怒りや心配事を抱えたまま布団に入るという悪い習慣

怒りや心配事を抱えたまま眠ろうとすると、体を疲労させてしまうばかりか、こういったネガティブな感情による継続的な負荷はしばしば脳に悪影響を与え、明晰な思考が困難になってしまいます。
怒りや心配事を抱えたまま布団に入るという悪い習慣
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

怒りや心配事を抱えたまま布団に入るのは悪い習慣です。しかし私たちは頻繁にこれを行ってしまいます。ほとんどの人が大して考えもせずにこのような行動をとっているのです。なぜならば、感情がコントロールできている時にはただ枕に頭を隠し、次の日考えればいいやと放棄してしまうからです。不運なことに、そういった感情をそのままにして眠っても問題の解決にはなりません。つまり、起きた時に引き続きそれに悩まされるということです。

これを経験したことのない人などいるでしょうか?例えば、パートナーと喧嘩したあと、意見の不一致を解決せずに非難めいた言葉やその他の残念な言葉を投げかけて終わってしまったとします。そして、ただ沈黙したまま幼稚なプライドと不満に包まれたまま自分の殻にこもり、そのまま寝てしまいます。これでは夜間に良好な休息を取ることは不可能です。ましてや眠ることさえできないかもしれません。

夜の間に十分な休息を取れないと、翌朝は疲れきって頭が働かないような非常に苦しい朝を迎えてしまいます。このような状態では、パートナーと意見をすり合わせるための勇気やアイディアは湧いて来にくいでしょう。これが、怒りを感じたまま布団に入るのが健康に悪い理由です。

さらに、数時間休息できたとしても、ネガティブな気持ちの影響下での睡眠は脳へ害を与えることが最近の研究で示されています。読み進めてさらに詳しく見ていきましょう。

“それについては明日考えるよ”

スカーレット・オハラ

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怒ったまま床に入るのは有害

怒りや不安を抱えたまま眠ろうとすると、翌朝非常に悪い気分で目覚めることとなります。これは実は、認知能力の大部分、つまり記憶力や熟考力、創造力などのプロセスが失われてしまうためなのです。事実、活発に問題に対処するために必要な心の落ち着きが次第に消えていきます。

シャーロック・ホームズは、適切な休息こそあらゆる問題を解くためのカギだ、と言いました。しかし、専門家によればこのようなアドバイスが正しいのは、不安を取り払って眠ることができた時だけに限られます。もちろん睡眠それ自体を明確な目的として横になるのは確実に健康的であると言えます。

しかしそうではなく、ストレスやプレッシャー、不安、あるいは怒りを感じた状態でベッドに入っても、不快さを強めてしまうだけです。その主な理由は、ネガティブな感情状態がただ夜間の良好な睡眠を妨げるだけでなく、脳に対しても有害な影響を及ぼすからです。

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脳と、夜間のネガティブな感情

北京師範大学のYunzhe Liu博士は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンと共同でこのトピックに関する研究を行いました。彼女は「私は怒りや心配事を抱えたまま眠りにつくことの影響を知りたかったのです」と述べています。そして実際に睡眠に影響を与えている要因が、その人物がどう自身の感情や不安をコントロールしているかという点であることを発見しました。

磁気共鳴画像法を用いて、科学者たちは怒りや苦痛、ストレスを感じたまま眠りにつくことで脳の様々な領域が変容する様子を観察しました。これは累積効果と考えられるため、配偶者と口論をして互いに腹を立てながら孤独なまま眠りについたすぐ後で気づける訳ではありません。大きな変化は、この行動が常習化した時に起こります。

同じことが、ストレスや継続的な不安に対しても言えます。そういったネガティブな気持ちを残したまま布団に入るのを毎週のように続けていると、脳があらゆる形で変容してしまいます。

  • 記憶や感情に関連する構造である海馬が縮小します
  • 怒りを感じると、合理的思考や実行機能を司る前頭葉の活動が低下します。これは、脳が視野狭窄を起こし、真実の一部分しか見ることができなくなるためです。そのため、物事を関連づけて考えることができず、思慮深くて創造的な方法で問題を解決しようとする戦略がうまくいかなくなります。
  • 安らかな休息が取れない夜の間、脳は効果的にタスクを実行できないので記憶力が落ち始めます。そして実際に新たな記憶を統合するのが明白に困難になっていきます。
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問題をベッドに持ち込まないようにしよう

これまでに誰かから「怒りや心配事を抱えたまま眠りにつこうとしてはいけないよ」と助言されたことはありますか?とは言え、困りごとがかなり厄介で、頭の中が解くことのできない結び目でいっぱいになってしまうこともあります。では、このような緊張状態をベッドに持ち込まないようにするためにはどうすればいいのでしょうか?

まずできることは、緊張や苦痛を放置して積み重なっていかないようにすることです。生じた問題はすぐに解決するようにし、恋人あるいは他の人との意見の不一致にも直ちに対処しなければなりません。物事を次の日まで引き伸ばしたからといって、必ずしもそれがひとりでに解決する訳ではないのです。それどころかほとんどの場合問題がより複雑になってしまいます。

理想的なのは、ネガティブな感情から解き放たれた状態で身体と心を休ませてあげることですリラクゼーションや瞑想、深呼吸といった手法が役立つでしょう。それに加えて暖かいお風呂に入ったり面白い本を読むことも快適な睡眠に繋がるかもしれません。

平和な心は睡眠をより良いものにしてくれますし、生活をより健康的で最大限楽しむための手助けにもなってくれます


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  • Liu, Y., Lin, W., Liu, C., Luo, Y., Wu, J., Bayley, P. J., & Qin, S. (2016). Memory consolidation reconfigures neural pathways involved in the suppression of emotional memories. Nature Communications7. https://doi.org/10.1038/ncomms13375

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