親子間のシンメトリーとは?

親と子どもたちとの間にシンメトリーが存在すると、子どもたちは自らを親の同輩だと考えるようになります。親は子どもたちに対する権威を失い、子どもたちは自らのアイデンティティを発達させるのが困難になります。代わりに、親たちを模倣するようになるのです。そこには親のトラウマや不安も含まれます。
親子間のシンメトリーとは?

最後の更新: 15 9月, 2019

現代社会では、子どもたちはますます大人のように振る舞い始めている一方、大人たちはますます子どものように振る舞うようになっています。簡潔に言うと、これこそがアルゼンチン人心理学者のクラウディア・メッシングが著書である『Symmetry between Parents and Children』の中で議論している内容です。

自身の医学的発見が、メッシングに子どもに見られるシンメトリーあるいはミラーリングの理論を発展させるきっかけとなりました。彼女は、子どもたちが昔よりも管理しづらく、さらなる困難を抱えており、個性化過程を成し遂げるための精神力もかつてより弱くなっている、という事実を強調しています。同時に、彼らは自らの親たちに見られる機能不全的な行動パターンを繰り返しています。

“子どもたちに託したいと願うことのできる永続的な遺産は二つしかない。一つは根っこ、そしてもう一つは翼である”

-ホディング・カーター-

メッシングは、この親子間のシンメトリー現象が、現代的な育児スタイルに根ざしたものであると考えています。親たちが用いているこういったスタイルでは、親としての権威を首尾一貫した形で行使するということをしません。また、家族内の役割(父親、母親、子ども)もあまり分担されていないのです。その代わりに、家庭内ヒエラルキーを打ち消すような不均衡な民主主義のようなものに置き換えられるようになっています。こういった家族構造の中では、全員が互いを同胞のように見なしますが、これは誤りですしそうあるべきでもありません。

親子間 シンメトリー

親子間のシンメトリーに見られる特徴

親の真似をし始めた子どもたちは、扱うのが難しくなります。自分たちはいつでも正しいのだと信じ込み、自らの欲するものに関して絶対的な確信を抱き、大人に制限を課されることを嫌うようになるのです。

“シンメトリーな子ども”は、大人たちには何もできないと考え、あまり信用しません。自分たちより知識や経験が豊富な存在であるとは見なさないのです。こういった子どもたちは、大人は自分たちの同類であり、それ以上でもそれ以下でもない、と考えてしまいます。

親とのこのシンメトリーな関係性の中で育った子どもたちは、青年期に達した際に親離れするのが困難になります。それは親に懐きすぎているからというわけではなく、自立する方法を知らないからなのです。彼らは環境に順応するのが不得意で、すでに知っている世界にだけに固執しようとします。

シンメトリーな親子関係の四つの特質

メッシングは、この”シンメトリーな子ども”という現象には四つの特質があると主張しています。それは、模倣すること、同等と見なすこと、完璧主義であること、そして個性化ができていないこと、です。一つ一つを詳しく見ていきましょう。

模倣というのは、子どもたちが親たちを模倣するミラーリング効果について言及したものです子どもたちは、親のすること全てをそっくりそのまま真似します。では、それの何が問題なのでしょうか?実は、子どもたちは親のトラウマや問題点までをもコピーするようになってしまうのです。

二つ目の特質は、同等と見なすことです。これは、子どもが大人たちを自分たちと同類であると見なしてしまうという意味です。結果として、その大人はその子に対して何の権威も持たないこととなります。

比較的最近まで、子どもたちは大人からはある程度の距離を置いていました。彼らは、自分たちは子どもであり、大人のすること全てを同じように行うことはできないのだ、と理解していたのです。しかし現在では、多くの家庭でこの距離は存在しないものとなっています。子どもたちは完全に親たちを自分と同一視してしまっているのです。

親子間 シンメトリー

完璧主義と個性化の欠如

大人と同等であると感じている子どもは、自分たちには全てのことを行う能力があると考えます。彼らはしばしば、親のような役割を担おうとし、助言をしたり家族のメンバーに命令をすることさえあるのです。

また、”シンメトリーな子ども”は、教師の役割さえ果たそうとします。教師に対して何を教えるべきかやどのように教えるべきかを指示するのです。しかし遅かれ早かれこういった子どもたちは、自分にはそのように振る舞う手段や能力が備わっていないという現実に直面することとなります。この現実が彼らを恐れさせ、混乱させるのです。

これが完璧主義の幻想です。子どもたちは、実際はそうではないにも関わらず、自分のことは全て自分でできる、と感じるようになります。彼らは自分には何かを学ぶ必要があるということを信じようとせず、自らが学習プロセス・成長プロセスの間にいることを分かっていません。その結果、個性化過程を完了させることができないのです。こういった子どもたちは模倣することしか知らないので、個人としてのパーソナリティを完全に発達させることができません。

メッシング博士によれば、家族がこの問題を解決する唯一の方法は親子間の役割を見直すことのみだそうです。親たちは彼らが子どもと同等ではなく、家庭内で権威を持った存在だということをはっきりさせなければなりません。これは権威主義と同じことを意味するわけではなく、むしろ、親たちが指針になりロールモデルとなってやることが重要だということです。


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  • Levin, E. (2000). La Función del hijo: espejos y laberintos de la infancia. Nueva Visión.


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