「表現の自由」について学ぼう
繁栄のための民主主義、対話、開発を実現するには、社会はある重大要素を必要とします。それが表現の自由です。なぜならこれは全ての人が享受すべき普遍的な権利だからです。誰もが自分の意見や自分自身のことを自由に表現する権利を有していなければなりません。
国際連合(UN)によると、表現の自由は人間の権利であり、世界人権宣言の第19条にもなっています。以下のようなことが制定されています。
“全ての人は意見および表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報および思想を求め、受け、および伝える自由を含む”
この条項の目的は表現の自由を分析し、これがいかなる民主主義社会にとっても基本となるものであることを主張することです。この権利が世界人権宣言で認められていることは明白です。さらに市民的及び政治的権利に関する国際条約の一部でもあり、自由規約人権委員会でも詳しく説明されています。
表現の自由とは正確には何なのか?
表現の自由とは、全ての人間が攻撃を受けることなく自分自身を表現する権利を有していることを指します。また、誰もが障壁なしに情報にアクセスし、それを伝えることができなければならないという意味合いも含みます。
報道そしてこの権利はの自由でもあり、これは「メディアを介した、発表前に国家の統制を受けない情報の伝達」と定義づけられています。
したがって表現の自由では以下が保護されます。
- 全ての政治的、宗教的、科学的、道徳的、そして歴史的意見。
- 表現のあらゆる形式。それが口頭表現であれ執筆によるものであれ画像や手話、芸術表現であれ保護されます。
- 情報拡散のあらゆる手段。新聞やポスター、衣服、合法な申し立てなど。
- 自分自身や公共の出来事に関する、また人権やジャーナリズム、文化的・芸術的表現や宗教的・政治的思考に関する人間の意見や関心。
この権利を行使するために必要な条件とは?
本物の意味で効果的な表現の自由を実現するために、人は以下を行う能力を持っていなければなりません。
- あらゆる物事について、あらゆる手段で表現し、参加すること。
- 情報を探し出し、受け取り、拡散すること。これは情報を持っていないと自分自身を自由に表現する権利を行使できないためです。
- 国家からの情報にアクセスできること。なぜならそういった情報は効果的な政策を要求したり人権を守ったり、衝突を避けるために必要不可欠だからです。
- 多様な、そして独立したメディアにアクセスできること。情報の独占あるいは寡占は平等な機会や多様性、複数性の妨げになります。
- また、ジャーナリストを効果的に守るために、あらゆる種類の直接的あるいは間接的圧力を回避すること。
- 学生や教師、研究者が自由に知識を探し求め、伝え、発展させられるようにするための学問の自由。そして教えられたことを鵜呑みにしないようにするための自由思考を守ること。
さらに表現の自由は良心的拒否の権利も守っていることを強調しておきましょう。例えば、立法府のイデオロギーに関連するものや徴兵制度など、様々な義務への拒否権です。
検閲という概念
反民主主義的政権はしばしば様々な検閲手段を使って表現の自由を脅かそうとします。検閲とは表現の自由を制御するために権力を用いることを意味しており、(法によって)排除されている場合もあればあまりあからさまでない場合もあります(例えば社会的タブーなど)。
そのため、表現の自由を規制する最も抜本的な方法の一つは、検閲が入る前にすでに行ってしまうか、内容が発表あるいは出版される前に特定のコンテンツを検閲するという方法なのです。
表現は事前検閲に晒されるべきではありませんが、後に続く義務によって制限もされています。例えばいかなる人物であれ、誰かが彼ら自身を表現するのを妨げてはなりません。たとえ自分の発するメッセージによってその人が罰金を受けることになるとしてもです。
表現の自由の制約
自由に対する権利は絶対的な権利ではないことは明らかです。また、法律は人が犯罪や暴力を扇動するのを禁じ、ヘイトや差別を行なった際にその人に謝罪させることができます。したがって表現の自由は他人の権利や価値観と衝突すると、すぐに制約されるのです。
ここで合法表現と非合法表現との間の境界線となるラインを作る難しさについても触れておきましょう。その唯一の目的は、人間が自分自身を自由に表現する権利を制限しようとする独裁的な特徴のある、こういった制約から尊厳や人権を守ることなのです。
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