説得力を高める5つの心理学理論
ジョン・ラスキンは、かつて「 心に真実を持つ者は、 説得力を持っていないことを決して恐れるべきではない」と言いました。そうなのです、その真実が自ずから語ってくれることが一番の理想です。それにもかかわらず、心理学者は、ある特定の場面に直面した際に非常に役立つ別の理論を研究してきました。
この話を続ける前に、説得とは人を魅了し、納得させ、感動させ、もしくはその人の心を捉えるす能力である点を理解しましょう。
説得力を高めるための心理学理論
おそらく説得という言葉は、ここ数年で暗示的な意味を持つようになってきてます。私たちは政治的不安定と大量消費の社会に生き、そこでは絶えず説得力のあるメッセージにさらされます。これらのメッセージの意図は、必ずしも明確であるとは限らず、明確であるときには、高尚な目的からかけ離れます。
この時点で、説得と操作の違いを明確にしておく必要があります。両者に存在する違いは、正直さがあるかないかです。正直さは、説得の場合には存在し、操作の場合には存在しません。説得の場合は相手と事実を共有するので、話し手が何かを 納得させようと試みていることを相手は知っています。一方で、操作の場合は、この事実を隠蔽する傾向があります。
説得力―正直な方法で相手に影響を及ぼす能力と理解される―を身につけることができれば、あなたの強みとなるスキルです。だからこそ、これを達成するために効果的であることが長年にわたり実証されてきた、特定の理論を知ることが重要なのです。
増幅仮説
絶対的な自信をもって断固たる態度で試みる説得は相手の抵抗を受けます。しかし、多少の不安を見せると、相手は軟化します。この場合、感情にもとづく説得の場合は 論理に対して抵抗を受けます。 逆の場合も同じです。
したがって、クラークソン、ティボマーラとラッカーによって発表されたこの仮説を試してみると、あなたの相手に示す態度が同じ波動であれば、その相手に影響を及びやすくなる可能性が高くなります。まさにこの理論の名前そのものです。あるトピックについて相手を説得したい場合は、特定のスポーツのチームについて相手と意見を一致させます。この相手がこの偶然に気づいた時、説得する力が増幅されるのです。
操作の理論
この理論は、相手を魅了するために4つの基本原理を使います。伝えたい情報をできるだけ完全な方法で簡潔にまとめ、その情報を事実に基づくものとします。テーマと関連性があり、相手が理解できる方法で伝えられていることを確認します。
この理論は、「 操作」という言葉が使われているのために非常に悪く聞こえますが、実際には極めて論理的で思慮深い方法です。ラスキンが述べたように真実があなたの側にあるなら、説得力がないことを恐れるべきではありません。しかし、相手を説得するために、用意周到に準備をし、話題に関するの十分な知識を持ち、同様にそれを説明する方法を知っていなければなりません。しかし、説得される立場になる場合、特に相手が言葉遣いが巧みな時は少々複雑になります。相手の話の中に、保証と信頼や相手の表情や手の動きと矛盾してる可能性がある場合、言葉に現れない部分に注意を払う必要があります。
プライミング効果
この説得の心理学的理論は、しばしば広告の分野で使われます。プライミング効果は、私たちの記憶の中ですでに確立されているネットワークに基いています。したがって、記憶、概念または感覚が、ある限られた時間活性化されると、それに関連するすべてのものが活性化されます。たとえば、子供時代のお気に入りの朝食について誰かが話した時、後でその当時飲んでいたミルクのブランドを買うことが非常に楽になります。
実際、プライミングは可能なかぎり自然でなければなりません。そうすることで、刺激を受ける人が、自分がどのように刺激されているのか気づきません。ただし、彼らは広告の影響を受けていること自体には気づいています。そうでなければ、これは「操作」になってしまいます。
「ジークムント・フロイトは、間違いなく、天才だった。科学ではなく宣伝のだ。厳格なテストではなく、むしろ説得力のテストでだ。」
-ハンス・アイゼンク
互恵のルール
これは多くの人が受け入れている社会的ルールです。何かを与えれば、その好意に対する見返りを待つというシンプルなことです。それは自発的行為ではなく、むしろすでに確立され多くの人々に受け入れられている行為です。
「ありがとう」を言うという簡単なことも、このルールの一つです。自分の申し出に際し、あなたは相手からのこの好意に対しての見返りを期待します。好意の大きさまたは重要さが増すにつれて、見返りの度合いも増すはずです。
希少性の効果
私たちすべての人間は、自分たちの世界を支配する必要性を感じています。 周囲のものを選択したり、 意思決定する権利を持つことは重要です。したがって、何か不足すると、欲求感が増加します。
この心理的手法は、しばしば広告の分野で使用されます。 この有名でよく使用されているスローガン「在庫限り」を考えてみてください。 もしあなた自身がこういった広告の犠牲者だと思ったら、本当にこの希少品が必要なのか、今の自分の気持ちや感情に注意を向けてみてください。
“本人が選択しない変化は正直ではない。 したがって、その選択がなされれば、その変化は平凡で一時的なものになる。
-ラファエル・サンタンドリュ
説得についてのこれらすべての心理学的理論は、すでに実践されており、また実用的であることが実証されています。 実際、これらの理論を意識することなくどこかで利用したことが、あなたにも必ずあるでしょう。