親しみ:どんな壁もぶち壊す強さ
親しみというのは、現代の世界、特に大きな街では絶滅しそうな勢いです。文化人類学的な理由がそこにあります。高い人口密度の場所に住むと、人はもっと冷たく神経質になるそうです。このような場所では、心理的にも感情的にも健全でいることがより困難になります。
例えば、お隣さんにあいさつするのが変だと思われるような場所がたくさんあります。時間の無駄だとみるようになります。誰もが自分のことだけを考えます。他の人からの親切なふるまいも有り難く感じません。 不安症やうつになりやすかったり、良い姿勢でいても辛いことを感じやすい場所も存在します。
「この世界は、見知らぬ港からどこか同じくらい見知らぬ場所へ向かう船に乗っている旅人のようです。お互いに親切に接するべきです。」
-フェルナンド・ペソア-
家族間でも起こり得ます。毎日顔を合わせることに慣れすぎて、もう優しいふるまいを忘れてしまうんです。しかし、そのような優しいふるまいは贅沢ではありません。他人との関係の中で重要な意味をなします。ポジティブな感情を育て、ネガティブなものから守ります。
親切の遺伝子
人間は内に親しみ遺伝子をもって生まれてくることが科学で証明されています。別の言葉で言えば、人間は生き延びるために他人を必要とする種であるということです。だから、利他主義と協力は人間の発展の大きな要因となってきました。
赤ちゃんは6ヶ月で他人に対して親しいふるまいを見せると研究でわかっています。他人に対して自分を閉ざすか開くかを決めます。大抵の場合は、コミュニケーションをとって相手に優しくすることを選ぶものです。他人が自分に親しくしてくれた場合も敏感に反応します。
基本的に、人間が親しくするのは自然なことなのです。冷たさは文明が私たちを極端な個人主義へ追いやってきた結果です。内面の法則に完全に反して、他人を全く関係ない見ず知らずの人だと認識します。
親しみは強み
親しみは、あなたの姿勢を良く表します。それは自己コントロール、自信、共感、他人の価値の見方、個としてのグループとの関係への気づきなどを示してくれます。人間関係においては大きな強みです。無関心やぞんざいでいるより親しみを持ったほうが人との関係は深くなります。
親しみのある人は、しっかりと確立されたこころの知能を備えています。親しみは、最も広がりやすい姿勢です。親しみを出すことで、みんなに親しさと善意が広がります。対立を防いだり、対立が手に負えなくなるのを避けることにも役立ちます。
親しみは性格を構築する助けにもなります。自分をないがしろにすることなく、優しくすること、他人を思いやることを知っていることを意味します。このような姿勢でいることで、人が怒っているときに落ち着けたり、悲しんでいるときに慰めてあげることができます。「親しみ」を表わす「friendliness」の元が インドヨーロッパ語の「愛する」という単語から来ていることはもはや驚きではありません。
親しみのメリット
人間は他人と協力したいと思える生まれつき社交的な生き物です。ゴールは、親しみを持つ方法を学ぶことではなく、攻撃的で無関心な姿勢を忘れることです。きっと後悔しないはずです。
親しみを出すことには大きなメリットがあります。ここにいくつか紹介しておきましょう。
- 肉体的な健康を守る。親しみやすい人は、他人や周りの世界との対立が少ないです。脳に関して言えば、コルチゾール(ストレスホルモン)のレベルが低く、オキシトシン(幸せホルモン)レベルが高い傾向にあります。
- メンタルヘルス。他人に対する親しさは、気分を安定させ、ストレスと不安を予防してくれます。優しさを見せることで、自分に対する感じ方も改善します。もっと安定して自信がつきます。
- 良い人間関係を持つ助けになる。親しみは自己陶酔を改善して、他人とつながり合うことを助けます。周りを明るく照らし、相手がもっと協力的で歓迎的になり、物事が適切に進む助けになります。
- 人の「悪い気分」から自分を守る。親しみは他の人のネガティブなふるまいを無効化する力を持っています。それはバリアのように働きます。攻撃性と拒否への効果的な反応です。
最後に、ひとつお伝えしたいことがあります。親しみを表わすことは、自分を踏みにじらせたり、反発しないでいるということではありません。他の人を踏みにじったり、無神経に扱ったりしないようにするために、自分のふるまいとコミュニケーションを再確認する方法です。