感情の平板化・無関心

2018年9月2日 in 心理学 0 シェア済み
感情の平板化

気持ちを表現できない、感じないことを想像できますか?これは、感情の平板化と呼ばれます。例えば、宝くじが当たったと家族に言われても、一緒に喜べません。喜びを感じるどころか、無関心です。微笑んだり、おめでとうとも言わず、表情を変えません。頭の中では喜んでいても、それが外に出ないのです。

もう一つ例を挙げましょう。不当な理由でクビになった人がいます。感情の平板化が生じると、怒りや悲しみを感じず、感情がなくなります。状況によって生じるはずの喜びや悲しみ、恐れや怒りなどの感情がなくなるのが特徴です。

感情の平板化について説明する前に、まず、感情の役割を見ていきましょう。感情の平板化を理解しやすくなるでしょう。

顔

感情とは?

感情とは、経験に対する反応です。喜び、悲しみ、恐れ、怒り…感情は、皆が知っているものですが、少し立ち止まって分析したくらいで簡単に理解できるものではありません。緊張したり、悩んだりしたことがあっても、それらが感情をブロックしたり病気の原因になることを知らない人は多いでしょう。

感情とは、特定の刺激に対し決まった反応をする生物学的働きで、環境から学習することができます。最近の研究で、感情はそれぞれ異なる体の反応を起こすことが分かってきています。

まず、ホルモンや神経伝達物質による神経心理学的反応が生じ、それが行動反応(ジェスチャーなど)や認知的反応となり、私達は自分の感情を認識します。行動・認知的反応は、それぞれの環境や文化が基礎となっており様々です。

それぞれの感情の快適さや不快さは生活のスパイスです。記憶や決断、判断、合理化、行動、社会関係、健康には感情が必要不可欠です。

記憶と感情は強く結びついています。決断するには緊張した思いが必要です。実際、決断の多くが感情に基づいています。中でも重要なのは、感情が私達を備え、動かし、導くということです。

感情は大きく二つから成っています。自分の内で感じる主観的な感性と感情の外的表現です。これらは完全に分けることができない場合もあります。例えば、俳優は感情の外的表現を駆使し、実際感じることなく演じることができます。

感情の機能

感情の重要な機能のひとつは、行動へ向けて備えることです。状況に応じた反応を効果的に行うエネルギーを流し、目標へ向けた行動をさせます。そして、それぞれの感情は異なるタイプの行動を促します。

空を見る女性

感情は社会的機能も果たします。周りの人に対しどう感じているかコミュニケーションの助けになり人間関係を強化します。感情は人に対するシグナルとしての働きがあり、どのような態度をとるべきか、どのような行動をすべきか、人にヒントを与えます。

感情はモチベーションとしての機能も果たします。感情が動機を伴う行動を後押しするのです。怒りは防衛反応、喜びは人への愛着、驚きは新しい刺激に対する注意です。

動機を伴う行動の実行を促進または回避するのにも、感情が働きます。感情を表現すること、感じることはとても重要だとお分かりいただけましたか。

感情の平板化が生じると?

感情の平板化は障害ではありません。何かが正常に働いていないことを表す症状です。感情表現または経験することができない状態とも言えます。無関心や感情の鈍さなどと同義で使われることもあります。自身のそして人の感情に無関心または距離があるようにみえます。

ポジティブな感情とネガティブな感情共に感じられません。例えば、喜びが感じられないだけでなく恐れも感じません。しかし、感情が完全に平板化することはまれです。感情のがあっても幅が小さいのです。様々な感情がありますが、とても小さな範囲で感じます。

感情の平板化とうつ病

感情の平板化とうつ病は同じではなく、快感を感じないのとも違いますうつ病は無関心と気分低下が特徴です。

喜びを感じないこと、不感症はうつ病の主な症状です。うつ病を患う人は、以前楽しんでいた活動が楽しめなくなります。そのため、活動を止めてしまい、気分を向上させることが難しくなります。

感情の平板化では、人は感性が低くなる、または感情がなくなります。うつ病と比べ、これによるストレスはありません。感情がありませんが、それにより苦しむこともありません

感情の平板化と不感症を見極めるのは簡単ではありません。同時に起こることもあります。不感症は喜び(ポジティブな感情)がないのに対し、感情の平板化は、あらゆる感情の欠乏、それらの表現が少なくなります

落ち込む女性

症状としての感情の平板化

先にも述べたよう、感情の平板化の裏には病気が隠れ、その症状として現れています。そのため、感情の平板化のみが生じることはなく、他の症状と共に表れ、障害やシンドロームの一部になります

例えば、統合失調症と感情の平板化は関連しています統合失調症には、ふたつのタイプ:陽性症状と陰性症状があります。

陽性症状の場合は、感情のない人と比べ物事が過剰に現れます。一方、陰性症状の場合は反応がありません。幻覚は「過剰」であり陽性症状、無関心は感情の欠落で陰性症状です。

感情の平板化は統合失調症の陰性症状です。感情の平板化が生じるのは統合失調症だけではありません。気持ちを上手く表現することが難しい自閉症スペクトラム障害もそうです。脳の変化によって生じるあるタイプの認知症にもみられます。

感情の平板化は幅広くある症状のひとつであるため、これを治療するには、隠れた病気や障害を見つけることが重要です

参照

Díaz Marsá M, Afrontando la Esquizofrenia. Guía para pacientes y familiares. Enfoque Editorial S.C. 2013.

Cooper, David (1985). Psiquiatría y antipsiquiatría. Paidós Ibérica, Barcelona.

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