怒りを表現できない自分:なぜ私は怒らないのだろう?

自分が抱える怒りを表現できないと感じたことはありますか?誰かがあなたを傷つけたとき、状況を悪化させるような考えや行動で対応しますか?答えが「はい」の方は、今回の記事が役に立つかもしれません。
怒りを表現できない自分:なぜ私は怒らないのだろう?
Angela C. Tobias

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Angela C. Tobias.

最後の更新: 21 12月, 2022

自分の怒りをコントロールする方法を理解すると、非常に役に立ちます。実際、誰かに傷つけられたり不当な扱いを受けても、怒りを感じられないという人もいます。自分もそうだという方は、怒ることができないのが嫌だという気持ちがわかるはずです。

誰かが自分の権利をなんらかの方法で侵害したことはわかるため、怒らないというのは正確な表現とは言えないでしょう。怒ることができない人は、すべてを自分の内側に溜め込んでしまうことで怒りに対処しています。多くの場合、これは不安や社会技能またはソーシャルスキルの低さが原因です。怒りという感情を正しく解放しないことで、感情的なエネルギーが自分の内面に向き、自分自身の健康と幸せに悪影響を及ぼすという結果にもなります。

怒りを表現できない自分 なぜ私は怒らないのだろう?

ときには怒ることも大切なのはなぜ?

怒りは、他の基本的な感情と同様に、いくつかの重要な機能を持っています。私たちのほとんどは、基本的に怒りを否定的な感情だと考えていますが、自分の誠実さを脅かす可能性のある状況が起きた時に必要な感情です。言い換えると、怒りは私たちの生存において不可欠な役割を果たしており、人間がどう進化するかという点から考えても重要な感情です。

生理学的に怒りは簡単に識別できます。怒りは、恐怖や攻撃性などの感情に関与するホルモンであるアドレナリンとノルアドレナリンを誘発します。また、血圧が上昇して呼吸がより速くなります。これは、私たちの体が何かと対立する準備をしているからです。

怒りは人間の生存本能の一部であることに加えて、変化の触媒という役割も果たしています。怒り続けるのは不快であり、自分を悩ませるものを変えるために、かなりのエネルギーを費やす必要が生じます。また、個人の境界線が侵害される危険性がある場合は、この境界を守るように自分を奮い立たせるのにも役立ちます。

怒りを表現するのが難しいのはなぜ?

怒りを表現できないと感じる人もいます。本記事では、何かを達成するために怒りをコントロールするという点を議論しているのではなく、完全に適切だと言われる方法でも怒りを表現することができない人について説明しています。

怒ることができない人は、過去の同様の出来事に反応しなかったことで、その後何度も有害な状況に陥る可能性があります。次に、この現象を説明する要因をいくつか説明します。

  • ハッピークラシー:現代社会では、私たちは常に幸せであるべきであり、悲しみや恐怖を感じるべきではないとされています。この意味から考えると、怒りはどのような状況においても受け入れることができない「悪い」感情と「否定的な」感情のグループに属します。
  • 他人の反応への恐れ:自分が怒ると他人も自分に対して怒るというように、他人の反応を恐れることも自分の怒りを表現しない一般的な理由の一つです。周りの人にいつも幸せで理解ある人と思われている場合は、自分の「反対」つまり裏の感情である怒りを他人に示すのがより難しくなるでしょう。
  • 怒りを表現しない家族:私たちは家族から状況に反応する方法や、感情をコントロールする方法を学びます。自分が愛する人が怒らない人だった場合や怒りを表現しない家族の元に生まれた場合は、怒りを表現しないことが普通になります。その一方で、怒りが唯一の感情ある家で育った場合は、怒りを回避することで対処するメカニズムを発達させる傾向があります。
  • 恥ずかしがり屋や社会問題を抱えている人:人との関わりや人間関係に苦労している場合、多くのストレスを生み出す怒りを避ける傾向があります。社会的な状況で緊張したり不安を感じる場合も、自然な方法で感情を表現することができません。

怒ることができないのは本当に問題?

怒りは、さまざまな心理的および生理学的機能を持つ人間の基本的な感情です。では、怒りを抑えがちな人はどうなるのでしょうか?

具体的な状況を思い浮かべて次の質問について考えてみましょう。

「怒るべき状況で、怒ることができなかったと感じたのはいつですか?」

「怒りを抑えることで何が起こりましたか?」

この質問を状況と照らし合わせて考えると、次のいずれかの状況が起こっていることに気付くかもしれません。

  • 他人との境界を設定することができない:職場の同僚、友人、恋人、親戚などどのような相手であろうと、怒りを抑えることはアサーティブになることの妨げになる可能性があります。怒るという能力の欠如は、多くの場合、受動的なコミュニケーションスタイルに関連しています。
  • 同じ場所から動くことができないような気持ち:長期間にわたって、変化が必要だ、あるいは物事がうまくいかないと感じているかもしれません。怒りを表現するのに苦労すると、何か変化を起こす前に不快感を感じる可能性があります。
  • 怒りが後から爆発する:自分の怒りにその場で対処できないため、後から怒りが爆発します。感情を抑圧しても、それが魔法のように消えることはありません。実際に、怒りを正しく表現することは、緊張などを和らげる感情面の解放へとつながります。しかし怒りを表現できないと、怒りが蓄積して最終的に爆発します。

 

怒りを表現できない自分:なぜ私は怒らないのだろう?


怒りは解放であり、呼吸をしやすくしてくれるもの

ほとんどの人は怒りを否定的な感情だと考えますが、実は怒りが調節機能として働くことがあります。前述したように、個人的および社会的なレベルにおける変化の大きな触媒です。また、怒りは個人の持つ誠実さを脅かす外部の力への防御機構でもあります。さらに、怒りを正しく管理する方法を理解していれば、不安を和らげる方法になる可能性があります。

残念ながら、怒りや憤怒を表現できないと感じる人もいます。私たちの文化において、常に幸せであることが重要であり、怒りは適切な感情表現を妨げることだと考えられています。さらに、家族や友人が怒りをどのように対処するかを目にすることで、自分の怒りへの反応が影響を受けます。怒りを制止するのは、人々が自分をどう思うかについての恥ずかしさや恐れにも関係している可能性があります。

怒りを表現するのに苦労しているなら、心身の健康と幸せを維持するためにも、正しい方法で怒りを表現できるように取り組むことが大切です。

適切な方法でこの問題に適切に対処しないと、状況に応じた積極的な対応ができなくなる可能性があります。また、自分の人生を変えようとする、身体と心からの兆候を見逃すかもしれませんし、完全に圧倒されてしまうまで怒りが積み重なり続ける可能性もあるのです。

人生において、私たちは落ち着きと明晰さを必要とする状況に対処する機会が多くあります。対処方法次第で涙と悲しみで終わる人もいれば、傷つき立ち往生する人もいます。このような状況においては、怒りを表現することが最も適切な対処方法だと言えます。

知的な方法で怒りを表現するのであれば、その怒りには自分自身を解放する力があります。感情を適切に管理する方法を知ることで、それが幸せと私たちの心身の健康への幸福の鍵となりえるのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。