・フィッツジェラルド―

最後に、非人間化することで倫理を無視することです。私達にはみな、例えば「殺人は間違っている」とみなすなど、自分の行動をコントロールする倫理観があります。ですが、こうした価値観は人間にしか通用しません。なので、ある人のことを人間とみなさないことにすれば、たとえ暴力を振るってはいけないという価値観を持っていたとしても、その人に対して暴力を行使しやすくなります。これが、ナチスがユダヤ人のことを「ゴキブリ」だと信じた理由です

仲間外れ

社会階級と非人間化の関連性

階級差別主義とは、社会階級や経済的地位に応じてある人をターゲットにする一連の態度や信念、行動を言います。ターゲットになる人は、大抵、富裕層の人か貧困層の人です。

言い換えると、階級差別主義は富裕層もしくは貧困層に対する偏見です。非人間化は、階級差別主義の産物と言えます。

貧困層の人は、動物化される傾向にあります。非人間化を行う人は、貧困層の人のことを人間ではなく、動物だとみなすのです。非人間化を行う人が言う貧困層の人が持っていない人間としての特性には、礼儀や節度ある振る舞い、論理性、向上心が挙げられます。貧困層にある人は、己の不安定な状況を克服することができないとみなされているのです。

富裕層の場合は、動物化されません。その代わり、機械化されます。富裕層の人のことを礼儀や節度がないとか、向上心がないと考えることはあまりありません。ですが、親切心や感情を持つ心がないと言われることはあり得ます。そのため、富裕層の人はまるで機械のように冷たく、共感することのできない人だとみなされています。

つまり、非人間化を行う人にとって、富裕層の人は機械であり、貧困層の人は動物なのです。そうすることで、中流階級の人は自分の地位を維持することができるのです中流階級層で非人間化を行う人は、貧困層をまるで動物のように蔑視します。そして、富裕層のことは恐れと尊敬から距離を持って接します。それは、自分より地位の高い人は、望み通りに物事を手に入れる力があると信じているからです。

  • Sainz Martínez, M. (2018). Consecuencias de la animalización de los pobres y la mecanización de los ricos en el mantenimiento de las diferencias socioeconómicas (tesis doctoral). Universidad de Granada. Recuperada de http://digibug.ugr.es/bitstream/handle/10481/52432/29111924.pdf?sequence=4&isAllowed=y
  • Sainz, M., Martínez, R., Moya, M., & Rodríguez-Bailón, R. (2018). Animalizing the disadvantaged, mechanizing the wealthy: The convergence of socioeconomic status and humanity attributions. International Journal of Psychology. doi:10.1002/ijop.12485