精神疾患:実態、原因と治療法
この定義を聞き、精神疾患や精神性の症状を引き起こす病気がいくつか頭に浮かぶでしょう。統合失調症や統合失調型パーソナリティー障害、薬物やドラッグにより誘発される精神病性障害や、その他の医学的要因を伴う精神病性障害など様々です。
精神疾患とは?
次の5つのエリア:妄想、幻覚、無秩序な考え(発話)、無秩序または正常でない運動機能(緊張病を含む)、統合失調症陰性症状から一つ以上の異常が見られた場合、統合失調症スペクトラムや精神病性疾患とみられます。これはDSM-Vによる分類です。それでは、精神疾患の症状の特徴を見ていきましょう。
妄想
妄想とは、変えようのない強い思いで、それが現実でないと否定できない証拠さえも作り上げます。その事柄は(宗教や強く大きな妄想など)様々です。
簡単に、病気の人の「作り話」だとも言えますが、本人はそれが作り話だと知らないのです。そのため、現実の世界とかみ合わないことでさえ、現実であるかのように、その世界に沿って表現します。
明らかに非現実的、理解不能で、現在の生活の経験からきているものでない場合、その妄想は異常であると認められます。
- 何者かにより、内臓を誰かのものと入れ替えられたが、傷や傷跡がないというのは、異常な妄想の例です。
- 確固たる証拠はないが、警察に見張られているというのは、異常ではない妄想の例です。
幻覚
幻覚とは、外的刺激を受けずに生じる知覚です。鮮明で、クリア、通常の知覚と同様の力と影響があります。自発的にコントロールできるものではありません。私達のどの感覚器にも起こりえますが、幻聴は統合失調症やその他同様の障害によく見られる症状です。
幻聴のその声は、聞いたことがあるものでも、そうでなくても、その人の思考とは別のところからきているものが多くあると、DSM-Vは言います。
無秩序な思考(発話)
無秩序な思考(思考障害)は、人の発話や話し方から分かります。精神疾患を患う人と会話をするのは大変困難です。突然話を変えることがあります。また、質問されていないことに答えることもあります。話が無秩序で、理解できないことさえあります。
無秩序または正常でない運動機能(緊張病を含む)
無秩序または正常でない運動機能は様々な形で見られ、子どもっぽい「愚かさ」や予期せぬ動きなどが挙げられます。具体的な目標を持ち、何かを成し遂げることが難しいこともあります。また、日常に必須である物事さえも難しいかもしれません。
緊張症は、人の周りの環境に対する反応から見ることができます。次の通りです:
- 指示に従うことへの抵抗
- かたくな、不適切、異常な姿勢
- 口語、運動反応が全くない
その他の特徴:
- 反復的動き
- 凝視
- 顔をしかめる
- 全く話さない
- 反響言語(単語や音節を繰り返す)
陰性症状
統合失調症陰性症状の中で特に目立つのは、感情表現の低減と無関心の2つです。まず、感情表現の低減とは、表情、アイコンタクト、声のトーン、話に伴う手や頭、顔の動きなど個人の感情を表現するものが減るということです。
次に、無関心とは、個人主体または何か目的を持った活動が減るということです。長時間座り続けたり、仕事や社会的活動にほとんど興味を示しません。
精神疾患の原因は?
これは、難しい質問で、原因はひとつではありません。実際、広く様々な原因が元となり精神疾患を引き起こします。いくつかの「病気」の精神的症状と原因を見ながら、質問に答えていきましょう。
統合失調症
統合失調症の進行には、遺伝的要因があります。統合失調症と診断された人の家族にあまり病歴がなかった場合であっても、これは事実です。
妊娠の合併症や出産時の低酸素症(酸素の欠乏)や加齢は統合失調症に大きく関係しています。さらに、ストレスや感染、栄養失調、妊娠糖尿病やその他医学的症状など妊娠期間中のネガティブな状態も影響します。
生まれた時期も統合失調症に大きく関係しています。例えば、冬の終わりや春の初めです。統合失調症や関連する障害の発症率は、都市環境や少数民族で育った子どもで高くなっています。
統合失調性感情障害
妄想、幻覚、無秩序な発話、非常に混乱した行動、統合失調症陰性症状や主な感情状態エピソード(躁うつ、うつ)を含む病気が途切れることなく一定期間続くと、統合失調性感情障害とされます。
統合失調症、双極性障害、統合失調性感情障害をもつ人と密接な接触がある家族も、統合失調症性感情障害のリスクが高くなります。
単純精神性障害
単純精神性障害の要因には、分裂性人格障害、双極性人格障害や疑い深いなど、特有の個性のような既存の人格障害や特性があります。単純精神性障害は、ストレスの多い出来事の後発症することが多いようです。そうは言っても、ストレスの多い出来事すべてが単純精神性障害につながるわけではありません。
その他精神性障害
一般的に、必要な「証明」がない限り、精神疾患が発達することはないと言えます。主な要因は、生物学的なものです。その人の中で激しくストレスの多い状況や特定の薬物が引き金となる傾向にあります。
精神性障害のすべてが薬物により引き起こされるわけではありませんが、リスクは高まります。麻薬のような特定の薬物は、精神性障害を引き起こすことがあります。症状を発症したことがある人は特に、薬物の影響に敏感で、その中でも、薬物が関係する症状を持つ人はさらに注意が必要です。
あらゆる原因に関する研究が進められています。これらの症状を及ぼす、または悪化させるメカニズムはまだはっきりしていません。最新の研究では、ストレス脆弱性モデルがより近いのではないかという結論に至っています。
このモデルは、精神性症状をもつ人は、他の人と比べて病気に対しより敏感であるというものです。生物学的要因または人生で起こる出来事によることもあります。
精神疾患の治療
精神疾患の治療では、通常、複数の専門家によるセラピーを受けるため、治療計画は複合的に、上手く調整していかなければなりません。お勧めする治療計画は次の通りです:
- はじめに、症状の診断と評価
- 次に、治療計画の進展。薬学治療が好まれるが、心理療法を受けることで、統合失調症陰性症状、精神機能、認知機能や特に個人の生活の質に大きな影響を与えることができる。
- 専門家が治療に積極的な関心を示す、医者/心理療法士―患者の適切性な関係を求める。
- 患者とその家族の病気に関する教育
- その他組み合わせによる治療
- 患者の社会的機能に関するセラピー
- 異なる治療法の統合
- 行った治療に関する情報
薬物治療
精神疾患の患者の治療には、薬物療法が好まれます。これを心理療法と組み合わせることで、より効果を高めることができます。
患者に処方される薬は、抗精神病薬と神経遮断薬です。さらに、抗生物質と抗うつ薬もよく処方され、怒り、またはうつ症状の治療が目的です。
心理療法
心理教育家族療法
家族療法は必要不可欠です;家族は症状を理解し、コントロールする必要があります。家族療法の目的は次の通りです:
- 病気に関する説明
- 家族の負担の軽減
- 温かい家族の雰囲気作り
- コミュニケーション向上
ソーシャル・スキル・トレーニング
精神疾患の人の多くがソーシャルスキルに欠け、社会的機能のレベルが低く、それが再発や症状の悪化に繋がります。セラピストは、次のような部分に働きかけます:
- ジェスチャー
- 言葉の流動性
- 言語のトーンとリズム
- 姿勢
- 表現
- 感情と社会的表現
ローダーとブレナーによる統合心理療法(IPT) (2007)
IPTは統合失調症の行動療法プログラムです。グループ(5~7人)が基本で、週に3回、最低3か月行われます。5つのモジュールがあります。認知リハビリ(認知分化、社会的知覚、言語コミュニケーション)を含みます。さらに、社会的能力訓練(ソーシャル・スキルの強化、対人問題解決)もあります。
最後に、精神疾患の治療は、薬物療法と共に、心理療法を受けることで、効果をさらに高めることができます。薬物療法はとても重要で、症状と個人のバランスを再構築するのに役立ちます。基本原理は、薬で状態を良くし、心理療法が働きやすい状態にするのです。
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American Psychiatry Association. Manual diagnóstico y estadístico de los trastornos mentales (DSM-5), 5ª Ed. Madrid: Editorial Médica Panamericana, 2014.
Tsuang, Ming T.; William S. Stone, Stephen V. Faraone (julio de 2000). «Toward Reformulating the Diagnosis of Schizophrenia». American Journal of Psychiatry 157 (7): 1041-1050.