批判を受け止めポジティブなエネルギーに変える方法
人から批判を受けると、それを個人攻撃と受け取ってしまうことは多いかと思います。攻撃的で、ときに恥ずかしい思いをする羽目になったり、傷ついたり、ぎこちなくなったりするものです。だからこそ批判を受け止めるのは簡単なことではないのです。そして、批判を受けるとまず人は身構えてしまうものです。
しかし、人の批判でそこまで動揺するのは良くありません。それが不当な批判であればなおさらのことです。身構える代わりに、ポジティブに受け止める方がずっとためになります。そうすることで、受けた批判で傷つくのではなく、自分を成長させるものへと変えていけるからです。
まずは、相手の批判について自分にいくつかの質問をすることから始めます。 辛いかもしれませんが、わざと傷付けようとしている人はそういません。例えば、あなたを批判することで相手は何を得ようとしていたのでしょうか?なぜ批判をしたのでしょうか?その理由は?
人から批判を受けた時、相手が怒っている理由や、なぜその人がそのような行動に出たかを考えないと、恐らく身構えるだけで終わります。しかし、その場の感情に流されずに冷静でいられれば、全てはスムーズに済むのです。自分が穏やかな気持ちのときは、このような場合でも違った角度で見ることができます。「そう的外れなことを言っているわけではないのかもしれない・・・」とさえ思えるかもしれません。
あるいは、批判が間違っていると思っても、口に出さないこともあります。そして、最終的にはその批判を受け入れてしまうのです。これでは相手の思うつぼです。それだけでなく、自分を尊重していないので自尊心も下がってしまいます。
批判に正面から立ち向かう
批判をどう受け止めていいか分からない人は、通常言い訳をすることで反応します(「はい、でも・・・」)。なんとかして逃れようとするのです。また、表面的には批判を受け止めていても、何かを変えなくてはと駆り立てられない人もいます。批判に対してこのような態度はどれも有害です。それは、批判を攻撃ととらえているからです。このような受け止め方だと気分が悪くなるだけで、何も学ぶことはできません。
批判の受け止め方
批判に対して冷静に反応する方法を身に付ければ、ネガティブな感情をコントロールできるようになります。穏やかな気持ちのときは、言われていることに対しても注意を向けることができ、それをポジティブなものへと変えられます。相手の意図を理解し、正当か不当かを見極めるにはこの方法しかありません。
良い批判は建設的なものです。受け止め方によっては批判から学び取り、自分を改善することができます。さらに、良い批判であっても、相手が批判の方法を分かっていないと感じた場合、正しい批判の仕方を示してあげることもできます。人間関係に亀裂が入ることもないでしょう。一方で、あなたを操ろうとして批判してくる人もいます。この場合、逆上したり激怒したりしないことが賢明でしょう。落ち着いた平穏な雰囲気を作り、あなたの考えを誠実に、率直に、対等に伝える必要があります。怒りで反応しなければ、自分の弱点を晒すことはありません。もし相手が正しくて自分が間違っていたら、自分自身を正しましょう。しかし、そうでない場合は自分の意見を貫きましょう。相手が引かないときは、距離を置くのも手です。
批判を受けることは不快なことですが、冷静でいられればその状況から堂々と立ち去ることができます。 アサーティブな態度でいることで、批判を攻撃と感じないだけでなく、自尊心を守ることもできます。
「批判は単なる意見にすぎません。あなたは何も証明する必要はありません。批判から学ぶこともできますし、感情と上手く付き合うことにして批判とは距離を置くのもいいでしょう。」
批判の上手な受け止め方
批判を受けるのは気持ちがいいことではありません。そして、その批判が核心を突いたものであればその不快感は増すことでしょう。そこで、批判の上手な受け止め方、そしてそれをポジティブなものへ変える方法をご紹介します。
批判を受けてまず行うことは、その批判の分析です。そして、自分の頭の中の声を変えることです。例えば、次のように自分に言い聞かせましょう。 「誰も攻撃をしているわけではないので、何も証明する必要はない。この批判は自分の役に立つものかもしれないので、注意して聞こう。何を求められているのか考えてみよう。批判をされているからといって完全に失敗したわけではない。」
そして次は、受けた批判を評価します。こうすることで自分自身の行動を変える必要があるのか、あるいは相手の言っていることを建設的に否定する方がいいのかがはっきり見えてきます。批判を評価するには、次のようなことをしっかりと考えましょう。
- 誰が批判をしているのか考えましょう。的を射たことを言っていますか?
- 批判をしてきた人は、何を目的として言ってきたのでしょうか?もしかするとあなたを不快にさせようとしていのかもしれません。あるいは、何らかの同意を得ようとしていたのかもしれませんし、何か気に障ることがあり、それをあなたに伝えることで行動の変化を期待しているのかもしれません。
- この批判は初めて受ける批判ですか?それとも、他の人からも同じことを言われたことがありますか?
- この批判によって、どの程度努力して自分を変える必要があるのでしょうか。頑張るほどの価値はないかもしれません・・・
- 批判された時の相手の感情はどうでしたか?相手が怒っている時の批判だったら、そこまで真剣に聞かなくてもいいのかもしれません。相手の感情を考えることで状況が違った角度から見えるようになります。怒っているときは、誰しも思ってもいないことを口にしてしまうものです。ときには真剣に捉え過ぎないというのも必要です。
批判の上手な受け止め方は、傾聴と自分の頭の中の考えをコントロールすることが鍵です。こうすることで、穏やかで落ち着いた気持ちになり、適切な反応が分かるようになります。
批判内容が正しい場合はどうする?
批判が正当なものであった場合、できることはいくつかあります。例えば次のようなことです。
- 感情を制御しましょう。怒るのは賢明ではありません。どう感じるかをコントロールするのです。
- 批判に対して身構えないようにしましょう。言われたことが正しいのであれば、身構える必要はありません。身構えてしまうと時間もエネルギーも無駄にするだけです。
- しっかりと聞く。正しい反応はしっかりと聞くことです。つまり、言われたことを本当に理解するには言葉に隠されたメッセージに注意を向けましょう。これができれば批判に対しても適切な反応ができるようになります。
- 情報収集をして自分を変えるのに役立つものを見つけ出しましょう。これは代替案を見つけるということであり、怒るのではありません。
- 言われたことを理解できたか確認するために批判内容をまとめましょう。最後にまとめることで理解が出来ているか確認します。
- 変わるための戦略を立てます。計画を立て、変われるように行動を起こしましょう。
ご覧いただいたように、批判には2通りの受け止め方があります。批判が不当なものであれば、相手の気持ちになって考えてみましょう。相手がなぜ批判をしたのか理解することは重要です。もし批判が的を射たものであれば、積極的になることで批判内容を反映して自分を改善できるようになります。
参考文献
Goleman, D. Working with Emotional Intelligence. A&C Black. 1998.