失業によるうつ病に苦しんではいませんか?

失業が健康状態にもたらすダメージは多大で、どんな年齢の人でも失業によるうつ病を発症する恐れがあります。しかし、そういった人の多くが自分の病気に気づいてすらいません。記事を読み進め、この病気の症状について見ていきましょう。
失業によるうつ病に苦しんではいませんか?

最後の更新: 27 1月, 2021

失業によるうつ病は、社会での存在感を増してきています。ゆっくりと、しかし着実に進行していく病気であるにも関わらず、長い間診断されずにいる場合が多く、その結果適切なケアがなされていません。このような状態が慢性化すると心身の健康に関わるあらゆる側面に大きなダメージが与えられてしまうということを、社会はまだ把握できていないのです。

ほとんどの人がこのような状況に陥った経験を持っており、この先何が起こるか全くわからない状態で毎朝目を覚ます、というのがどんな気分かを知っている人もたくさんいます。失業中の人々にとって、確実な未来など存在しないのです。また、職探しという作業自体もしばしば精神を疲弊させます。絶望や先の見えない不安が合わさって襲ってくるのですから無理もありませんよね。さらには、創意工夫をこらして手当たり次第に知人のコネをあたる必要性も出てきます。そして常に自分で自分に「大丈夫」と言い聞かせ、きっと良い結果が得られるはずだ、と信じ込まねばなりません。

しかし悲しいことに日々は過ぎ去って行き、「お電話します」という言葉にうんざりするようになります。その着信音が鳴ることはないのですから。「迷惑メール」のフォルダを除けば受信ボックスはいつまでも空っぽで、かかってくる電話といえば営業電話ばかり…。

現在、多くの若者たちが職探しをしています。新たな機会を切望する人の数はこれまでにないほど増加しているのです。失業がもたらす問題は巨大で多様な上、メンタルヘルスの不調を生む土壌を育ててしまいます。

“失業状態は人をすり減らす。逆に余暇は人を大きくしてくれる”

-メイソン・クーリー-

失業 うつ病

失業によるうつ病の症状と、対処法

人が日々行なっていて、収入をもらっている仕事というものの役割は、食費や家賃、光熱費を払えるようにしてくれることだけではありません。実は自尊心を高める手段でもありますし、自分は有能で人の役に立っていて、働きぶりに満足してもらえている、というポジティブな感覚を与えてくれるものでもあります。そのため、失業によってこれと正反対のことが起こるのです。

大人になったら何になりたいか、と聞かれて「無職」という選択肢が頭に浮かんだ人はほとんどいないでしょう。仕事が無いという状態は、子どもの夢や資本主義的教育を受けるためにしてきた努力がぶち壊された結果と見なされています。他人の役に立って自分の行いを誇りに思えるようになりたい、と願っていたのですからね。

したがって、ライプツィヒ大学で行われたものをはじめとするいくつかの研究が発している警告の内容は、それほど驚くべきものだとは言えないでしょう。研究者たちは、失業状態がメンタルヘルスを悪化させることをはっきり示したのです。失業者がうつ病にかかるリスクはかなり高いようです。

また、発達心理学のスペシャリストであるエリク・エリクソンは、人間が健全なパーソナリティやバランスの良い感情状態を構築できるのは尊厳ある生活ができている時のみだ、と説明しました。失業によるうつ病は、大恐慌の時代から研究され続けています(EisenbergとLazarsfield、1938年)。

あなたは失業によるうつ病に苦しんでいますか?

失業によるうつ病の症状を経験し始めた人が、必ず専門家に助けを求めようとするとは限りません。睡眠障害や疲労感、あるいは痛みなどを診てもらいに病院に行く可能性なら考えられます。おそらく、失業中にはそういった症状が出ても仕方のないことだ、と思っているのでしょう。実際、定職が無いことに快感を抱ける人などいませんよね?しかし、その時すでにあなたは限界を超えてしまっているのかもしれません。

失業によるうつ病を患うには、主に以下のような特徴があります。

  • 恐怖、フラストレーション、そして苦悩を常に感じています。
  • うつ状態の人とそうでない人との一番の違いは、希望や目標が抱けているかどうかです。前者は現状が改善されることにもはや確信が持てていません。状況は悪化していく一方だろう、と思い込んでいるのです。
  • 自分は無能で役立たずなのだ、という感覚が増していきます。これにより、家族にまで大きな影響が及びます。
  • 怒りの感覚や、自分は不当に扱われているという感覚があります。失業によるうつ病に苦しむ人が、必ずしも悲しみに沈んでいるように見えるとは限りません。不機嫌だったり短気だったり、かなりイライラしやすくなっている場合の方が多いのです。
  • 睡眠障害や摂食障害が生じる場合があります。うつ状態の人は眠り過ぎるか、あるいはほとんど休息を取りません。また、空腹を感じなかったり逆に衝動的に過食したりします。
  • 喫煙や飲酒、薬物使用などの中毒性のある行為に及ぶことが多いです。
  • さらに、自殺念慮を抱くこともよくあります。
失業によるうつ病に苦しんではいませんか?

失業によるうつ病とどう向き合うべきか?

一つはっきりしていることがあります。それは、うつ病のような気分障害を患っていると、職探しがますます困難になってしまうということです。

うつ病は診断されずにいると重症化する一方ですし、健康リスクも増していきます。事実、職を失った人の自殺率は非常に高いのです。では、対策として何ができるのでしょうか?

  • 優先すべきは、専門的なサポートだけでなく社会的支援を得ることです。家族や友人と話をしてみてください。
  • 時には、同じ状況にいる人物あるいは過去に失業うつを乗り越えた人物と体験を共有することが役に立つ場合もあります。大切なのは、自分は役立たずな敗者だ、という思い込みを頭の中から追い出すことです。
  • 夢や目標は、首尾一貫して精神に効能をもたらす栄養分となってくれます。目標を追いかけ続けることが、毎朝ベッドから起き上がるための強さを与えてくれるのです。
  • ルーティンに従い、スケジュール通りに動くことで時間管理がしやすくなります。
  • 同時に、遊んだり休んだり体を動かしたりして楽しむ時間も必要不可欠です。

思考をコントロールして感情をマネージメントし、適切なサポートを得ることが、失業という誰もが一度ならず経験する辛い状況を乗り越えるための最善策だと言えるでしょう。

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  • Eisenberg, P., & Lazarsfeld, P. F. (1938). The psychological effects of unemployment. Psychological Bulletin35, 358-390.
  • Feather, N. T. 1982. Unemployment and its psychological correlates: A study of depressive symptoms, self-esteem, Protestant ethic values, attributional style and apathy. Australian Journal of Psychology,34(3), 309-323.
  • Zuelke, A. E., Luck, T., Schroeter, M. L., Witte, A. V., Hinz, A., Engel, C., … Riedel-Heller, S. G. (2018). The association between unemployment and depression–Results from the population-based LIFE-adult-study. Journal of Affective Disorders235, 399–406. https://doi.org/10.1016/j.jad.2018.04.073