表面のなめらかな脳:厚脳回症とは?
厚脳回症は、先天性の大脳皮質の奇形です。神経細胞移動が乏しいことが原因で、異常に厚い畳み込みが生じます。
一般的に、厚脳回症の子どもは、様々な度合いの知的障害を抱える傾向にあります。主な症状は、発達遅延と発作障害です。
厚脳回症の原因は何でしょう? どのような症状があり、どのように診断されるのでしょうか? また、治療法はあるのでしょうか? 読み進め答えを探りましょう!
大脳皮質とその見た目とは?
大脳皮質は、右脳と左脳の表面を覆っています。皮質はシワの多い構造で、これにより同じ大きさの滑らかな脳の表面と比べ、小さなスペースで表面積を広くとることができています。
また、皮質の表面には、2つの違いがあります。ひとつは裂溝で、これは変化可能な大きさの溝です。もうひとつは脳回で、亀裂の間にある膨らみです。
皮質は主に、グリア細胞と神経体から成ります。6つの層があり、神経が正確に組織されています。
厚脳回症とは?
厚脳回症は奇形で、滑脳症に分類されます。より具体的に言うと、滑脳症は、皮質の表面が滑らかという特徴がある障害です。無脳回症(膨らみが全くない)と多少脳回(過剰の膨らみがある皮質の奇形)の間に位置します。
多少脳回は致死率の高い深刻な先天性奇形です。大脳皮質の神経組織やその構造に変性が見られます。皮質を構成する6つの層の一部が欠けている、あるいは細胞が適切に組織されていないことが原因で、大脳皮質が正常より薄くなります。
さらに、皮質に深い溝が少なく、膨らみが正常より厚いことが特徴です。その結果として、皮質が滑らか(「シワ」が少ない)になります。
厚脳回症の症状
次に、厚脳回症の子どもによく見られる症状を挙げます。知的障害、痙攣、重度の発達障害などです。また、他にも知っておくべき症状があります。
- てんかん発作(90%の子どもに見られる):多くは、子どもが4~7ヶ月の時に出現します。治療に対する抵抗性が高く、その結果、命が危険にさらされます。
- 運動技能発達および言語発達における発達の遅れや障害:四肢に筋緊張の低下が見られることが多く、歩行や立位、言語に困難が生じます。さらに、小頭症であるケースも少なくありません。
- 重度の知的障害があり、認知機能や自律が制限されます。
- 行動障害やその他の精神障害
診断
顔や身体に現われる特徴がないため、診断が難しいケースがあります。診断には、症状の臨床検査や脳画像が用いられ、専門家が大脳皮質をより詳しく調べます。
CATスキャン(コンピュータ断層撮影)を用い、空間解析度の高い脳画像を撮ることができます。皮質の奇形は、生体内に可視化されます。MRIは灰白質と白質の違いやコントラストの可視化を可能にするため、より有効です。
画像では、皮質における浅い溝とより厚い膨らみやシルビウス溝の発達不全が見られます。
厚脳回症の原因
厚脳回症の原因は、胎児の神経細胞移動プロセスの崩壊にあります。環境要因や遺伝子の変性により引き起こされます。
神経細胞移動は、妊娠7~20週の間に起こります。この期間は皮質を作る6つの層の構成が目的ですが、厚脳回症の場合6つのうち4つの層しかできず、正常より皮質が薄くなります。
厚脳回症の脳の第一層(分子や網状)は、正常の脳と同じです。第二層、第三層、第四層は健全な脳と比べ細胞の数が少なく、構造も薄くなります。
上でも述べたように、環境要因は神経細胞移動の変性の一因になりえます。例えば、特定物質(放射線、アルコール、水銀など)への曝露などです。
厚脳回症に関連する遺伝子の変性はここで説明するには、非常に複雑です。最もよく見られる厚脳回症の原因となる遺伝子の変性をあげるとすれば、X染色体や17番染色体が関連しています。また、LIS1遺伝子の欠損も滑脳症の原因になっているようです。
治療法がない
珍しい病の多くがそうであるように、厚脳回症には、症状に対する治療しかありません。例えばけいれんを抑えるために抗けいれん薬を投与することが不可欠になります。
お分かりいただけたように、重度の奇形は、生まれた子どもを死へ追いやります。しかし、奇形により皮質が影響を受けなかった場合、生き延びることができますが、その子どもの活動は影響を受けた領域に依存します。
子どもが生き延びる場合、筋緊張の低下を支える理学療法士や子どもに合わせた教育を行う特別支援教員など様々な専門家の支援を受けることが重要です。
当然、医師、看護師、作業療法士、心理学者なども必要不可欠な人材です。こういった人々が、子どものクオリティオブライフを高め、できるかぎりの自律を促してくれるでしょう。
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