高齢者がダンスをすることのメリット
高齢者がダンスをすることには多くのメリットがあります。身体面では、可動性やバランス感覚が向上し、関節の柔軟性を保ちます。そして、ダンスは喜びや自信、やる気の素となるため、精神的にもメリットがあります。ダンスは、多くの高齢者をネガティブな感情の海から救ってくれるものなのです。
詩人のシャルル・ボードレールは、音楽の神秘を解き明かす一つの方法は、踊りを通して音楽と繋がることだ、と言いました。ダンスをしたことがある人にはこの意味がよく分かると思います。しかし、中には60歳や70歳になって初めてダンスを始める人もいます。
人によっては、ダンスが身体的・感情的な新たな目覚めとなります。そして、高齢者にとって、モチベーションの元となるものを見つけることがどれだけ大切かを忘れてはいけません。おそらくご存知の通り、こういったことは本当に人の寿命を延ばすことができるのです。
ここ数年で、高齢者に対するイメージも変化してきています。今では、冒険心を持ち、新たなことに挑戦し、成長しようとしているアクティブな人をイメージすることが出来ます。そして、ダンスは身体機能を高めることができる画期的なツールであり、社会活動で他人と関わるための良い口実でもあります。
「自分が作ったダンスは自分のものであり、それは自分のコレクションである。こう考えたとき、自分の次の振付を最高のものにしたいと思うはずである。」
-トーロン・リー・ドゥーワー-
高齢期におけるダンスのメリット
年を取ることを止めることはできません。しかし、だからといって衰退していくだけだという意味でもありません。考え方やリソース、習慣、健康によって、それぞれ人生のこの時期にどのように対応するかが違ってきます。
念頭に置くべきなのが、予防です。老化にたいして明確な日常的戦略を持つことで、人生もより豊かになります。健康的な食事やソーシャルサポートを利用すれば、健康かつ幸せな高齢期を過ごすことができます。
もしダンスをしたことがない高齢者がいたら、ぜひおススメしてみてください。以下がダンスによるメリットです。
ダンスは、パーキンソン病患者の生活の質を高める
ワシントン医学大学の研究によると、ダンスはパーキンソン病に患っている人に効果的だといいます。彼らは以下のような点で、ダンスが効果を発揮すると考えています。
- 転びにくくなる。
- 体の動きやリズム、スピード、柔軟性が向上する。
- 筋肉を鍛えて引き締める。
- 注意力や記憶力などの認識プロセスが向上する。
- 自尊心が向上する。
うつ病に関係する症状が緩和される
ネバダ大学のアマンダ・ハバッシュ医師やマーク・フロイド医師は、ダンスプログラムを実施しているいくつかの老人ホームについての調査を実施しました。気分障害を抱えた多くの住居者の症状が、たった2週間のダンスプログラムでも改善しました。うつ状態が軽くなり、ストレス、不安感、睡眠障害も減りました。
上記したように、予防というのは老化のプロセスにおいて重要です。高齢者が新たなエナジー源を見つけるための良い方法が、ダンスセンターに行くことです。人と交流して孤独感と戦い、無関心や無気力感を予防すると言った利点は、否定できないものなのです。
体が動くことで、脳が幸せになる
体を動かすことで感覚が研ぎ澄まされ、自分や自分の周りの人と一体になることができます。音楽に合わせて踊ることで、脳が活性化され、セロトニンやエンドルフィンが分泌されます。さらに、笑いをもたらし、踊ることに集中し、痛みを忘れて世界に意味を与えてくれます。
セントルイス大学の研究では、週一回2ヵ月間のダンスプログラムによって、高齢者の抗炎症の薬の量を減らすことができたことが示されました。さらにリウマチや関節痛も改善し、身体が俊敏かつ素早く動かせるようになりました。
また、ダンスとは有酸素運動と神経活動が複合した運動であるため、脳にも良い影響を与えると研究者たちはいいます。ダンスの最中には、素早い決定が強いられ、それにより神経ネットワークが強化され、更に新たな神経が生み出されます。
このように、高齢期におけるダンスのメリットには科学的な裏付けもあります。踊ることは、長年ダンスをやってきた人にもダンスを始めたばかりの人にも良い影響を与えるのです。
参考文献:
- Paula, Ana & Marinho, Victor & Gupta, Daya & Magalhães, Francisco & Ayres, Carla & Teixeira, Silmar. (2018). Music Therapy and Dance as Gait Rehabilitation in Patients With Parkinson Disease: A Review of Evidence. Journal of Geriatric Psychiatry and Neurology. 10.1177/0891988718819858.
- Haboush, Amanda & Floyd, Mark & Caron, Joshua & LaSota, Mark & Alvarez, Krisann. (2006). Ballroom dance lessons for geriatric depression: An exploratory study. The Arts in Psychotherapy. 33. 89-97. 10.1016/j.aip.2005.10.001.
- Krampe, J., Wagner, J.M., Hawthorne, K., Sanazaro, D., Wong, C., Budhathoki, C., Lorenz, R., & Raaf, S. (2014). Does dance-based therapy increase gait speed in older adults with chronic lower extremity pain: A feasibility study. Geriatric Nursing, 35, 339-344.
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- Kattenstroth, J-C., Kalisch, T., Holt, S., Tegenthoff, M., Dinse, H. R. (2013). Six months of dance intervention enhances postural, sensorimotor, and cognitive performance in elderly without affecting cardio-respiratory functions. Frontiers in Aging Neuroscience. Recuperado de: http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fnagi.2013.00005/full.