論理的で一貫性を保つことVSお手本になること

論理的で一貫性を保つことと、手本に習うことは似ているようで、異なります。この記事を読んで、その違いを理解しましょう。
論理的で一貫性を保つことVSお手本になること

最後の更新: 02 12月, 2019

論理的で一貫性があることは、性格の一つの特徴だともいえるでしょう。どちらも何かの問題に対しての自分の立場や理由づけの過程で生まれた特徴ともいえます。また、自分の重要な考えや経験を、まっすぐはっきりさせることは、精神的な健康に関しても良いことだと言えます。

近頃では、多くの人が公の指導者は見本となる行動で人を導くと考えます。ソーシャルネットワークでは、複雑で目に見えない価値を、実現または具体化させることを促しています。

しかし、色々な価値、または時には道徳に反する行動をも、まるでモラルのある行動であるかのように偽って実現化することもできます。例えば、必要としている人のために寄付することは良い行動と取ることができます。しかし、その寄付金が道徳に反した方法で受け取られていないかと疑いを抱く人もいるでしょう。

物事の背景を考えることの大切さ

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模範によって導くとは一体どういうことでしょうか?それは、物事を実現することによるものなのでしょうか?もしかすると、外部からの評価、または先に築き上げられた行動によるものでしょうか?もしだ誰かが模範によって導くための資源をたくさん持ち合わせているとすれば、その人を仰いで慕うべきなのでしょうか?答えは、ノーです。手本で人を導くというのは、そのようなものより一貫性とより深い関係があります。

黄金律によると、手本によって導くというのは「自分を扱うように、他人を扱う」とされています。反対に、「一貫性」という言葉は、ラテン語のconsistentiaという言葉に語源があり、意味は内面の調和の取れた繋がりです。これには、内面と周りの世界との繋がり、またはそんな世界における各部分の繋がりを指しています。

この意味は、物事の背景の中での内面のニュアンスに注目したものです。しかし、「模範によって導く」という意味は、外部の背景をもっと重要視したものと言えるでしょう。行動はまるで当然必要であるという捉え方です。

ですから、行動、または色々な模範的な行動は一貫性に伴うものではありません。それは、認知的要素が重要な条件であるからです。例えば、道徳的な価値における憶測などです。一貫性は、あなたの考えや決断、または経験からなる関係を通して価値を見出すことができます。

「全体はパーツの合計よりも偉大である」

―アリストテレス―

真実は論理的で一貫性のあるもの

私たちは、一貫性の概念と模範のニュアンスの違いを日々の中で忘れがちで、同じように使ってしまっているのではないでしょうか。これは哲学における一貫性の理論においても言えることです。哲学の分野において、一貫性の理論は歴史的に単一の教理ではなく、多様な形態があるとされています。

ウィーン学団は真実の理論について研究し、従来のアプローチで真実は一貫性であるという理論を唱えました。この理論は、その回路的な考えが真の一貫性とは何かの疑問を残すとして批判を受けました。

ドイツ人哲学者であるシュリックは、オットー・ノイラートとカルナップが論理実証主義を唱えた時に、この批判に対して十分な理解を示しました。真実の理論は回路的なアプローチであることに言及し、真実に倫理が存在すると主張しました

心理的な思考の面から見る一貫性

心理的な思考の面から、理由づけにおける有効な形また考えにおける誤った推論について学ぶことができます。帰納法を使用するのであれば、その中の誤った推論の中には、真実の前提はその真実の結果を保証するものであるという考えがあります。また反対に、前提を知らず、または知っていたとしても、結果を導き出そうとした時に間違いは起こります。

このような偏見は、最近のポスト真実、ポピュリズムなどの社会現象でも観察することができます。ポピュリズムは定言的三段論法という推論法の例です。結論は大前提と小前提の不十分さから引き出されることがあり、誤った推論に繋がることがあります。

ポスト真実は、正式で因果関係のない誤謬です。後件肯定とも呼ばれます。これは誤謬の一種で、真の前提から偽りを推測することで起こります

アインシュタインの隠れた変数の存在(判断、査定、測定をする前)を覚えているでしょうか?彼によると、測定の結果は予測できるものであるとされました。予測できないのであれば、そこには何か解明されていない情報があるのであると。これが隠れた変数理論です。

論理的で一貫性があることと、健康

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有名な社会学者であるアーロン・アントノフスキーは、首尾一貫感覚(SOC)のコンセプトを健康生成論の一つであるとして、1987年に提示しました。この要素にはストレスを感じる状況下でも健康でいられる働きがあります。この考えは回復力の能力と、自尊心とストレスに対するより良い対応力に関しての測定基準として研究されました。

建設的な方法を用いたセラピーにおいて一貫性のある影響が研究され、コヒーレンス療法として呼ばれるようになりました。心理療法で効果的であった方法を用いることで、神経科学の分野でも良い影響が見られるというものです。

コヒーレンス療法は、滞っていた感情的な経験に働きかけることで、結果を導きだします。患者の記憶に働きかけ、意識のある意味を持たせるのです。要するに、個人と外の世界との一貫性を、個人の内面に戻すという作業です。

この、個人の経験を真実とする外部の特徴が、コヒーレンスや一貫性を生み出す主な特徴となります。真実は道を進むためのガイドの役割を果たすのです。暗闇であることもありますし、そうでない場合もあります。個人それぞれ違った経験があり、現実の捉え方も様々です。ですから特定の例えに従うのではなく、自分の基礎に従うべきなのです。それが一貫性というものです。

最後に

論理的で一貫性がある価値、それはなかなか見えない価値であり、近年では特に気づかないものとなってしまいました。もしくは、目に見えやすい、良いお手本の行動が重視されているのかもしれません。しかし、模範で人を率いたり、声を大きくして主張している人より、目立たないでいる方が一貫性があるのかもしれません

外部との繋がりによって、真実を手にすることができるという、シンプルな過程によって、いくつもの現実から真実を見つけ出すことができると知っておきましょう。そうすることで、精神をもっと広く持ち、道徳的な一貫性に対して、深い理解を得ることができるでしょう。


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