共感力欠如障害とは?その症状について

共感力欠如障害は明白でわかりやすいものではありませんが、察することならできるでしょう。なぜなら、この障害は人間関係を歪め、人としての質を貧相なものにしてしまうからです。これを精神障害と見なしている専門家もたくさんいます。記事を読み進め、さらに詳しく学んでいきましょう!
共感力欠如障害とは?その症状について
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 22 12月, 2022

共感力欠如障害(EDD)の症状によって描き出されるのは、かなり特殊なタイプの人間です。彼らは自らの心の境界を乗り越えることができないため、他人の気持ちになって考えるということができません。さらに、他人の直面している現実を理解できず、それを軽視してしまうこともよくあります。こういった人々は常に他人と対立状態にあり、それゆえに良好な社会的やりとりを行うことができないのです。

そう聞くと、この人たちはナルシシストなのではないか、と思われるかもしれません。しかし驚くべきことに、共感力の欠如という精神性は多くの人々の心に巣食っていて、必ずしもナルシシスト的特性を持っているとは限らないのです。あなたももしかしたら、こういった精神性を持っていながら、その自覚がないような人物と共に暮らしている可能性だったあるのです。

例えばそれは、相手のことを理解できずに自分の欲求だけを優先させるようなパートナーかもしれません。または、あなたが自分の思い通りに動いてくれないからといつも怒っている友人かもしれませんね。さらに、あなたご自身が共感力の欠如した人間だという可能性もあります。そうだとしても、自分自身への害は無いためそのことに気づいてさえいないのかもしれません。なぜならこれは、衣類についたシミのように簡単に見つけて取り除くことのできるものではないからです。

共感力を持つことは、対人関係を改善するためのみならず、ウェルビーイングを調整するためにも重要な人間の能力です。したがって、今こそ、自分がこの健全なエクササイズを放棄してしまってはいないかと考えてみるべき時なのかもしれませんよ。

共感力欠如障害 症状

共感力欠如障害(EDD)の症状は?

共感力欠如障害は、『DSM-V(精神障害の診断と統計マニュアル)』には登場しません。これは、ビジネス心理学者で心理療法士で作家のダグラス・ラビアが『Psychology Today』誌で最近発表した提案に過ぎないのです。

この論説の中で彼は、人間発達の研究者として心理療法の現場で長年働いてきた中でずっと検討してきた、ある考えについて説明しています。それは、共感力が深刻なレベルで欠如している人が増えてきている、という考えです。これは、おそらく世間が見落としている明白でわかりやすい心理的病状なのでしょう。

この共感力、つまり、他人に自分を投影し、相手の世界を理解し、相手の感情と触れ合ってそれに応じて反応するという能力を持っている人は、現代においては極めて稀なようです。その原因は、前述のナルシシズムや自閉症スペクトラム障害や、境界性パーソナリティ障害などではありません。実は、共感力が欠如しているからといって必ずしも精神疾患を抱えているとは限らないのです。

自活したい、自立したい、あるいは出世階段を登りたいという願望が、人を冷え切った奈落の底に突き落としてしまうこともよくあります。さらに読み進め、共感力欠如障害の症状を学んでいきましょう。

他人の感情によって不愉快な気持ちになる

共感には3つのタイプがありますが、今回は感情面の共感だけに焦点を当てましょう。つまり、ここで言う共感力とは他者の感情を検知し、観察し、そして理解する能力のことです。しかし共感力欠如障害を持つ人は、他者の気持ちや感情を前にすると明白な苦痛を感じます。疎ましい、邪魔だなどと思うばかりか、さらに悪いことに、そういった感情を理解することすらできません。

例えばパートナーが悲しんでいる時、こういった人々は「アイツはただ注目してもらいたいだけだ」などと考えてしまうのです。また、相手が当惑していたり怒っている時にも、「これはあの人自身の問題なんだからあの人が自分でなんとかするだろう」と考えて相手の感情を退けてしまうかもしれません。つまり、共感力欠如の背後には何らかのシールドが存在することが多いです。こういった人々が他者を理解できないのは、そうすることで幾分厄介な思いをしなければならないからなのです。

目標や欲求への過剰な執着

印象的に思えるかもしれませんが、共感力の欠如は自分の個人的な成長にばかり囚われているような人たちに多く見られます。また、自助のことで頭がいっぱいになっている人にも多いようです。自立しなければ、強くあらねば、自信を持たねば、アサーティブでいなければ、といったニーズが、自分にばかり集中することの動機になっています。自分の問題は自分のものだし、他人の問題は他人のものだ、というわけです。要するに、彼らには叶えるべき目標があり、それが何よりも一番重要なのです。

このような絶対的な自立の探求は、しばしば矛盾して見えることがあるという事実を覚えておかねばなりません。全ての人間が相互に繋がり合っているという事実と、周囲にいる人々は自分と同じくらい重要な人々なのだという事実に気づけた時に初めて、共感力が発達するのです。

共感力欠如障害とは?その症状について

功利主義的に他人と関わる

功利主義とは、人や物事を簡単に利用したり捨てたりして自分に利益をもたらすような活動だけに関心を持ったり、自分に関わる事柄ばかりを過剰に心配するような性質を指します。これも、共感力欠如障害の特徴の一つなのです。ご想像いただける通り、このような傾向がジグムント・バウマンの言う「液状化」によって他者との関係性を決定づけます。つまり、瞬間的な欲求や利益に応じて動き回るため、こういった人々のパートナーや友人たちとの絆はかなり脆いということです。

同じことが、彼らの価値観や社会問題あるいは環境問題への関心にも当てはまります。将来、すでに自分が死んだ後に地球に起こることなどどうでもいいと言って気候変動に関心を示そうとしないのです。

共感力欠如障害と、決めつけや批判への飛びつきの素早さ

人はしばしば、共感の持つ驚異的な機能を見過ごしてしまいます。共感力は、気楽に決めつけをすることの危うさを人に知らせ、注意深い振る舞いを促すギアのような存在です。この力が優れている人物は、偏見に惑わされる前に自分の殻から飛び出し、他者と触れ合って相手の感情やニーズを知り、理解するために努力しなければならないということを認識できています。

一方で、共感力欠如障害の人はすぐに批判に飛びつきがちです。貪欲なまでに他人にレッテルを貼ったり、偏見を持ったり、誰かを厳しく叱責したりします。このような人々は大きな不満を抱えながら世界を見ていることが多いですが、これは、現実を感情や共感というフィルターを通して処理することができないと、全ての調子が狂ってしまうからなのです。調子が狂うとは、言い換えれば、全世界が自分に歯向かっているような、誰しもが信頼に値しないような気持ちになってしまうということです。

最後に、このような人間になってしまう前に、「問題の原因は自分にあるのかもしれない」と考えてみるようにしましょう。


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  • Milone, A., Cerniglia, L., Cristofani, C., Inguaggiato, E., Levantini, V., Masi, G., … Muratori, P. (2019). Empathy in youths with conduct disorder and callous-unemotional traits. Neural Plasticity2019. https://doi.org/10.1155/2019/9638973

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