セルトラリン:その効能と副作用
セルトラリンは鬱、パニック症候群、社交恐怖、心的外傷後ストレス、強迫観念の治療にもっとも使用されている向精神薬の一つです。セルトラリンの商品名はゾロフト(米、日本ではジェイゾロフトの商品名で2006年より薬価収載)です。症状の完治には有効的ではありませんが、ネガティブな思考や感情を抑制してくれる働きがあります。
しかしながら、この薬について専門家が研究結果を発表する度に、議論が交わされてきました。薬によって、そのような症状を治療することが本当に必要なのか?その場合、どの薬が一番効果的なのか?新しい、二世代、三世代の薬品を使用する方がいいのか?それとも元々の医薬品を使用した方がいいのか?
メンタルヘルスの専門家も同じような議論をしてきました。一つ確かなことは、精神疾患に悩む患者には、それぞれユニークで症状に特化した治療が必要であるということです。心理療法によって症状が改善される患者もいます。また心理療法と薬物治療の両方が必要な場合もあります。薬物治療に関しては、治療によって服用する薬のタイプや量は様々です。
数年前、鬱を治療するために使用される向精神薬の効き目を比べた研究が、医学雑誌の「ランセット」に掲載されました。その研究では、ゾロフト(セルトラリン)の効能が最良であるとされました。この選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は現在、鬱の治療にもっとも使用されている薬品です。そこで今回はセルトラリンの効能と副作用について紹介していきます。
セルトラリン、その効能とは?
セルトラリンの効能は服用後4〜8時間後に現れます。セルトラリンを服用すると、リラックスし、気持ちが落ち着いて、心神をコントロールすることができるようになります。この薬品にはセロトニン再取り込みを阻害する働きがあります。簡単にいうと、セルトラリンが体内のセロトニン量を増加させているのです。
すなわち、心神の状態に影響を与える、神経伝達物質をどのように脳が受容しているかに変化を与えているということです。効き目は、患者の精神状態と薬の活性化レベルによって様々です。
セルトラリンが服用される場合とは?
先ほども書いたように、セルトラリンは抑うつ障害の治療に用いられます。鬱状態の感情、考え、行動などを抑制する働きがあります。しかし、セルトラリンがそのような病を完治するわけではありません。鬱を完治するためには、セルトラリンの服用の他に、心理療法などを受ける必要があります。
鬱の症状緩和に効果的である他にも、セルトラリンには下記のような病状にも効果があるとされています。
- 心的外傷後ストレス
- 社交恐怖、パニック症候群
- 強迫観念
セルトラリンの副作用とは?
セルトラリンは心理医薬品です。「心理医薬」という言葉からわかるように、セルトラリンはアセトアミノフェンや抗ヒスタミンなどの医薬品とは異なります。メンタルヘルスの専門家のみがセルトラリンを処方することができます。セロトニン再取り込み阻害薬は効果的ですが、無害であるわけではありません。副作用があり、その副作用は様々な要因によって変化します。
一つ目の要因は治療の期間です。二つ目は、患者の状態です。生物はそれぞれ違うもので、同じ薬を摂取しても、反応は様々です。この薬品と相性が悪い患者もいれば、摂取してすぐにその効果を感じる人もいます。
また、処方された服用方を無視して、健康を危険にさらしてしまう人もいます。処方された服用方を忠実に守って摂取することが大変重要です。
主な副作用には下記のようなものがあります。
- 吐き気、嘔吐
- 口の乾き
- 頭痛
- 腹痛
- 眠気や過眠症
深刻な場合、震え、動悸、性欲減退、尿失禁を引き起こすこともあります。
セルトラリンを摂取するにあたり考慮すること
この薬品のもっとも特異な特徴は、食事と一緒に摂取されると、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が増加することです。また、喫煙または飲酒する患者は、セルトラリンの効能がぐっと下がることも知っておきましょう。このようなことを踏まえて、自分の健康にはどの薬物治療が向いているのか、医師とよく相談するようにしましょう。
また、セルトラリンは子供、未成年、妊娠している女性、または腎臓や肝臓に問題を抱えている方にはお勧めではありません。
最後にもう一度、セルトラリンを服用するにあたり、専門家の処方した服用方に従うことの大切さを念押ししておきます。向精神薬、特に今回ご紹介したセルトラリンは抑うつの症状緩和にもっとも使用されている薬品です。これらの薬品は、病気の完治に専念できるよう、感情のコントロールを手助けしてくれる療法です。
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