白衣高血圧をご存知ですか?

白衣高血圧は、診療所などの医療施設や病院に行ったときに起こります。白衣高血圧は、患者が医師を目の前にしたときに感じる危険への反応だと定義することができます。これは、感情刺激に対する複雑で、ステレオタイプ的反応です。脅威のように感じてしまうのです。
白衣高血圧をご存知ですか?
Sergio De Dios González

によってレビューと承認されています。 心理学者 Sergio De Dios González.

によって書かれた Francisco Pérez

最後の更新: 21 12月, 2022

白衣高血圧は、臨床環境(診察室、診療所、病院など)で血圧を測った時に、血圧が通常より高くなることです。ところが、診察室の外で血圧を測ると、通常に戻ります。

白衣高血圧は、長年認められていますが、まだはっきりしていないことがたくさんあります。まず、白衣高血圧現象を理解するために、カギとなるコンセプトを見ていきましょう。

 

血圧とは?

血圧とは、血液の動脈壁に向かう力です。この圧力は、血液が血管を流れ、体内のすべての臓器に酸素や栄養を運ぶのに欠かせません。このおかげで、体は適正に機能します。

血圧の2つの種類

  • 収縮期血圧:収縮期(心臓が縮む時)の血圧の最大値。心臓から送られる血液により、血管の壁にかかる圧力に関わる
  • 拡張期血圧:心拍の間、心臓が拡張している時の血圧の最小値。主に末梢血管抵抗(抹消動脈血管の血流)による
白衣高血圧

 

血圧の異常

次のような血圧の異常や機能不全があるかもしれません

  • 高血圧:収縮期または拡張期の血圧の上昇。高コレステロール、喫煙(予防しやすい)を伴う高血圧は、心臓血管系の問題の主な原因になる
  • 低血圧:血圧が正常値以下に下降。疲労やめまいを感じやすい傾向がある

 

白衣高血圧

初めにも言ったように、白衣高血圧は、診療所などの医療施設や病院に行ったときに起こります。白衣高血圧は、患者が医師を目の前にしたときに感じる危険への反応だと定義することができます。これは、感情刺激に対する複雑で、ステレオタイプ的反応です。脅威のように感じてしまうのです。

医師が血圧を測り始めると、血圧や心拍が上昇します。測定時の医師の存在が引き金となっています。

興味深いことに、血圧を測定する人が、友人や家族、本人であれば、このような反応は見られません。看護師も引き金になることがありますが、頻度は少ないようです。また、血圧を測る状況も大きく関わります。

白衣高血圧の原因

白衣高血圧の診断基準は?

欧州心臓病学会(ESC)は、白衣高血圧の診断に次を提案しています:

  • 3回の診療で、血圧が140/90 mmHG以上である
  • 診療外の血圧測定で、少なくとも2回、血圧が140/90 mmHG以下である
  • 臓器に損傷がない
  • 平均ABPM が135/85 mmHG以下である。ABPMとは24時間血圧計の略称

白衣高血圧の人の特徴

白衣高血圧になる患者には、次の特徴がありがちです。

  • 診療時の血圧が140/90 ~159/99 mmHG
  • 女性
  • 非喫煙者
  • 最近高血圧だと診断された
  • 左室肥大がない。左室肥大とは、心臓が肥大し、その壁が厚くなっていることである。一般的に、高血圧により生じる。

高血圧の人は、高い圧力で血液を循環させるため、心臓がより働かなければなりません。心拍の度に、血液を速く送るため、時間とともに(通常数年かけて)、心筋は大きくなり(肥大し)ます。

白衣高血圧になりやすい人

 

白衣高血圧の原因と白衣効果

現在、この現象を説明するメカニズムはまだはっきりしていません。分かっている手がかりを次に紹介します。

警戒反応としての診療時の血圧の上昇

何か脅威(ストレス)を感じると、誰でも血圧が上がり、鼓動が速まります。白衣高血圧の人は、臨床環境が脅威やストレス刺激になっています

ストレス反応と同じように身体的変化が起こります。この場合、高血圧の原因となるのは、コレステロールでもその他の身体的影響でもありません。ストレスそのものが原因です。

「白衣」ではなく、診療や病院の環境が条件反応となり、このような結果をもたらします。刺激より前に学習した反射反応が条件反応です。別のものと刺激を結び付け、何かに条件づけられ、生じるようになるため「条件」という名前がついています。

 

条件反応とは?

条件反応の有名な例がパブロフの犬です。ベルの音という通常食べ物と結びつかない不自然な刺激を与えると、犬は唾液を分泌することを学習しました。その犬は、ベルの音と口の中の食べ物を結び付けたため、反応するようになったのです。

「条件刺激」の後、体は条件反応を示します。この問題に関して言うと、条件刺激は、白衣ではなく、診療や病院の環境です。この反応は、交感神経系の活動を高め、副交感神経系の活動を鎮めます

交感神経系は、神経質、不安、ストレスなどを生じさせます。また、副交感神経系は、その反対です。平穏やリラックスの感情をつかさどります。

白衣高血圧では、交感神経系が活発になります。これにより、血圧や心拍が上昇します。しかし、心拍数上昇の主な要因は、副交感神経系の活動の減少であることが証明されています

 

白衣効果 VS 白衣高血圧

「白衣効果」と「白衣高血圧」は同じではありません。白衣効果は、警戒反応として血圧が一時的に上昇するものです。臨床環境が主に警戒反応の引き金になります。

白衣高血圧は、日常活動時の血圧は正常で、臨床環境で高血圧と診断されます。白衣効果は、基礎血圧値と関係なく、高血圧の人もそうでない人にも起こります。

お分かりいただけたように、白衣高血圧は、本質的に、心理的要因により生じ、統制されています。病院や診療環境などの条件刺激を前にして、心拍や血圧が上昇します。そのため、治療も心理的でなければなりません


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。